玄侑宗久のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読書開始日:2021年12月18日
読書終了日:2021年12月19日
所感
【中陰の花】
成仏に対して、様々な見方ができる。
仏教、宗教、おがみやを通して。
最後のシーンでは、水子とウメさんが中陰状態からエネルギーとなった。
やはり死産というものはなかなかにほどけないのだろう。
周りからの不躾な質問がどれだけ圭子を苦しめていたのだろうか。
徳さんの成仏に関する見解も間違ってはないのだろうが、そんな綺麗には考えられなかったのだ。
まだ見ぬままに消失した我が子。
そんなものが龍に乗って天に登るという成仏はやはり圭子には理解しがたい。
静かに後押ししてくれたウメさんの勧めを守り、最後はウメさんに我 -
Posted by ブクログ
玄侑宗久『中陰の花』文春文庫。
第125回芥川賞受賞作の『中陰の花』と『朝顔の音』を併録した作品。
現役僧侶ならではの人間の生と死の狭間にある中庸の時空である『中陰』をテーマに主人公の僧侶が改めて夫婦の関係を見つめ直すという表題作の『中陰の花』。テーマには面白いが、ストーリー、描写のどれを取っても芥川賞受賞作に値するような素晴らしい作品とは思わなかった。
『朝顔の音』は、家出をして根なし草のような暮らしを送る若い女性が出産早々に失った我が子の御霊を霊媒師に下ろしてもらうという生死の世界を描いた短編。『中陰の花』よりは読み易いが、心に残るものは少ない。
先に読んだ『光の山』は非常に良かっ