【感想・ネタバレ】名もなき王国のレビュー

あらすじ

「あの時以来、僕は伯母の『王国』の住人でありつづけているのです」 売れない小説家の私が若手作家の集まりで出会った、聡明な青年・澤田瞬。 彼の伯母が、敬愛する幻想小説家・沢渡晶だと知った私は、瞬の数奇な人生と、伯母が隠遁していた古い屋敷を巡る不可思議な物語に魅了されていく。 なぜ、この物語は語られるのか。謎が明かされるラストで、世界は一変する。深い感動が胸を打つ、至高の“愛”の物語。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

少しづつずれていろいろな反復が繰り返される、を小説でやる。読み返すとごっちゃになる感じがゆらゆらする。最後は宮沢賢治の現代版みたいで、これについて、ゲームのある時代だなあと思った理由は今のところ分からない。

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2020年06月29日

Posted by ブクログ

なかなか読み応えがあった。
複数の短編と掌編からなる複雑なつくりの小説。読んでいて、小説の話の中に入り込んでいく、というよりは、小説が現実の世界を侵食してくるような不思議な読後感だった。

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2019年08月10日

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 夢の中で目を覚ますことがある。夢から覚めてもまだ夢の中。と思いきや現実だったり。
 「序」でこれは?と思うような感じだが。
 良い表現かわからないけれど、ホラーに出てくる廃墟においてある日記のような本(誉め言葉)。面白かった。

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2018年12月13日

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ネタバレ

語り手とその友人とその伯母の三人の作家たちを、そしてその作家たちの作品を、まるでミステリーであるように、ファンタジーであるように、SFであるように描かれる。

話が飛んだような描写などもあり戸惑う場面もあるが、フェードインフェードアウトするように、ファンタジックなシーン、近未来なシーン、明治大正のような古い時代のシーン、そして現代のシーンが重なり合うように描かれ、幻想小説と呼ばれているようにその雰囲気がとても心地よい。

個人的には近未来的な半島に閉じ込められている人達の物語と、現代のデリヘル嬢の送迎のアルバイトの物語がとても印象的。
ラストも果たして夢から覚めているのか、あたかも覚めたような夢を見続けているのか、最初から最後まで幻想小説だった。

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2018年12月05日

Posted by ブクログ

【感想】
・最近よく見かけるようになった(昔から多いかな?)「現実」と「非現実」の境界があいまいに溶けていく作品のひとつ。
・書くことの意味と魅力を捜しつつ書くことの虚しさ描くというようなメタっぽい風味はカモフラージュで、じつはメタではなく、存在のあやふやさを利用して存在を確かなものにしようとあがく物語。
・強いてジャンル分けすれば純文学でしょうか。実はミステリという面も(多くの作品にミステリ要素はあるものだけど)。犯人は誰だ!? 動機は何だ!? 作品全体が犯行。なので我慢してでも最後まで読まないと姿がつかめない。
・アニメ「Sonny Boy」とどことなく近いテイストを感じる。
・文学系同人誌を読んでるような気分になった。未熟というのではなく、奇妙な熱量を感じて。
・第三章から読みやすくなった。第五章の「掌編集」は好みに合った。

【一行目】
 これは物語という病に憑かれた人間たちの物語である。

▼簡単なメモ

【藍花/あいか】「私」の妻。積極的で表情がコロコロ変わるタイプ。
【生き様】《彼の優秀な頭脳と稚拙な生き様を思い出して悼んだ。》p.357
【異常】《正常さを証明するという試み自体が異常の印なのだ。》p.450
【簡潔】《文章においては、人生と同様、簡潔であることは常に善である。》p.304
【劫】瞬の双子の兄。十六歳で亡くなった。急性心不全。
【澤田瞬/さわだ・しゅん】「私」の友人で三十代の作家。元編集者で店の内装をはがしたりする仕事をしていた。
【沢渡晶/さわたり・あきら】澤田瞬の伯母で、十数年前に六十一歳で亡くなった作家。幻想小説系だったようだ。イメージ的には尾崎翠の感じかなと思っていたがだいぶ違うということだった。
【沢渡晶の屋敷】老朽化して廃墟じみていた。近所の子どもたちは自由に出入りしていた。
【死】《私が消えたとしても世界は何も失いはしないということだった。》p.369
【詩歌】《そもそも詩歌などはある種の楽器と同じで、どんな音色を引き出すかは、読み手のスキルにかかっているのだ。》p.318
【存在】《わたしは存在しない。いま、このダークブルーのインク――明け方の空の色――で綴られている文字のつらなりの外には。》p.301
【松本実花/まつもと・みか】美爽の友人。編集者。
【美爽/みさ】瞬の妻。のめり込みすぎてアンバランスになってしまうタイプ。
【物語】《物語は麻薬である。私は物語を服用することでまだ正気を保っている。》p.401
【私】四十九歳の作家。売れない。

