児玉雨子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
性というか性別(性自認や対象)というか、性欲というか性癖とか、性体験とか。
「性」のことはご法度的で親子、恋人、親友でも避けたりするわけで、孤独な世界だと思ってきたけれど。それが女性作家が17人も語るわけで下品上等、生々しくて面白い。
面白い、と言ってる事を下品と言う人もいると思いますが、多様性?とあえて言葉にすれば線引きしないでよ、と。
面白いというのは具体的に変えれば興味深い、が適切か。いやらしい意味でなく、前述のようにご法度な他者の世界に興味があるわたしは、作家がこうもあけすけにエッセイとして実体験や思想を語ってくれてありがたく。
本として残るので結構なカミングアウトもあったりするわけですが、それはどういう心境なのだろうか、とも思ったり。
他にもこの手の本はあるのかな?と探したくなったほど。
男性作家版も出して欲しい所存です。
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Posted by ブクログ
ネタバレ誰もが自分自身の正義をかざして、誰もが消費しあっているのかもしれない。「シュート」(撮影)している・それを観る男達の視線がたえず付きまとっている。一方雪那達は「BL小説」「夢小説」を通してキャラクターを消費していて······。そしてその原作者は······。また雪那の過去を、大学の同級生は「それを題材に書こうとする」ことで消費しようとする。消費が入れ子構造になっていると思った。
「児童ポルノ」で書類送検された男は20万の罰金で済ませられているのに対し、雪那が数年間の「お仕事」で得られた総額は30万だったし、改名に8万かかっている。お金の価値ってなんなんだろうと思ってしまった。
現代にも「被害者とされた女の子たち」はたくさんいるし、「私にはこれしかないから」と思い込んでいる子達がいなくなればいいなと思う。現代のアイドルでも小学生から脇を露出したノースリーブ型でかつミニスカートの衣装を着ている事務所が実存している。その子達を「応援」している多くは異性、つまり男性たち······。なぜ美砂乃が「妊娠」して活動休止をしたのかというのも、「母」となることを嫌い、「女性の年齢の若さ」を押し出して成り立つ性産業の構造。 -
Posted by ブクログ
知らない世界がそこにあった。
ネットは駆使しているつもりの私だが、
ヤフオクとかメルカリはノータッチ。
めんどくさい、という気持ちが先に立つ。
打ってもいいものは家にごろごろあるけど、
出すならリアル店舗、セカンドファクトリーとかで、
二束三文で売りさばかれるのが関の山。
ネット上の方が必要としてくれている人がいるのは
わかっているのだけれど。
この小説は、そのあたりのハードルを下げてくれる。
夫がメンタルで休職したため、生活費稼ぎと、
家のものをメルカリに出し始めた女性が主人公。
次第にドンキで特売のものを売って見るようになり、
その販売価格を調べるアプリを使っているところをたまたま見た女性が、
主人公をせどりサークルの仲間に入れる。
この辺まではなるほどねえ、という感じだったが、
このサークル、極めて合法的で丁寧だけど、
だんだんビジネスっぽくなってきた。
リーダーと、ツチヤさんがだんだんぶつかるようになる。
夫は夫でだんだんこじれてきて、、、
こういう男、いるんだろうなあ。
社会から外れてしまった男。
うまくすれば再利用できるのかもしれないが、
捨てるか?せどりか?
主人公が気の毒になる。
実際主人公がだんだん壊れてきた?
そして結末は、、、
どうしてこういう終わらせ方をするのかなあ。 -
Posted by ブクログ
感想が難しいけど、面白かった!
クソな夫への鬱屈した気持ちとか、初めてのことに戸惑う気持ちとか、もう全部うっちゃってしまえ、みたいなのとか、せどりサークルでの人間関係とか、こういうことはありそうだなと思える
不要なものを必要とする人へ譲る
リアルのフリマや知人同士ではよくあることなのに、アプリやネットを介すと一気に胡散臭くなるのはなぜなんだろう
不用品に価値をつけて利益を産もうとする行為が浅ましく感じてしまうからなのか
休職中の夫は収入が無いにも関わらず、理想の自分の演出のため次々と買い物をして不用品を増やす。
その不用品を出品する主人公を見て夫は『ゴミあさり』『排泄物』と、嫌な顔をする。
いやいやオマエいい加減にしろよ、と怒らない主人公は優しい。
せどりサークル活動はストレス解消にはならないけど、ものの価値を再定義しながら主人公が自分自身の価値も再定義しようとしていたように感じた。
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Posted by ブクログ
ネタバレ好きな作詞家さんによる夢小説にまつわる話ということで、以前から気になっていた作品。芥川賞候補作は自分には難しく読み進めるのに苦労することが多いなか、こちらは珍しく一気読みしてしまった。(時系列が交互に入れ替わるから、年齢の計算をするのが少し大変だったけど)
オタクの色んな思想について夢小説を通して描いた話なのかと思っていたら児童ポルノに繋がっていって、想像以上に社会派な内容だった。名前をテーマに夢小説をフックにする発想がさすが児玉さんという感じ。
