福井晴敏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
戦争従事者の孫同士の往復書簡からこの話は始まるので、
この物語自体、悲惨な結末を迎えずに済みそうだと安心しながら
読み進めることができた。
逆に言えば戦争の悲惨さを伝えるというよりも、
潜水艦を愛するもの同士の友情と、隣り合わせにある死、
というものがテーマになっている。
だからといって戦争バンザイ!とテンションを揚げるオーラが漂うわけでもなく、
意外と淡々と物語は進行していく。
読後感としては…
ディスコミュニケーション下でのコミュニケーションという設定が他に見つかれば、
別にこのシチュエーションじゃなくても良かったのかな。
あの時代を生きる「男」ってのを
描きたかったのかもしれないけれど(今や絶滅種だし)。
文章はノベライズにしては美文。
2009.04.07-08 -
Posted by ブクログ
人間ほど、実体のないものにすがる生き物もいないという。
光、希望がなくては人は生きていけない。世界で絶望や不条理、不幸に遭遇すればするほど、人はそれでもまだ改善の余地があると信じさせてくれる光を必要とする。その改善の余地、理想が具現化したものが神であり、人間がすがるものなのだろう。
そんな神だからこそ、人は自らの神の唱える正義や価値観を唯一として硬直させ、
分かり合う可能性を殺し、狭い固定観念に陥っていく。自らの望む可能性が他人の可能性を殺す・・・これが誤解であり、争い、歪みの源だ。皮肉にも、理想を描く力が結果的に全体の歪み、不条理、誤解を生んでいるのだ。このようにねじれた世界から人は脱することができていない。これは劇中でも現実でも酷似した状況であると考えられる。
それでも、感じ、共感し、考え描き出す能力をより進化させれば、人は分かり合える、皆ニュータイプとして手を取り合える、そんな世界はフィクションに過ぎないかもしれない。事実そのフィクションの中でも夢物語、伝説扱いの存在がニュータイプなのだ。それでも最新作『機動戦士ガンダムUC』の作中で福井晴敏は希望をにじませる。
「大抵の動物が生まれながらに五感を持ち合わせている。そして人間だけが五感では感じ取れないものを考え、描く能力を持っている。今現在を超えるなにかを・・・。それは人の願望が作り出した錯覚かもしれないし、理想という名の神に過ぎないものかもしれない。しかしその存在を信じ、世界に働きかけることができるなら、それが世界を変えることだってある。人間だけが神を持つ。理想を描き、理想に近づくために使われる偉大な力、可能性という名の内なる神を」
こんな言葉を見ると夢を見ずにはいられない。
しかし実際のところ、隣の国とさえ分かり合えないこの世界はもはや本当に行き詰ったものなのか、それともニュータイプという可能性は存在しうるのか。
世界は共感と対話の時代にはけっしてならないのだろうか。
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Posted by ブクログ
設定い違和感あり
・宇宙世紀の作品としては、初代官邸が宇宙に作られたという記述により過去の宇宙世紀作品と大きな齟齬を生んでいる点が、その後読み進める上でも、なんとなく納得できない引っかかりになるように感じてしまいました。
閃光のハサウェイの物語が、この後にあるとすると、これも違和感があります。
・作品自体は、引き込む力があり、心沸き立つシーンの描写も多々あります。
また、福井さんの作品のわりには、必要以上に武器の詳細の表現にページをさくことがなく読みやすいと感じました。
・読み物としてのレベルは高いと思うのですが、ガンダムの宇宙世紀の根幹にかかわるような設定に、不用意に触れているよう感じる点が、もったいないと思います。