児玉雨子のレビュー一覧
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出産入院中に読むか〜と購入。
スカート履くのが嫌で泣いてた自分が出産か〜、、、という気持ちにマッチするエッセイがいくつか。
自意識についてがテーマなので当然っちゃ当然なんだが、「こういう私、どう?」が何気ない振りして3日目の経血くらい滲んでる文章も結構あったなかで、(そのヤンキーという修飾語いるか?みたいな)藤原麻里奈、すごすぎる。
女を捨ててるのに"女なのに"のリングの中で評価されることに気持ちよさを感じる、ってところ、こんな素直に自分の欲求捉えられるのすごすぎる。(2回目)
自分も自分しか見ないような日記ですらすぐ滲ませちゃうので、ああいう文章を書けるようになりたい。 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった…!
身体について言語化することは難しいと思いながら、言語化欲求もあって、そこをストレートに表現してくれている言葉は、ポジティブなのかネガティブなのかは分からないが震動を伝えてくるようで、ちびちび読み進めました。
わかる、わかるよ…となるところもあれば、こんな身体感覚を持つ人もいるんだ〜と知るところもあって、何かしらそれが身体にフィードバックされて、終始不思議。
島本理生「Better late than never」
…直後よりも、むしろ二、三日目から、不安定さを伴った執着心はピークを迎えて、その最中には激しい恋をしているようにも感じていたが、その後、十日間かけて緩やかに下降した -
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女性の書き手が綴る、「身体」についてのエッセイたち。
私がこれまでの人生誰にも言わずに、日記にすら書かずに閉じ込めてきた経験や思想や感情に近しいことが書かれていたりして、私だけじゃなかったのか……!という発見がいくつもあった。
私みたいに、自分の中に閉じ込めている人も沢山いるであろう内容をこうして書いてくださったことに感謝したい。
生理や身体の変化のこと、妊娠のこと、性自認のこと、性欲や自慰について、ルッキズム、性癖、尊厳などなど……
女性の体と30年付き合ってきたからこそ、どれも興味深い内容だった。
金原ひとみさんの「パリの砂漠〜(略)」を読んだ時にも思ったのだけど、
金原さんの文章だ -
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この本を読むとだいたいの女性はなんらかの性被害に合ってる、幼い頃から大人になるまでの期間で。
男性も性被害にあうこともあると思うけど、女性の比ではないだろう。
そういう危険にさらされながら生きるってどういことだろう。
そういう話しばかりじゃないけど「私の身体を生きる」というテーマで書くとなったらそこは避けられないことなんだろう。
特に西加奈子、柴崎友香、金原ひとみ、朝吹真理子、藤野可織、藤原麻里菜のは身につまされた。
千早茜の「私は小さくない」は共感。(そこまで激しく大きく強くなりたいとは思わなかったけど)
鈴木涼美の「汚してみたくて仕方なかった」はぶっとんでた。すごいアカデミックな環境だから -
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ネタバレモー娘。の「最kiyou」という曲の歌詞がすごく好きで、歌詞とリズムをマッチさせているところも好きで、そういえばモー娘。の歌詞を書く人が芥川賞候補になったよなーと思ったらこの方だった!
「特に美砂乃ちゃんは、今みたいに不自然なほど強引に話を変えた」
先に綴った会話を「今みたいに」って言う人初めて…
若い人が書く小説読まないから分からんけど、これって今わりと使われてる表現なんかな?
自分に喋りかけられてる感じがする、臨場感が出る
すごい
美砂乃ちゃんはお家の収入源でお金を稼ぎに行ってたのか…キッズモデルとかする人はそんな人っていっぱいいるのか
主人公と違って勉学を一番にしてないのは読んでて -
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ネタバレジュニアアイドルとして小学生の頃から事務所に所属し放課後レッスンに通い、CMのオーディションを受けていると聞けば普通だけど、水着での撮影レッスンや、撮影後にアイスキャンディーを舐める様子まで写真に撮られるとなると、普通・・・ではない。
知らず知らずのうちに被害者になっていた彼女が、デジタルタトゥーに悩まされてゆく物語です。
と書くと、主人公は、過去は忌まわしいものとして葬りたいと思っているようですが実際には違います。
知らずに受けていた性被害は被害としてあるけれど、当時同じくレッスンに通う親友がいて、彼女との日々はかけがえのない楽しい日々だったのに、その思い出まで全否定されることに戸惑い、途 -
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大学時代に国文学科だったにも関わらず、古典作品をほぼ覚えていない…自業自得でありながら、その状態にコンプレックスを感じていた。そんな私にとって、江戸文学を現代のカルチャーと交えて見事に伝える本作は大変救いになった。異種ヤンデレやほんま草生い茂って山、都会コンプレックスなど、作者の秀逸な言葉のチョイスによって難解な古典文学でも驚くほどスムーズにイメージが湧いたし、所々に挟んであるリメイク短編小説も、現代風に書かれており読みやすい。文化が異なる分、今では理解できない話があるものの、昔も今も人々は娯楽が好きで、物語を編むことをやめないのだな、と改めて実感。
