あらすじ
知彦の妻、実佐子に明らかな異変が現れたのはハワイの旅先であった。夫にもまったく知らない顔を見せる実佐子。急遽旅先に診療にむかった主治医杉本は、ついに解離の症状が本格的に現れたと診断する。自由奔放な知美、落ち着いた情緒の絵里・・・・異なる性格が現れる解離性同一性障害(DID)という、現代を象徴する難しい病理に切り込み、トラウマや記憶の奥から浮かびあがる心の闇に光を当てる意欲作。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
解離性同一性障害について知りたくて読んでみた本です。小説なので話自体はフィクションであっても、あまりにもリアリティがないものも多い中で、この本は、本人、家族、担当医がそれぞれに悩みながら解明していこうとしている姿に共感できて良かったです。この著者の本を他にも読んでみたくなりました。
Posted by ブクログ
面白かった。
最初は少し難しいのかな?ぼやっとした結論で委ねられるのかな?と、思ったりしたけど、最後までしっかりと物語が進んでいき、読み止めるのが残念に感じるようになっていった。
内容とかではいが、なんか誠実なイメージの本だったな
こういった一冊に出会えるのが一万円書籍のよさだな
Posted by ブクログ
玄侑宗久『阿修羅』講談社文庫。
不可思議な人間の精神世界の深淵を描いた作品。解離性同一性障害をテーマにした小説の場合、よくあるパターンは犯罪が絡むミステリーやサスペンスなのだが、この作品は両者のパターンには当てはまらない。精神科医が3つの人格を持つ女性の過去のトラウマを突き止め、人格を統合しようとするというストーリーである。が、本作も小説という性格上、単純なハッピーエンドの結末にはならないことだけ付け加えておく。
旅行先のハワイで妻の解離性同一性障害の人格交代に戸惑う夫。
田中美佐子には友美と絵里という3つの人格を持っていた。夫の智彦は突然の友美の出現に驚き、精神科医の杉本宗一郎に助けを求める。杉本は娘の沙也佳と共にハワイまで出向き、田中美佐子の3つの人格と対峙する。過去のトラウマにより3つの人格を持つ美佐子は自らを阿修羅像に重ね合わせていた……
本体価格629円(古本100円)
★★★★