宮脇孝雄のレビュー一覧

  • 指差す標識の事例 下

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    歴史の転換期に立ったイングランドを舞台に、多数の実在の人物を壮大なフィクションの世界に引きずり込んで繰り広げられる謀略の物語。上巻で積み上げられた謎を下巻で解き明かしていく構成で、正直、上巻はかなり忍耐力が必要でした。

    書物と宗教的背景が絡んでくるためウンベルト・エーコ『薔薇の名前』が引き合いに出されていますし、「犯人探し」の体裁を取ってもいますのでクリスティも言及されています。が、おそらく読書子各位はそれが作品を皮相的に捉えただけの惹句であろうことを、早々に見抜いた上で読み進められたことと思います。

    そういう意味では、クリスティもエーコも「レッド・ヘリング」だったと言えるかも知れませんね

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    2025年11月24日
  • 翻訳地獄へようこそ

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    読みにくい翻訳の本はあるけど、なんとなく把握できるので、あまり気にしてこなかった。

    翻訳の趣味を始めて、この本を手に取り、面白かった。

    誤訳の指摘も痛快。
    全く逆の意味になってるものとか、原文のニュアンスを台無しにしているものとか。
    その人の知識と力量が出てしまいますね。

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    2025年11月17日
  • 指差す標識の事例 下

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    ネタバレ

    下巻は暗号解読の達人である幾何学教授の手記から始まる。
    上巻は、まずヴェネツィア人の医学生であるコーラの手記から始まったのだが、真面目でお人好しの好青年と思われた彼の姿は、ふたり目の法学生プレストコットの手記によって、いささか様相が変わってくる。
    重大な事柄の記述漏れ、明らかな噓。
    コーラはなぜ、ロンドンではなくオックスフォードにやってきたのか。

    しかしプレストコットの手記も変だ。
    尊敬する父の汚名を返上するための彼の行動は、どう見ても常軌を逸してきている。
    ヒステリックなその行動を、彼は、さらに魔法をかけられたからだと思い、その魔法から逃れるために、サラを無実の罪に陥れ、死刑へと向かわせる

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    2023年04月07日
  • 指差す標識の事例 下

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    各章の語り手のミソジニーとパターナリズムに辟易しながらも、語り口と構成に乗せられて一気に上下二巻を読み通してしまいました。
    読後感も程よく、面白かった!

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    2022年05月08日
  • 指差す標識の事例 下

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    長い。
    ちょっとした知識どころか、相当念入りに勉強してから挑んだほうがいい。
    下巻最後の人物解説、年表、訳者解説を最初に読んだ方が楽しめるような気もしました。
    かなり読み手を選ぶとは思うけど、個人的にはがんばって読んでよかったかなって感じでした。
    歴史、宗教絡みのネタに微塵も興味を感じない人には全くおすすめできないし、おもしろくないと思います。

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    2021年02月10日
  • 指差す標識の事例 下

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    第三の手記は幾何学教授ウォリス、最後は歴史学者アントニー・ウッド。
    四部それぞれ翻訳者が違うという趣向がまた面白い。「信用できない語り手」、楽しいなあ。

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    2020年11月28日
  • 指差す標識の事例 下

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    ネタバレ

    深いですね~側面どころか、縦・横・斜め・あげくは斜め下から読まなくてはならない本だったなんて・・・。
    4人の手記の形をとっていても政変ありスパイもどきも出没。そしてまさかのキュン話にまで行き先を変えながらもミステリーの形を保ち、謎は深まるばかり。
    『薔薇の名前』を称している通り、時間をおいてまた手に取ってみたいカモ。

    自分のなかの最大の??だった東江先生の謎もあとがきでスッキリ。

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    2020年09月20日
  • 翻訳地獄へようこそ

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    先日、「誤訳も芸のうち」などと悪びれもせず堂々と言い切っている某翻訳家の本を読んだら、解釈と訳があまりにも気持ち悪くて大変にストレスがたまった。(「超訳」は芸のうちかもしれないと思うけど、誤訳は誤訳だろ、と言いたい。まあそのタイトルの本は読んでないけど)
    とにかく「口直ししたい!」との思いから、宮脇氏のこの本を、砂漠で水を求める遭難者のような激しい渇望感で手にしました。

    すばらしくおもしろかったです!!
    宮脇氏の本の中で、一番おもしろかった。
    口直しどころか、すごく幸せな気分になりました。というのも、全ページから、著者が読書や文学、もっと言えば、「知識そのもの」をいかに尊び愛しているかが伝わ

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    2018年08月24日
  • 翻訳地獄へようこそ

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    文句なしに面白い翻訳指南書。翻訳やりたくもなるし、怖すぎて絶対無理とも思う。あーもっと読んでいたかった!

