日高ショーコのレビュー一覧
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ネタバレ 購入済み
この作品に出会えて幸せです。
その昔、完璧主義者の父・暁直は智之の出自の真実を知り桂木家に激昂します。もともと言葉に毒のある人でしたが、騙されたという事実は暁直のプライドを打ち砕き、その辛辣な物言いに子供だった智之はひどく傷つきます。そのことが8巻までの間に何度も何度も繰り返され、読者の心にも大きな痛みとして残るのですが、こじれてしまった桂木の出自を暁人は一つ一つ解明し、真実にたどり着き、解決していく。この忍耐強さと聡明さには心打たれます。それは怜悧な桂木さえもどうしようもできなかったことでした。しかし、暁人の「優しい父と威圧的な父、どちらが本当か」の言葉に読者もはっと気づかされるのです。想像を膨らませてみると、30過ぎてあきらめていた嫡男・暁人が生まれ、暁直はどんなにうれしかったことかと。智之への態度は変わらずとも、心の中で暁直は智之を許し認めていたのではないか。そうでなければ自分の死後、財産の管理、息子の教育までを智之に託したりしないのではないか。また、たった一年で青年へと成長する暁人には頼もしさを覚えましたが、一人、渡英船の部屋で泣き崩れる姿にまだ10代だったと気づかされます。こういった読者の心を掬い上げるような描写がたくさん盛り込まれているんですよね。
それにしても、桂木智之のキャラクターは素晴らしかった。彼の策略はことごとく暁人に阻止され、戸惑い、幾度となく暁人から離れるのですが、彼の苦悩と深まる愛に艶を感じてしまう。ラブの時の桂木の視線(流し目)には萌え死にました。
このあと、どうなるのかな、と想像してしまう。石崎のところにも赤ちゃんが産まれているでしょうし(絶対女の子だと思う)直矢も当主であるより医学の道に進みたいと思うのではないかとか。帰国した書生たちの活躍も見たいし、直継の遅かりし恋愛や直矢を授かった日のこと、雨宮の目から見た日本などもスピンオフで読んでみたい。その辺はもう書くつもりがないとインタビューで読みましたがせめて担当さんにボツられたという智之と雨宮のお話は読んでみたかったなぁ。
レビューを短くしようと何度も書き直しましたが、だめでした。ごめんなさい。 -
購入済み
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4巻で一区切り、5巻からさらに踏み込んだ内容になります。森山家のパーティの裏で起こるそれぞれの物語。森山家、石崎家、桂木家、西園寺家、そして久世家。過去からのしがらみと未来に向けての画策をこの一晩のパーティで網羅させてしまう作者の手腕はすごいです。暁人の人を見る才能は桂木のものとは質が違う。二人の違いを見せつけられた感じがします。
それにしても背景の素晴らしいこと。また、衣装も素晴らしかった。シャツのボタンホールの異なる向きまで書かれてました。鎌倉で親子3人の小さなカットがありましたが、小さな暁人の袴姿が可愛くてキュンときました。