赤坂憲雄のレビュー一覧

  • 災間に生かされて

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    被災地での(ホラーやオカルト等とは異なった視点からの)「幽霊」の話を求めて本書を手に取った。被災地の幽霊譚は僅かであったが、全体として秀逸で興味深く満足できた。
    社会には「溜め」や「遊び」が必要だとして、被災地の状況を社会的民俗学的に分析した上で、アジールの構築、被災地に「柔らかく壊れる」構造を取り入れる提案、また小規模社会へのランディングなどを提案する1冊。
    全体として、複雑な話をしているとは思うが難解な用語などがなく、ハードルが高く感じることもなく読みやすかった。

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    2025年12月01日
  • 危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ』

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    ネタバレ

    ナウシカ、エヴァ、進撃の巨人の関連性を知れた。4分の1ほどまでしか精読できていないため、3点の作品の何かを掴めたら再度読むといいだろう。
    世界、戦争、思想。

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    2024年12月02日
  • 排除の現象学

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     最初1986年に単行本として刊行され、その後文章が追加されたもの。
     赤坂憲雄さんの2冊目の著書だが、人類学等の知識を縦横に活用して現代社会に様々な形で現出する「排除の構造」を解明してみせた、実に興味深く面白い本だった。
     第1章は1980年代の当時顕在化した学校での「いじめ」が分析される。現代日本の子どもたちの「いじめ」が、昔のそれやアメリカ辺りのそれと比較して陰湿さや構造的特徴において著しいものがあると指摘。その特殊性の原因は現代日本の学校制度の特色そのものにあると著者は主張する。
     養護学校、特別支援学級などに異質な子どもを隔離した末に、通常の学級は恐ろしく等質的な集団として閉鎖された

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    2024年08月10日
  • 危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ』

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    いかに漫画版「ナウシカ」が奥深い作品かという事を様々な方が語っています。
    この本を読んでいる最中は常に、「ナウシカ」を読み返したくなってしまいます。その欲求に抗いつつなんとか読み終えました。
    …さて、漫画版「ナウシカ」を出してきますか!

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    2024年05月21日
  • 性食考

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    日本や世界の神話、民話、果てはSF小説まで、生と性と食に関わる事を集めてある。論文なのかエッセイなのか。

    千早茜さんの本を読まなかったらこの本の存在自体知らなかったはずなので、千早さんに感謝。

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    2024年03月29日
  • 性食考

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    「たべちゃいたいほど、かわいい」確かに良く聞く言葉であるし、なんなら自分の子どものことも可愛すぎて食べちゃいたい。でもそれはカニバリズムでも性的欲求でももちろんない。愛情がなぜ食欲になるのか。「食べ物を食べている夢を見るのは欲求不満だからだ」とも聞いたことがある。満腹だと性欲が薄れるのか?しかし空腹の方が逆に性欲から食欲に頭が支配されてしまう例も紹介されている。愛する人を食すということを考えたり、食べる立場から食べられる立場になること、異類婚姻譚など様々な点での食、欲に関する事柄が載っており非常に興味深かった。
    面白い。

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    2023年12月20日
  • 危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ』

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    何年も前に読んだナウシカをまた読みたくなったきっかけだった。
    こんなに深い視点がいっぱい詰まった作品だったとは思わなかった。当時読んだ時は20代前半でまだ世の中の現実や厳しさなどほとんど知らない世界で過ごしていたためか、ほとんど心に残っていなかった。というよりも理解できていなかったのだと思う。
    もう一度ナウシカを読み始めて、同時にこの本も読んでたくさんの人の考察を見ると、全然見える世界が変わった。
    本書の誰かも書かれていたけれど、過去に読んだ時と別にもう一度読み直すと見える世界が違う。まさに自分もそうだった。

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    2023年06月06日
  • 排除の現象学

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    2023/04/18
    再読。
    『童夢』を扱った最終章が読みたくて初めから読み直してみました。
    排除という観点からだけでなく境界線や異人を意識しながら。
    社会学であり考古学であり文化人類学であるような視点であり、異なる者に対する見方の変遷を眺めながら「排除」という現象を理解して行く。胸が苦しくなるような迫り来る著者の熱意に引き込まれながら。
    最終章を読み、4つあるあとがきを読み…そして不思議と安らかな気分になる。
    圧倒的な迫力と中身の力強さに再び引き込まれる個人的には名作と思う一冊です。

    2023/03/17
    いじめや暴力などの社会問題に対する興味のある方は必読。
    最初に出版されたのは1986

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    2023年04月18日
  • 性食考

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    や~、おもしろかった。
    世界中の民族文化や神話から導き出される、性と食についての考察。食べることは生きること、なんてよく言われるけど、知らず知らずのうちに、セックスも生きることなのにそれは退けられてる。でも、読めば読むほど、言われてみりゃー両者の共通点が山ほど・・・普段意識しないけど縛られているタブーの感覚にも気づかされ。「文化的」に生きてるけど、やっぱりもっと自然に戻りたいし野生にあこがれる。・・・それにしても、こういう人類学やら民俗学やらって、なるほど~そういう考え方もできるネ~!っておもしろいけど、真実かどうか確かめようがないし、やっぱり解釈の問題って気がするけど、そしてこの著者の「こう