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    2018年07月02日
  • 翻訳家の書斎――〈想像力〉が働く仕事場

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    最近、翻訳のおもしろさに目覚めて、趣味の一つとして好きな本の翻訳をしているのだけれど、むかし読んでいた「週刊ST」に、翻訳者のおもしろいコラムが連載されていたなぁ、と思い出して、改めて読みたくなりました。
    「週刊ST」は英語学習者向けの日本語まじりの英字新聞で、紙面では同時通訳者の新崎隆子さんのコラムとこの宮脇氏のコラムが見開きで対になっていて、両方を毎回楽しみに読んでいました。
    新崎さんのコラムの方は書籍化されたものを読んで、非常に感動した記憶があり、同じSTつながりの翻訳者の方も本になっていないか探してみると、やっぱり書籍化されていて、見つけたのがこの本です。

    翻訳をする上でのコツとか心

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    2018年06月08日
  • 翻訳の基本 原文通りに日本語に

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    何度も読み返したくなる素晴らしい1冊。良い訳のために沢山遊べ(そこで得た知識や経験が翻訳に活きるから)、という著者の感覚が端々に出てきて嬉しくなる。

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    2013年05月29日
  • 翻訳家の書斎――〈想像力〉が働く仕事場

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    様々な視点から翻訳についての考え方やテクニックが語られていて、非常に面白い。それも、頭ごなしに持論を振りかざすのではなく、ちょっと遠慮しいしい、ユーモアを織り交ぜて展開する翻訳論が、読み物としてもとても愉快。
    …ではあるが。デビューが早くキャリアが長いとはいえ、宮脇氏がこの本を書いたのは40代半ば。もう知識量とかそういう問題じゃなくてアタマのレベルがそもそも違ってるじゃん…と完全に自信喪失し、発作的にさじを投げたくなる危険な本でもあります。とほほ。

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    2012年10月07日
  • 続・翻訳の基本――素直な訳文の作り方

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    さすが翻訳のベテランだけあって、目からウロコの情報が満載。大学生なら必読の一冊だろう。
    ・拳銃の「三十八口径」は正しくは「三八口径」
    ・翻訳者のPCには、聖書とシェークスピアを入れておくべし
    ・textは動詞で「携帯でメールを送る」という意味
    ・give a laughは鼻で笑う
    ・back painは背中の痛みではなく、腰痛
    ・イギリスの小説でbefore the warとあるとき、それは第一次世界大戦のことを指す。
    ・yesterdayにはすぐに、という意味もある
    ・nodはうなずく、もあるが、任意の方向に首を動かすという意味
    ・lip serviceは、口先で神をたたえながら実際にはそう

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    2011年06月29日
  • 本好きに捧げる英国ミステリ傑作選

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    本好きに惹かれるて読むと肩透かしを食うが、英国クラシックミステリ好きなら非常に楽しめる本だろう。
    この錚々たるメンバーだけでも買う価値は十分あるが、その一つ一つがクオリティの高いこと。
    個人的にはフィリップ・マクドナルドの「殺意の家」が好みだった。これを読めただけでも満足である。

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    2025年10月22日
  • 本好きに捧げる英国ミステリ傑作選

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    本に関わる人に絞った英国ミステリのアンソロジー。短編や中編など16の章から成る。
    作者は既に亡くなっている昔の作品だが、英国人が好みそうな懐古的な作品が多い。古き良きイギリスって素敵でしょみたいに感じた。

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    2025年10月14日
  • 翻訳地獄へようこそ

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    翻訳ミステリー好きの人や、日常で英語と関わる機会が多い人にはとても面白い一冊。翻訳者の頭の中が覗けて、どんな本を読んでいるかも紹介してあって興味深い。英語が出来るだけでは訳せない翻訳の奥深さが面白かった。

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    2024年08月24日
  • 翻訳地獄へようこそ

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    翻訳ものが大好きなので、このタイプの本も大好きです。
    個人的には誤訳も何のその、気にならないタイプですが、確かに時々読みにくい翻訳があるなあ、と思っていたことに対して、回答を得たように思います。スッキリ。

    翻訳から、いろんな雑学に発展する感じで、とてもおもしろいです。
    残念なのは、引き合いに出されている本がどの本なのか、全部はわからないこと。繰り返します。ザンネン。

    ですが、アベラールとエロイーズとグレアムグリーンの評伝は読んでみようと思いました(笑)

    そしてまた死ぬまでに読みきれないほど、読みたい本ができてしまいました…

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    2023年05月02日
  • 指差す標識の事例 下

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    上巻をよみおわってやっと話が少し見えてきた。
    話の構成にビックリ、歴史的な内容にやや戸惑いながらも、読み終わったあとの満足感もひと味違う!

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    2023年03月30日
  • 指差す標識の事例 上

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    ネタバレ

    まだ上巻なので作品のできについての判断はできないけれど、あまりにも衒学過ぎてとっつきにくいにもほどがあると最初はうんざりした。

    何しろ17世紀のイギリスの話で、第一章の語り手はイギリスに着いたばかりのヴェネツィアの若者。
    多分本人による手記よりも会話は困難を極めただろうし、それに伴う勘違いのようなボタンの掛け違いもあっただろうし、文化の違いによるバイアスもかかっただろう。
    何よりも、宗教の違いは大きい。
    語り手は敬虔なカトリック教徒であり、英国は英国国教会を国教としている国。
    日本人から見ると同じ神を信じているはずなのに、神に対する姿勢は全く違う。

    ”プロテスタントがよく聖書の引用をして競

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    2023年03月23日
  • 洋書ラビリンスへようこそーー巨匠の珠玉の作品も未来の古典も!

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    洋書を紹介しているものだけど、翻訳が出ているものも多々あり、紹介されている本を読むことは思っていたより難しくなさそうでした。単純に紹介文が面白くジャンルも多岐に渡るので、面白かったです。

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    2022年01月08日