児玉雨子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「私の身体」を「生きる」とは何だろう。いや、「私の身体」とは何だろう。そもそも、「私」とは何だろう。
各作家たちの切り口は様々だが、みな共通しているのが、己という存在を不可欠に構築するこの肉体というものの生物的な役割にも社会からの眼差しにもかなり戸惑い、苦しみ、受け入れたり受け入れられなかったりしながらどうにか生きている点で、強く連帯感を持ちながら読んだ。
痛ましさを感じたのが、執筆陣の女性たちはほぼほぼみな性被害の経験がある点。私にもあるし、私の友人たちもほとんどあると思う(学生の頃、痴漢が話題になったとき、その場にいた10人ぐらいのなかで痴漢に遭ったことがない子は1人しかいなかったことを -
Posted by ブクログ
個人的には、幼少期に出てくる夢小説を読みながら、せつなは自分の気持ちをそのキャラクターに投影していたのではないかと思った
確かにせつなや美砂乃ちゃんは児童ポルノ被害者なのだろう大人に性的に消費される側だったかもしれないしその当時はそのことに気がついていなかった
だけど、その時期全てが辛いのではなく彼女たちなりの楽しい部分もきっとあった
それを否定されたことで二重に傷ついたではないか
でも生きてる
消費されて傷ついてるかもしれないけど、彼女たちは今は自分を大切に生きようとしている
そんな風に考えてどうか彼女たちのような子どもがいても幸せに生きてほしいと思った -
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Posted by ブクログ
ネタバレ夢小説の文学だ!!?と思って読んだけどすごく計算されている話という印象を受けた
夢小説に名前入れないで読もうとすると##NAME##って出たよね 今もそうなのかな
ジュニアアイドルの問題に関する記事を読んだりするとこの小説のことを思い出す
母の強い意向でジュニアアイドルの仕事をしていた主人公だが、やめたあとも画像は名前とともにネット上に残り続け、検索すれば簡単に見つかるデジタルタトゥーに変わる
夢小説の名前を入力するという部分と、主人公が後半で名前を変えるという部分が伏線回収になる
ジュニアアイドルを続けていった友達との描写もよかったし、最後の新しい名前を母は知らないっていうのがよかった -
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Posted by ブクログ
ネタバレ児玉雨子さんの歌詞が大好き。
『とろとろした風に綿毛が舞っている』(p16)
こういう表現が素敵だし、さすがだなぁと思う。
『説明は、他人が知らない言葉を呪文にして威圧している気分になるから、なるべく生活する中で避けて通りたい』(p21)
ここも雨子さんの感受性の豊かさを感じられて良いなと思った。
『わたしをわたしたらしめる何かを誰にも奪われたくない。でも、守ろうとしているそれがわからないままでいる。』(p94)
この小説のタイトルである「誰にも奪われたくない」ってこういう事だったのね。
自分らしさって多分自分が一番よくわからない。
自分らしさを客観的に理解できてる人っているんだろうか。 -
Posted by ブクログ
この作品は本当に自分にとって良い作品だった。
生き辛さを表現する作品は多いけど、この表現の仕方は斬新で面白かった。タイトルがこのように回収されると思わなくて驚いた。
「1人じゃ生きていけない」の解釈がとても面白い。
気付いたら1人で生きてなかった。みたいな感じで、自然に他者ありきの自分が成り立っていて、それは感情とか依存心的な話でもない。その点はこの本の魅力だと思う。
終盤の真子ちゃんの生き方はとても響いた。
これからは自分の力で自分を作るという強い意志がその人物にとても好感を持てた。
その反面1人で生きていくことは寂しくもあり、遠い存在にも感じてしまう。
こういったシンプルな意味でも1人 -
Posted by ブクログ
ネタバレメルカリみたいなフリマアプリで使わなくなった生活用品を売る主人公に共感を覚える。
そんなに人の目を気にしすぎなくてもいいのにってくらい、人からどう思われるかを気にしてるように思えた。
旦那に文字通りクソみたいな言い方をされても結婚生活は続いてくってのがなんかめっちゃよかった。
「自分に価値があるかどうか考えたことがないのだと思う。
ある、という前提で生きている。」
急に一緒に居るのが息苦しいほど苦痛になる瞬間ってあるなぁ。旦那との会話がかなり面白かった。ほつれるって映画での主人公と旦那がちょくちょくする地獄みたいな会話っぽくてよかった。
フラフラしてるゴミ収集車にぶつかって終わりなのがなんか -
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Posted by ブクログ
女性作家の自身の身体にまつわるエッセイ集。特に30,40代の今人気の作家さんたちだけを集めたというのが面白い。自身の身長について書かれている方もいたが、自ずと性にまつわる話が多かった。
個人的に感動したのは村田沙耶香さんと能町みね子さん。こちらの感想で、女性なのに自慰について書かれている方が多くて引いた、という感想が少なくないのは正直ちょっと残念だなと思った。村田沙耶香さんは幼少期から行っていた自慰について、いやらしいものという周囲との認識の差に未だに慣れない、ということを書かれていたのだが、子供の頃の自分の王国という表現でその感覚について本当に美しい描写をされており、涙が出そうなほど感動し -
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