あらすじ
「あの時以来、僕は伯母の『王国』の住人でありつづけているのです」 売れない小説家の私が若手作家の集まりで出会った、聡明な青年・澤田瞬。 彼の伯母が、敬愛する幻想小説家・沢渡晶だと知った私は、瞬の数奇な人生と、伯母が隠遁していた古い屋敷を巡る不可思議な物語に魅了されていく。 なぜ、この物語は語られるのか。謎が明かされるラストで、世界は一変する。深い感動が胸を打つ、至高の“愛”の物語。
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Posted by ブクログ
少しづつずれていろいろな反復が繰り返される、を小説でやる。読み返すとごっちゃになる感じがゆらゆらする。最後は宮沢賢治の現代版みたいで、これについて、ゲームのある時代だなあと思った理由は今のところ分からない。
Posted by ブクログ
語り手とその友人とその伯母の三人の作家たちを、そしてその作家たちの作品を、まるでミステリーであるように、ファンタジーであるように、SFであるように描かれる。
話が飛んだような描写などもあり戸惑う場面もあるが、フェードインフェードアウトするように、ファンタジックなシーン、近未来なシーン、明治大正のような古い時代のシーン、そして現代のシーンが重なり合うように描かれ、幻想小説と呼ばれているようにその雰囲気がとても心地よい。
個人的には近未来的な半島に閉じ込められている人達の物語と、現代のデリヘル嬢の送迎のアルバイトの物語がとても印象的。
ラストも果たして夢から覚めているのか、あたかも覚めたような夢を見続けているのか、最初から最後まで幻想小説だった。