倉数茂のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
前作から8年近くの時をへて2021年5月に出たばかりの、七重町シリーズ最新刊。
……といっても、わたしはSFマガジンを通じて、倉数茂さんを知ったばかりなわけだけど。
著者自身もインタビューで語っているように、今作は、「七重町シリーズ」とはいっても「仕切り直し」の1作で、滴原兄妹はやや背後に退いている。それでも美和はやはりこの世ならぬものを見てしまい、そこから物語がはじまる。
美和が第1発見者となった殺人事件を捜査するのが、主人公である盛岡県警の若手刑事、麻戸で、本作はテンポのいい警察小説になっている。地元警察とのめんどくさいやりとり、コンビを組む上司との確執、マスコミにリークされた責任を負 -
Posted by ブクログ
このサイトで著者を見ると勘違いする人もいると思うが、これは、おつまみについていろんな作家さんが書いたアンソロジーである。
どれも私にぴったりで、最後まで楽しく読めたし、つまみの参考にもなった。
あまり手の込んだものつまみは出てこず、なかにはコンビニつまみランキングなるものもあり、かなり参考になった。また、各作家さんの酒との距離感、そして、つまみのポジションが明確で、スッキリ読める。
人それぞれ、酒とつまみの位置付けは様々だが、押し付けがましくなく、自分の日常を赤裸々(?)に語っているのが最高。
さらに、一編ずつが短いのもポイント。
ネックは、つまみを食べたくなり、酒を飲みたくなることだけです〰 -
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Posted by ブクログ
☆3.8
しがない小説家である私は気のりのしない宴会で、私によく似た一人の青年の澤田瞬と出会った。
意気投合し文学の話をする中、自らが敬愛する知る人ぞ知る幻想小説家の沢渡晶が瞬の伯母だと知る。
彼女の未発表作品を読ませてもらったりと交流を重ねるうち、沢渡晶が住んでいた屋敷とささやかな「王国」のことや、瞬の人生をも知るようになっていく。
自らの人生や夫婦関係を振り返りながら、創作や虚構、物語を語ることの抜け出せぬ深みにはまってゆく。
三人の作家の虚実が入り乱れ絡まり合い、分かち難くなった先には何があるだろうか……
沢渡晶という幻想小説家に大きな愛を向けたくなる。
作中作がこうまでたくさん出て -
Posted by ブクログ
岩手県の七重市(架空)で見つかった元ホームレスの男の遺体。体の自由を奪われ、食事も与えないまま、絞殺したという残虐な方法だった。色んな疑問がありながら、捜査は難航。そんな時、その男の過去を探るうちに意外な経歴が浮かび上がる。
読み終わった後が、気づいたのですが、この作品は続編だそうです。「黒揚羽の夏」「魔術師たちの秋」に次ぐ3作目ですが、単独としても、楽しめます。
ただし、登場する滴原兄妹の背景をより詳しく知りたい方には、1作目から読まれた方が良いかと思います。
何も知らずに読んだのですが、霊感のある妹と妹思いの兄がなぜそのような行動に至るのかといった背景が、あまり描かれず、主に警察の捜 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ語り手とその友人とその伯母の三人の作家たちを、そしてその作家たちの作品を、まるでミステリーであるように、ファンタジーであるように、SFであるように描かれる。
話が飛んだような描写などもあり戸惑う場面もあるが、フェードインフェードアウトするように、ファンタジックなシーン、近未来なシーン、明治大正のような古い時代のシーン、そして現代のシーンが重なり合うように描かれ、幻想小説と呼ばれているようにその雰囲気がとても心地よい。
個人的には近未来的な半島に閉じ込められている人達の物語と、現代のデリヘル嬢の送迎のアルバイトの物語がとても印象的。
ラストも果たして夢から覚めているのか、あたかも覚めたような -
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