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2021年10月03日

Posted by ブクログ

捨て置かれた大きな病院の廃墟に住まう小説家、沢渡晶を中心として散らばる短編たちとして読んでいる間はとても素晴らしくて、それぞれの作品の緩やかな繋がりが、それに楽しみを足してくれる。
賛否両論あると思うけど、私は最後の種明かしで一気に白けてしまった。小説なんてのは所詮現実におけるエンターテイメントです、って、ここに来るまで読み進めながら感じていたものを全否定された感じで、怒りすら湧く。もし、最初からそれが目的でここまで延々読者を連れ回しているのだとしたら、星は1つに変更したい!!

もしこのラストを知ってて読み始めてたら「文章うまいなー、複雑な構成のメタフィクション小説だなー、へー」という感想しか湧かなかったと思う。
しかしそれと同時に、ラストが違ったらすごい傑作だったんじゃないか、という思いも捨て切れず、主人公(作者なのかもしれない)が、沢渡晶、ひいては小説そのものがもつ力への恐れ(畏怖?)みたいなものに打ち勝てなかったから、この小説のラストはああなるしかなかったのかと思ったりもする。

作者の意図も分からないし、読者としては書かれたものを読むしかないので的外れかもしれないけど、もっと自信持ってラストまで書いてよ!!と思ってしまった。

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2021年06月16日

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主人公である“私”と、若手作家の集まりで知り合い意気投合した澤田瞬、彼の伯母で故人の沢渡晶の3人の作家が登場するメタフィクション。沢渡晶の作品や澤田瞬が語った話を私が小説化した作品などが次々に提示され、どれが現実なのか混沌としてくる。作者の狙いもまさにそこにあるようで、私と澤田が虚構と現実について応酬する場面もある。いろいろなことを思いながら読み進めたが、ラストで明かされる真相にはぶっ飛んだ。

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2021年05月05日

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読み終えた後、頭がふらふらするような話。どこからが夢でどこからが現実で、何と何がつながっているのかよく分からなくなる。言葉遊びのようにも思えるし、自分の存在や死ぬことについてひたすら考えつくしているようにも思える。
2019/2/15

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2019年02月15日

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小説の書き手と小説の中に出てくる人物と、その人物が想像する人物などがいりくんで展開するストーリー。謎解きのような不思議な気持ちを抱えて止まらなくなる。最後は一見平凡な終わらせ方だが、そこに至るまでの謎との整合性が取れていて見事な一冊。

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2019年01月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最後まで読まないと作品の全体像がわからないこと、登場人物や作品内の小説のリンク具合が非常に理解し難く文体も固いため読み辛い。
映画「インセプション」のような、夢と現実が混同したように見せたラストという理解でいいのだろうか?

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2018年11月02日

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ミステリーのようなSFのような、ファンタジーでもあるような、ジャンルの境目をすべて縫い付けたような作品。登場人物の視点から覗く世界に混乱することろもあるが、それが不思議な世界観を醸す要因でもある。最初は自分には合わない作品だと感じたが、ラストに近づくにつれて、どんどん霧が晴れるような感覚にになり、作品の世界での居心地がよくなってくる。SFが好きなら読む価値はあるかもしれない。

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2018年10月22日

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色んな時代・場所での群像劇?を最後に回収するっていう構成だったけど、最後あたりを読んでいる時には前半部分をわりと忘れているという失態。

複雑だし、少し印象に残りにくい気も。

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2018年10月20日

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