河野真太郎のレビュー一覧

  • 新しい声を聞くぼくたち

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    フェミニズム論の立場から映画、漫画などサブカルチャーを評論する。面白いのは、そこから推測されるような、サブカルチャーに現れるミソジニー的傾向を明らかにする、わけではないことだと思う。むしろ、本書の主眼は、現代的な価値観の中で望ましいとされるケアする男性、イクメン的男性が、アッパーミドルの価値観=ネオリベラリズムと結びついているのではないかという問題提起にあるのだと思う。もちろんそういったフェミニズム的な価値観を否定するわけではなく、ポストフェミニズム的な状況からこぼれおちるものがミソジニーに結びついてしまう現状があることで議論を一歩進めている。障害者の負う障害が「個性」とみられることで障害者へ

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    2023年05月05日
  • 新しい声を聞くぼくたち

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    差別や抑圧の解消を目指す言説が「新自由主義的な罠」に絡め取られがちなことに警鐘を鳴らす。そのために「脱構築」を繰り返し、良い意味でも悪い意味でも「めんどくさい」議論になっている。「男性性」の描かれ方を多くの小説・映画・漫画等の物語分析を通して論じている。ただ、知らない作品も多く、知っている作品でも詳細は覚えていないものが多く、この本を頼りにそれらを見返す余裕とエネルギーがあるとよいのだろうが、とは思う。

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    2023年04月08日
  • 新しい声を聞くぼくたち

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    前作で、今のポストフェミニズム時代がポピュラー・カルチャーの女性キャラクターにどう投影されたかを、斎藤環さんの「戦闘美少女」という言葉を用いつつ論じた著者(あれ以来、私は巷に溢れるアニメや漫画がその視点でしか見えなくなってしまった。そのようなキャラを嗜好しているのは男性なのではないかという疑問は拭えないが…)。

    では、男性は、男性キャラクターは、どのように描かれるようになったのかを論じたのが本書である。フェミニズムの問題とされていることのほとんどは実は「男性の(が?)問題」としたうえで、男性には、マジョリティである自分たちの加害性を自覚・反省する立場の者たちと、自分たちこそフェミニズムの被害

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    2023年01月22日
  • 新しい声を聞くぼくたち

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    抽象的なところは、申し訳ないけれど難しかった。
    作品解説の部分は面白かったかも。

    ジブリ作品
    確かに、ジブリ作品の男性は女性を助ける助力者としての役割。それが弱者男性としての生き残り戦略。

    アナと雪の女王
    否定的な感情を取り締まることを中心とした作品。
    エルサのもっとも大きな試練は感情をコントロールすること。
    エルサの魔法の力は、アナが突然の結婚を伝えたことに対する驚きと怒りの感情を抑えられないことによって、暴走を始める。そしてその暴走を解決するのは、アナとの和解と愛の確認。
    アナ(上機嫌、幸福感)、エルサ(不機嫌、怒り)のせめぎあい。


    男性も女性も、「男はこうあるべき」「女はこうある

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    2025年11月10日
  • ぼっちのままで居場所を見つける ――孤独許容社会へ

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    ネタバレ

    著者がカルチュラル・スタディーズの専門ということで、メディア・リテラシーに役立つものがあるかと読んだがそれはなかった。ただし、孤独に関するウルフの小説や映画が紹介されているのでそれを見ることがいいのかもしれない。

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    2025年08月12日
  • ぼっちのままで居場所を見つける ――孤独許容社会へ

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    「孤独」を「アイソレーション」「ロンリネス」「ソリチュード」に分類し、社会的孤立でも孤独感(寂しさ)を感じることもなく、良い孤独を得るにはどうするか。
    「アナ雪」や「葬送のフリーレン」など人気漫画を例に、学問する。良い孤独とは、(大小あれど)社会と繋がりながら自立していること。
    女性の自立の条件で、「自分の部屋」と「五百ポンド」があげられているが、「衣食足りて礼節を知る」が連想され、社会との関係性は、生活ありきというのは世界共通なのだと感じた。
    ホームレスの小山さんの文章は心に響く。

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    2025年04月15日
  • ぼっちのままで居場所を見つける ――孤独許容社会へ

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    ソリチュードとロンリネスそしてアイソレーション
    (孤独)の考え方。
    ロンリネスは主観的な孤独、孤独感のこと。否定的なもの。苦しみをもたらすもの。
    ソリチュードは否定的なものではない。解放をもたらし、自分と向き合い、創造性を発揮するような豊かな時間・状態のこと。