主人公は##NAME##=何者でもないただの自分、つまり石田雪那でも、石田せつなでも、ゆきじでも、ゆきでもない自分でいられるから夢小説にハマったのだろうか。
何も知らない人から見たら闇にしか見えない中にも当人にとっては光があって、そこで自分らしくいられる自分に名前を付けてくれた君をずっと思ってる、というのに胸が締め付けられた。何も知らない人たちにその頃のことをとやかく言われて、大事な思い出を汚されたくないよね。最後の2行が歌詞っぽくてものすごく好き。
公園のシーンで主人公たちと一般的な子どもたちが光と闇の対比になってるところも、映像美を感じて印象的だった。
夢小説の内容まで詳しく書かれているのは何でだろう?と考えてみて、その内容がアレックスと夢主しか知らない2人だけの密やかな日常の話だったから、もしかしたら主人公にとっては美砂乃ちゃんと過ごした「ゆき」としての日々が夢小説のようなものだった、という構図になっているのかな?と思ったり。
読後に時間が経ってからジワジワと味わい深さが募ってくる作品だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ夢小説についての話であると聞いて購入。
帯にあるような夢小説の話というよりかは、他者によって名付けられるということがその概念やその人にどのような意味をもたらすかという作品のように感じました。
かつてジュニアアイドルとして活動していた主人公・雪那。大学生になってから、当時の自分が性的なものとして搾取される側になっていた危険性(児童ポルノ)に気づくものの、今度は自分が二次創作や夢小説という形を通して誰かを搾取する側に回ります。
特に印象的だったのは、大学生になった雪那がジュニアアイドルだった過去を知られ、友人から「あなたはそっち側じゃないでしょ!?」と言われたシーン。搾取される側だった雪那はその気持ちがわかるのだから、搾取される側の視点になって書くべきである!あなたがやらないのであれば、私が代わりにやる!!と言われ、思わず漫画用の墨をぶっかけます。私もあえて「搾取」という言葉を使っていますが、生身の人間であろうと二次元であろうと、一次創作(オリジナル)が定義されている限り、そのオリジナルが誰かのフィルターを通すことは、オリジナルとは異なるものであるということを忘れてはなりません。生まれた概念に名前をつけるのは自分自身であって、第三者が「かわいそう」「あなたは被害者なんだ」などと勝手に名前をつけてはならないのです。
フレーズとしてはとても綺麗。雪那の心を丁寧に掬い上げながら、それをダイナミックな言葉で表しているのが印象的で、お気に入りのフレーズもたくさんあります。(付箋大量につきました〜♡)
pixivや占いツクールなどでよくある自由に名前を変更できる「##NAME##」。最初に想像していたお話とは異なりましたが、内容を理解した上でもう一度読みたいと思った作品です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレメルカリみたいなフリマアプリで使わなくなった生活用品を売る主人公に共感を覚える。
そんなに人の目を気にしすぎなくてもいいのにってくらい、人からどう思われるかを気にしてるように思えた。
旦那に文字通りクソみたいな言い方をされても結婚生活は続いてくってのがなんかめっちゃよかった。
「自分に価値があるかどうか考えたことがないのだと思う。
ある、という前提で生きている。」
急に一緒に居るのが息苦しいほど苦痛になる瞬間ってあるなぁ。旦那との会話がかなり面白かった。ほつれるって映画での主人公と旦那がちょくちょくする地獄みたいな会話っぽくてよかった。
フラフラしてるゴミ収集車にぶつかって終わりなのがなんか嫌な感じ。前に立ち塞がるのがゴミってのがなんとなく悪い雰囲気を醸しててそれもよかった。 -
Posted by ブクログ
女性作家の自身の身体にまつわるエッセイ集。特に30,40代の今人気の作家さんたちだけを集めたというのが面白い。自身の身長について書かれている方もいたが、自ずと性にまつわる話が多かった。
個人的に感動したのは村田沙耶香さんと能町みね子さん。こちらの感想で、女性なのに自慰について書かれている方が多くて引いた、という感想が少なくないのは正直ちょっと残念だなと思った。村田沙耶香さんは幼少期から行っていた自慰について、いやらしいものという周囲との認識の差に未だに慣れない、ということを書かれていたのだが、子供の頃の自分の王国という表現でその感覚について本当に美しい描写をされており、涙が出そうなほど感動した。現代の子供向けの性教育本を読むと、自慰は人前でオープンにするものではないがご褒美のようなもの、とあり、本来いやらしく汚らわしいものというより村田さんのような表現が正しいのではないかと思った。
また、能町さんの文章は珍しく彼女が普段あまり公で書かれない自身のトランスジェンダーであることの葛藤が書かれており、普段の彼女の冷笑系の口調ではなく、本当に心の叫びという感じで涙が出た。さすが言語化能力に長けている方だけあって、「ノーマル」な人間への想いなど、初めてトランスジェンダーの心の片鱗のようなものを少し理解できたような気がした。
それにしても、西加奈子さん始め、ほとんどの作家さんが若い頃に性被害を経験しているというのが恐ろしすぎる。言葉にするお仕事の方たちだからこのようにオープンにして下さったが、被害を言葉にできない人間がどれほどいるか(小さいものも含めたらもしかしたらほとんどの方かもしれない)と思い知らされた。