玄侑宗久のレビュー一覧
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著者の玄侑宗久氏は、2001年に『中陰の花』で芥川賞を受賞し、その後も多数の作品を著す、福島県の福聚寺の住職である。
著者は本書で、「死んだらどうなるのか?」について、1.死とはなにか?、2.あの世とはどういうところか?、3.魂はあるのか?、という大きく3つのテーマに分けて、仏教、アブラハムの宗教(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)、日本の古来の思想などの視点に加えて、最新の科学的な知見、臨死体験の話なども含めて、様々な考え方を縦横に紹介している。
そのため、我々読者も「死んだらどうなるのか?」について自然に思いを巡らせることになるが、結論としては、予想された通り、「もとよりこの本のテーマは、 -
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もともと好きだった方丈記。もともと好きな作家の玄侑宗久。方丈記が800年前の火事・地震・津波・竜巻の記録満載なことは知っていたので、どう今の福島と絡めてくるかに興味がありました。
驚いたのは、地震のあとしばらく本をよむことができなかったというくだり。実は私も震災後半年ぐらいは、本が読めなくなりました。当時本を「読まなければならない」事情があったのですが、読んでも読んでも目が上滑りして頭に入らず、好きだった本すら手にとる気にもならず、本当に困りました。プロの作家、僧侶という立場の人でも本が読めなくなっていたんだ。と妙なところで安心しました。
もう一つ個人的に驚いたのは、黒澤明の映画「夢」で「 -
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ネタバレなかなか不思議な順番で読んだ。。この前に祖師仏教を批判する呉智英さんの「つぎはぎ仏教入門」を読んだんだけど、変に影響を受け視野が狭くなることなく読めただろうか。さておき、真宗と臨済宗なお二人の対談です。玄侑さんはTVで何かの番組にでられたときの印象がよく、「禅的生活」なんぞを読んでいたりする。作家としての玄侑さんの作品は読んでいないけど・・。
関係性に自ずから巻き込まれることを「縁起の実践」とし、積極的にかかわりながらも関係性にはこだわらないとする「空の実践」との部分が今に響きました。関係性にこだわるあまりに巻き込まれることをしない自分がいるのは確かであり、またここがとにかくも頑なな部分でも -
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僧侶である則道(そくどう)は、妻の圭子と二人暮らし。所謂"おがみや"として様々な予言をし、自分の死をも予知して最期を迎えたウメさん。鉱泉を開き、妻と共に自らの宗教体験を語る石屋の徳さん。流産のために産まれる前に亡くなった我が子と、圭子が「成仏してない」と主張するウメさんとを弔うため、圭子が作った紙縒(かみより)に包まれながらお経をあげる則道。そこで二人は紙縒に不思議な動きを認め、そして圭子は呟くのだ―「成仏やなあ」と。
タイトルにもなっている「中陰」とは、この世とあの世の中間、という意味らしい。ネットで霊体験を検索する則道は、次のように考える。「多くは真剣に自分の信じる世界を描いているようだ。