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ネタバレ自分の身体、この女の身体について色々考えたりすることが最近多くてなんかつらくて手に取った。女性たちが自分たちの身体のことや性のことを話すときなぜだか安心する。わたしもそう思っていると、同じように考えている人がいるというのはそういう安心材料になるんだと思う。どの書き手も性被害を受けている人が多くて本当に社会はクソだ…… 碌でもない人ばかりで、そのせいで自分の体を大切にできない女性がいたりするんだと知った。
わたしはもうずっと女しか子どもを産めないことが本当に許せないので、藤野可織さんの妊娠についてのエッセイは本当に本当にめちゃくちゃ凄いな〜と思った。妊娠出産の機能を持つのが女性だけである時点で -
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読み始めて、あこういうテーマかと気が重くなった。芸能界の闇。読んでると辛くなる児童ポルノの闇。
闇っていうのは「自分の知らなかった領域やそこにいる人々に出くわした時の,手に負えない現実を見切る時の呪文であり、未知に遭遇した興奮にはしゃぐ時のかけ声」という一文があった。そのとおりで闇っていう言葉は思考や行動から逃げている立場からの言葉だと思う。
そんな闇という言葉と対照的に様々なの光の表現も出てきた。撮影時のストロボや夏の暑い日差しは、主人公のせつなを圧倒して潰してしまうような強い光。
でも、最後のシーンでせつなは日傘をさして日差しから自分を守っていた。せつなは自分を苦しめるものから自分を守る術 -
購入済み
読むのに気力のいる本だった
息子が中学にあがり、性教育を考えると男性視点の情報では難しいと思う事が多々ある
SNSでこの本のことが流れてきて書評を見た時、長男の女性に対する理解に何かしら寄与するかと思い、つい反射的に購入した。
男より女性の生き方はある意味で難しいが、性を持ち出すと安易に楽な選択を選ぶこともできる。
でも、それを選ぶと多くの場合、後でツケがまわる。だから、安売りするな、という言葉を親の世代は言う。
でも、若い世代が持て余す感情は大人の説教なんて聞き入れない。で、大人になって、同じように若い世代に言う。
そこに使える武器があってもそれを使わないって難しいこと。男が腕力で相手を従わせる選択をなかなか選べない -
Posted by ブクログ
腑に落ちなくてずっと何が言いたいのかを掴み損ねたまま読み終えてしまったけど、好きな本だなと思った。なんかわからんけどとてもおしゃれな感じがして良かった。表紙が合ってる。
奪ったり奪われたりしながら生きてるって感覚、よくわかるな…
この世界の片隅に原作ラストの右手のポエムを思い出した。あっちはもっと穏やかなニュアンスだったけど。
凸撃も苦しかったけど良かった。
ケンカの配信なんてものがあるんだなあ。
私も人生でそれなりに惨めな思いしてきたつもりだけど怠惰でいられるのは本当に心の底からは惨めで悔しい思いをしてないからなんだろうなと思った。幸せな人生だ…
あと、全体的になんか資格の話めっちゃされ -
Posted by ブクログ
私も夢女と呼ばれる者の端くれなので、帯の「夢小説」という言葉に惹かれて購入。(読んだのはだいぶ前なので、この感想も記憶が曖昧な中書いているのだけど……)
具体的にどんな内容なのか想像つかず読んだ記憶があるが、内容は児童ポルノ問題とか毒親要素もあって、なかなか重めだった。
「あくまで『夢女子』に焦点を当てた」という作品ではないので、私のように「エッ夢小説が出てくる作品が芥川賞候補!?!!?一体どんな内容なんだ!!!!」と意気込んで読み始めるといささか拍子抜けかもなので、夢女の皆さんはそこは注意。
むしろ焦点を当ててるのはタイトル通り「名前」。自分を象徴するものである名前が、苦しみの種になったら… -
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児玉雨子さんによる江戸(近世)文芸の紹介エッセイとリメイク短編小説を収録した本。そういえば江戸(近世)文芸ってあまり話をしている人たちも見ないな…?と思って読んだ。あと単純に児玉雨子さんの『##NAME##』が超よかったので他の著作も読んでみたくて。松尾芭蕉の創作者メンタルや平賀源内の異種ヤンデレ純愛幼馴染ハーレムBL、江戸時代のスラングや遊女たちのシスターフッドなど、そんなこと書いてたの!?と衝撃を受ける作品の数々を紹介しており、そりゃ当時といまの価値観であわないこともあるだろうけどそれと同時に変わらないものもあるんだよな…人間って今も昔も似たようなことで喜んだり悲しんだりしているよな…と当
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Posted by ブクログ
児玉雨子さんは初めて読んだのだけど、好きな作家さんだ。テーマの切り取り方も文体もかなり好みだ
人の無遠慮さを描くことにためらいがなくて、目をそらしたくなるような言動が主人公にぶつけられて雑な扱われ方をされ、それに慣れていくことにこちらも疲れてくる。そう思った矢先に「傷つくことに疲れてきた」という一文が飛び込んできて、主人公とシンクロしているような作者にこちらの心が読まれている気持ちになった
いま私たちは増やそうと思えば容易に名前を増やすことができる。SNSだって複数アカウントで作れるし所属するコミュニティによって名前をつけかえることができる。そのコミュニティで呼ばれるその名前は間違いなくそこで