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Posted by ブクログ
先日、「誤訳も芸のうち」などと悪びれもせず堂々と言い切っている某翻訳家の本を読んだら、解釈と訳があまりにも気持ち悪くて大変にストレスがたまった。(「超訳」は芸のうちかもしれないと思うけど、誤訳は誤訳だろ、と言いたい。まあそのタイトルの本は読んでないけど)
とにかく「口直ししたい!」との思いから、宮脇氏のこの本を、砂漠で水を求める遭難者のような激しい渇望感で手にしました。
すばらしくおもしろかったです!!
宮脇氏の本の中で、一番おもしろかった。
口直しどころか、すごく幸せな気分になりました。というのも、全ページから、著者が読書や文学、もっと言えば、「知識そのもの」をいかに尊び愛しているかが伝わってきます。翻訳や英文解釈という技術的な解説もその愛がベースにあるので、表面的に終わらず奥深く掘り下げていて、そしてとってもおもしろい。
また、この本は「語学好きのためのブックガイド」的側面もあって、そのラインナップが浅学な私などは聞いたこともないような本ばかりで、しかも全部おもしろそう。
なんてことだ、全部は買えないし、読めない! どうしよう!なんて困ってしまう。
一番印象に残ったのは次の部分。
「イギリスの小説は、一見深刻そうな純文学でも、えぐいミステリでも、だいたいユーモア小説だと思っておけば間違いない。少なくとも、翻訳者から見れば、そういうことである」
初めて英語の小説を英語のままで読んだとき、一番に感じたのが、「英語の表現って、いつもどこかしらちょっとユーモラスなんだな」ということ。私が英語の文章を読むのが好きなのも、理由はそこなんだと言ってもいいかもしれない。
日本語という言語にはやや薄めの特性だからか、英語圏の人とのちょっとした会話においてもその違いを感じます。同じことを言うのにも、英語はクスっとくるような言い方をするというか。(日本語は逆に「しみじみとした表現」が得意だと思う)
英文のおかしみが、翻訳で消えてしまう実例、「語順を変えるだけで、原文の味わいを損ねることがある」(held at bayの章)などは、特に興味深かったです。
Posted by ブクログ
翻訳ものが大好きなので、このタイプの本も大好きです。
個人的には誤訳も何のその、気にならないタイプですが、確かに時々読みにくい翻訳があるなあ、と思っていたことに対して、回答を得たように思います。スッキリ。
翻訳から、いろんな雑学に発展する感じで、とてもおもしろいです。
残念なのは、引き合いに出されている本がどの本なのか、全部はわからないこと。繰り返します。ザンネン。
ですが、アベラールとエロイーズとグレアムグリーンの評伝は読んでみようと思いました(笑)
そしてまた死ぬまでに読みきれないほど、読みたい本ができてしまいました…
Posted by ブクログ
翻訳者の苦労が実例と共に説明されていて面白い。
英語を更に知ることもできて参考になる。
コンマ1つでそこまで意味が変わるとは意識していなかった。例えばEats, Shoots & Leavesについて。
『コンマが入っているので、「食べて、撃って、去る」だが、コンマがなければ、Eats Shoots & Leaves で、「(笹の)若枝と葉っぱを食べる」というパンダの話になる。』
書内で紹介されている書籍も面白そうなものがある。
Posted by ブクログ
翻訳ものの小説を読んでいて、何度か読み返す箇所が出てくることがある。あれ、これってどういう意味… よくわかんない… こんなことになる度に、ああ自分は読書好きなのに、なんて理解力がないんだ、こんなとこでつまづいてるのは自分だけに違いない!と思っていた。
だけど、この本を読んで、自分のせいじゃないこともあるのかと安心した。この本は、マズイ翻訳もあるってことがたくさんの例で説明されている。そうだったのかー、翻訳が違っていたのね。にしても、外国語のエキスパートであり、文章書きのエキスパートでもある翻訳者の方が出した本に、翻訳のミスがあるなんて誰が思うだろうか。私は全く思ってなかった。
翻訳本に関しては、賛否両論あるのも何度も目にしてきたが、そんなのは表現方法の違いだと思ってきた。でももしかしたら人にとっては許せない誤訳があるのかも… そして私が読んできた翻訳小説にも誤訳があったのかも…とちょっぴり切なくなった。
でも、外国語の優れた物語をこうやって私が楽しめてるのも、翻訳者様のおかげです。これから私も原文で読めるように頑張ります。
Posted by ブクログ
趣味で翻訳やってるけれど、いつも苦労をしている。でも、これを読んでると、本職の方でも普通に誤訳しまくりでそのまま出版もされていたりするから本当に翻訳は難しいと思う。
まぁ、誤訳のレベルが違うんだろうけどねw
翻訳のコツや、間違えやすい翻訳、翻訳を知るにはアメリカ英語ではなくイギリス英語を知らないとダメな点や、英和辞書よりも英英辞書、いろんなノウハウを知る事が出来た。
なにより翻訳のノウハウよりは、翻訳がいかに難しいかを今更思い知る。
そして、文学者が書いた英語ならまだしも、一般人が書いた英文なんか、誤字脱字だらけで文法もなっていない、それを翻訳するとなるとそれ以上の翻訳地獄が待っていそうだと。
サクッと読める本なので、翻訳に携わる事がある人は一度は目を通してみると面白いかもね。
Posted by ブクログ
英語や翻訳には余り興味はないが、知らない世界で何かを得られるかと思い読んでみた。
いろいろと苦労やこだわりがあり、翻訳に興味があるひとには面白いのではないかと思う。
個人的に翻訳を深掘りしていこうとは思わなかったけれども、新しい視点を得ることができて参考になった。