玄侑宗久のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレこれだけの人を相手にいろんな知識を披露できる玄侑宗久という人もすごい人だ。
後半は震災後で、震災の話ばかりになる。リアルに感じることができずに少し飽きる。
五木寛之さんの言葉が印象に残る。
『僕は25歳で区切ってね、25歳までが学生期、50歳までが家住期で、50歳以後の林住期が人生のお動く気だという本を書いたんです。最近は自分が67歳になって遊行期に入ったから、75歳から100歳までの遊行期がもっとも高い面白い時期ではないかと我田引水で書きました。
老いに逆らって若さを維持したいというのは、若さに対するコンプレックスや憧憬があるからでしょう。そうじゃなくて、老いはひとつの実りであるというふ -
Posted by ブクログ
禅の世界に浸れる本です。先日、読んだイスラム教やキリスト教などの一神教と違って禅の世界というのは自己を磨く(悟る)ということで、人間の主体性を重視する日本人には受けそうな考えだと思います。雑念や欲望に捕らわれない生き方を説いています。
しかし、そのような雑念との向き合い方なんかは独特のユニークな解釈が禅の世界にはあるようです。
自由というのは禅では自己に由来するということであり、方便というのは到達する(極める)という意味合いであったりと、この辺の言葉の捉え方も面白いですね。
但し、あまりに自己を極めることに固執しすぎて、まわりが見えない状況を戒める話として風流という、ゆらぎという考え方も深いで -
Posted by ブクログ
生まれ落ち成長するにしたがって、言語を認識し概念を動員し理解する(自我/個の確立)。一方で、それらが迷いや苦しみの源となる(合理性の限界)。般若心経は合理的知性を超えたもうひとつの「知」が凝縮されている。「般若」というのは「体験的で全体性を持った知」(正しくないかもしれませんが大体こんな感じ)、「個」の錯覚が元となって事項中心的な世界の眺めは「般若」の実現で一変することとなる。
本書は解説書ではなく、あくまでも訳書。ただでさえ般若心経は大般若経600巻を262文字に凝縮しているものなので理解することが難しい上、読書という理知的な方法で体験的な知を獲得することはなおさら難しいと感じました