河野真太郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ素晴らしかった。新書で泣いてしまったのは初めて。
最終章で出てきたライ麦畑で捕まえて、は筆者と同年代のわたしもだいたい同じ時期に読んで、とても強い印象を受けたことを思い出し、若かった当時感じていた不安や、不満、焦燥がいっきに蘇った。そしてずっと歳をとった今、社会のあり方に途方にくれ、イスラエルで拷問を受けているというガザに向かった若い彼女とその仲間たちに対して私は何が出来るのか…という無力感や申し訳なさで苦しくなった。
どんな社会があり得るのかを考えてみよう、という筆者の呼びかけに応えたいと思う。
しんどくなるニュースばかりで考えることをやめてしまいそうになるけど、諦めずに少しずつ。
ア -
Posted by ブクログ
第1章なぜアナ雪のエルサは、ひとりでハッピーとはならなかったのか。女性だからではないか。
第2章のロビンソン・クルーソーの孤独を発見したことで、居場所を見つけるという考え。
第3章ダンバー数では安定した関係を維持できる個体数(知り合い)の上限を平均150人と推定。
第4章現代人はフリーレンのように死を知らない子どもになりつつある。死別という喪失はますます個人的になものになっている。
現代では経験を共有できないと孤独を感じる。シェアすればするほど、伝わっているか確認できないため孤独になる。
第7章 ではどうすればいいのか。ベーシック・インカムを提案する。年齢、職の有無関係なく最低限の生活を保障す -
-
-
-
Posted by ブクログ
『新しい声を聞くぼくたち』を読んだ。
強く心に残ったのは、男性性をめぐる物語がどうしても「個人の努力」に結びついてしまうという指摘。ケアできる男性や新しい男性性を獲得することが良いことのように語られても、それが結局は別の形のマッチョイズムになってしまうのではないか。そこに上手く馴染めず、ひとり袋小路で苦しむ人もいるかもしれない。そう思うと、胸が少しざわついた。
新自由主義のもとでは「ケア」や「連帯」でさえ個人の資質や努力として語られがちで、そこから外れる人を排除してしまう危うさもある。けれど、そうした視点を言葉にしてくれることで、自分が日々あたりまえに受け取っていた考え方を少し立ち止まって見 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「孤独」についての認識の再考を通して、国のあり方について考えを広げられるのですね。
いきなり脱線するけれども、そもそも、私たちは普段使っている言葉についてきちんと知らずに使っていると思い知らされる。語彙を増やすって、本をただ読んでいろいろな表現に触れることが大事だと思っていたけれど、著者が肯定的な孤独、否定的な孤独、物理的・精神的といったように、分解して孤独の概念を説明しているのを読みながら、ひとつの言葉や概念についてとことん考えてみることで、つまり他との比較を通して、その言葉がぴったりと使えるようになるのがとても大事なようにも思えてきた。外国語だったら意味を調べて言葉を的確に使えるようにな -
Posted by ブクログ
一人で行動するのが好きなので孤独に関して書かれた本には興味があった
孤独にはロンリネスとソリチュードがあり、その違いや変遷を歴史を振り返りながら映画や文学作品で孤独はどのように取り扱われてきたかを紐解いている
またソリチュードでいられることはある種特権的なものであることにも言及しており、たしかにそういう部分もあると納得をした。一人でいられる環境というものは特に女性は得ること自体が難しい
また孤独でいることを許容する社会とは誰かを排除するような社会ではなくあらゆる人を包摂する社会であるべきだということが誰しも孤独になることができて、なおかつ孤独に苦しまない社会であること
そのためにはいまある社会 -
Posted by ブクログ
私たちは孤独を恐れる一方で、孤独が得られず苦しむという矛盾を抱えている。悪い孤独(ロンリネス)と良い孤独(ソリチュード)の区別はなぜ生まれたのか?現代人を脅かす孤独に対処するヒントを、『アナと雪の女王』『ジェイン・エア』『葬送のフリーレン』など様々なジャンルの物語の中に探る。
独りでいることそれ自体は必ずしも悪ではない。ヴァージニア・ウルフも言ったように、創造的な活動にとって孤独になれる環境は欠かせないものだ。大切なのは、孤独な人を排除せず、ゆるやかに包摂することのできる社会をつくること。『アナ雪』のエルサがエルサのまま自由に生きられる世界であってくれたらと心から願う。 -
Posted by ブクログ
序章
鈴木敏夫 スタジオジプリプロデューサー
鈴木敏夫は「風の谷のナウシカ」の制作背景やそのテーマについて語っている。彼は、作品が発表された当時の社会的・環境的状況がどのように影響を与えたのかを考察し、ナウシカというキャラクターが持つ強い意志や優しさが、現代においても重要なメッセージを持っていることを強調している。
風の谷のナウシカの題材は『新諸国物語』(NHK ドラマ1952年)。
ナウシカが旅をして、見聞きしたものによって、読者が世界の秘密を知っていく。宮崎駿は「勧善懲悪」が好きで、それが「自然を守る人がいいひとで、自然を破壊するのは悪人」と言う物語にした。
赤坂憲雄の『ナウシカ -
-
-
Posted by ブクログ
圧倒的な“マジョリティ”として表象されてきたヒーローは、この多様性の社会のなかでどう変わっていくかという話をアメコミや洋画、漫画やアニメなどを通じて横断的に論じている本だった
MCU作品とか海外のヒーローもの映画が好きな人はより読んでいておもしろいと思う。自分はそこまで映画に詳しいわけでもヒーローものに詳しいわけでもないので、なるほどそういう展開があるのね…と思いながら読んでいた
一番おもしろかったのはプリキュアがポストフェミニズムであること。本のなかでより詳しく言及されていたのは「HUGっと!」だけれどポストフェミニズムにおける理想像である「すべてを手に入れた女性像」を主人公が表しており、ポ