    孤独について考え、社会について考える事は物質な問題であるのと、同時に想像力の問題でもある。

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    2025年03月13日
  • ぼっちのままで居場所を見つける ――孤独許容社会へ

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    イギリス文学や映画、漫画などを題材に、「孤独」について様々な観点から考察し、「良い孤独」が許容される社会を展望。
    孤独をテーマとした文芸批評として興味深い内容だった。ただ、「悪い孤独」の原因としての新自由主義批判やその解決策としてのベーシック・インカムの指摘など、それはそれで理解はできるのだが、孤独に思うところのある自分として、「ぼっちのままで居場所を見つける」や「孤独許容社会」というタイトルから期待していたものとはちょっと違ったかなという印象。

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    2025年02月23日
  • ぼっちのままで居場所を見つける ――孤独許容社会へ

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    エルサやロビンソン・クルーソーといったキャラクターから『森の生活』のソローや『自分だけの部屋』のウルフといった実在した人物まで幅広く取り上げながら孤独について述べられた一冊。未読の原作も多くて興味深かったし、現代社会でぼっちのまま楽しく生きるヒントがたくさん記されていました。

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    2024年11月17日
  • ぼっちのままで居場所を見つける ――孤独許容社会へ

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    孤独(いわゆるぼっち)であることをこの社会は
    悪く捉えているところが問題であると著作は
    本の中で語っていた。
    アナ雪や葬送のフリーレン、イギリス小説などに
    焦点を当てながら「孤独」について書かれている。

    1人でいることを選んだ人が楽に生きれる社会の
    実現というのは簡単なことではないのかなと考えされられました。

    それでも自分はなんやかんや1人になりたいから
    おひとりさまでも家族、恋人連れでも誰にでも寛容な社会になって欲しいなーと思います。

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    2024年11月03日
  • ぼっちのままで居場所を見つける ――孤独許容社会へ

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    タイトルからつい、ソリチュードの心理的な側面に光を当てた本かと思っていたが、文学の話が中心となっていて最初は少し読みたいものとは違ったかな、と思った。でも読み進めるうちにこれは人間一人のソリチュードに光を当てるのではなく、万人が安心してソリチュードの楽しめる社会をどう作るか、それを妨げる社会とはなにか、それを想像しようと訴える本なのだと最後まで読んで理解した。

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    2024年10月26日
  • 正義はどこへ行くのか 映画・アニメで読み解く「ヒーロー」

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    近所の書店で目に留まり、手に取った。

    アメリカのヒーローを中心に、多様性やポストトゥルースの時代にヒーロー達はどのように正義を示しているのかを考察した一冊。 マーベル系の話題が多いこともあり、少し小難しく感じる議論も個人的には入りやすく感じた。
    後半日本のヒーロー(扱いが大きいのは仮面ライダーとプリキュア)も採り上げており、アメリカとはまた別のアプローチながら、時代とともに変わっていってるというのをあらためて感じることができた。

    善悪を作りにくい時代であるが、だからこそ著者の言うように新たなヒーローがどのようにアプローチしてくるかは、今後も追いたいと思えた。

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    2024年05月30日
  • 正義はどこへ行くのか 映画・アニメで読み解く「ヒーロー」

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    仮面ライダー論みたいなの読まざるをえない事情があって。「新自由主義」がキーワードみたいなんだけどよくわからない。新自由主義ってゼロサムかなあ?

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    2023年12月20日
  • 危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ』

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    教養がないと読み切れない対談集、難しい内容だと感じる本だった。これほどの知識人、文化人がその立場や専門分野から様々な考察がされる。宮崎駿作品ならではのことだろうと思う。それこそ20年以上前に、ナウシカの漫画本を途中までだか、読んだ記憶はあるのだが、自説を語れるほどの読者ではないので、偉そうなことは何も言えない立場ではある。

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    2023年07月23日
  • 新しい声を聞くぼくたち

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    書店で見かけたのだったか、どこかの書評で気になったのだったか。ひとくくりにしちゃいけないのかもしれないけど、いわゆるジェンダー論。色んな観点から繰り返し触れて、少しずつでも自分のマチズモを削り取っていけたら、と。
    参考資料の中で気になったのは以下。

    映画 ジョーカー
    漫画 家政夫のナギサさん
     キッズファイヤー ドットコム

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    2022年10月14日