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    2019年10月29日
  • 性食考

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    昨年末のBRUTUSの読書特集で取り上げられていて気になった本。
    「食べちゃいたいほど、可愛い。」この言葉の意味は?
    最初は、食事に誘えば、その後もセットだぐらいの下世話な話かなと思ったけど、そうではない。食と性と排泄、そして生と死を巡る偉大なる考察。
    参考文献に、古事記や日本書紀に始まり、折口信夫、柳田国男、そしてグリム童話や宮沢賢治と種々の文献がずらっと並んだ読み応えのある比較文化論。
    口も奥が深いねぇ。

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    2018年03月24日
  • 3・11から考える「この国のかたち」―東北学を再建する―

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    前半の「新章東北学」が素晴らしい。著者はご自分のことを中途半端なフィールドワーカーと言うが、それは専門職だからこそ言いうる。その謙遜、ある意味での沈黙こそが本書を豊穣なものにしている。

    後半は、民俗学がベース。前半との重複も散見される。

    ・そこで見たこと、感じたこと、考えたことを起点にして、これからの表現がはじまるはず。
    ・時給300円の仕事場。もの作りの拠点の現実。
    ・原発から自然エネルギーへの転換は、東京一極集中の中央集権的なシステムを地域が主役となる地域分権型のシステムへ変えることにつながっている。
    ・「までい」。汚染の中にというのではなくて、この困難な状況のなかに踏みとどまって、覚

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    2013年06月19日
  • 危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ』

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    序章
    鈴木敏夫 スタジオジプリプロデューサー
     鈴木敏夫は「風の谷のナウシカ」の制作背景やそのテーマについて語っている。彼は、作品が発表された当時の社会的・環境的状況がどのように影響を与えたのかを考察し、ナウシカというキャラクターが持つ強い意志や優しさが、現代においても重要なメッセージを持っていることを強調している。
     風の谷のナウシカの題材は『新諸国物語』(NHK ドラマ1952年)。

     ナウシカが旅をして、見聞きしたものによって、読者が世界の秘密を知っていく。宮崎駿は「勧善懲悪」が好きで、それが「自然を守る人がいいひとで、自然を破壊するのは悪人」と言う物語にした。
     赤坂憲雄の『ナウシカ

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    2024年12月22日
  • 危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ』

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    マンガのナウシカは、最後の方の記憶がなく、途中までしか読んでいないかもしれない。
    改めて読み直そうと思う。
    読んでいても読んでいなくても面白かったが、自分はここまで考えながら読めなかったから、途中までしか読んでないのだろうと思った。

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    2024年12月01日
  • 危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ』

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    いろんな解釈があってほんとうに面白い。
    ナウシカの原作再読したくなった。
    闇の中にも光があって、完全な世界よりも、いつかは滅びるかもしれない世界、それがまたいい。

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    2024年10月05日
  • 排除の現象学

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    かなり前の本だけど、今に通じるというか、それが昨今顕著になっているというか、最近の世相について考える。

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    2023年11月23日
  • 災間に生かされて

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     赤坂さんの本を読むのは、『異人論序説』、『性食考』、『武蔵野をよむ』に続いて4冊目です。書名をみて、これは読まなきゃ、と感じた著作は購入して読む、という感じです。先に挙げた三冊と比べて、この『災間に生かされて』は、文章の構成がかっちりとはしていません。それは「あとがき」に書かれているように、語りの形式がとられているからです。p16に登場する経済界のリーダーたちのように、数字の出てこない学問を「ポエム」と揶揄するような人々への静かな抵抗として選ばれたスタイルではないか、とも感じます。読む側としても、夜の能舞台に経つ著者の姿をなんとなく思い描きながら読みました。

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    2023年06月13日
  • 性食考

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    東日本大震災後、沿岸で漁師が捕った魚やタコの中からひとの髪の毛や歯で出てきたことがあったらしい。食べられないと言う人が多い中、漁師はだからこそ食べるんだと言って食べていた。このエピソードを知れただけでも読む価値があった。

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    2021年04月11日
  • 性食考

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    東北学を生み出した赤坂憲雄の挑戦的な考察ーいのちの根源。
    なんと刺激の強い本だろう。これが、お堅い岩波書店から出ているので、襟を正して読まなければならない。「食べる。交わる。殺す。」の三角関係について、赤裸々に語られている。
    そして、総合的、俯瞰的なユニークないのちの根源の概説となっているのである。
    食べることは、交わることにつながる。食べることは、殺す行為によって成立する。
    交わることと殺すことは、カマキリのような人生だ。
    確かに、食べることは、交わることの同じ神経回路の中にあり、興奮するのだと思う。
    芥川龍之介が「ボクは文ちゃんがお菓子なら頭から食べてしまひたい位可愛いい気がします」と言っ

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    2020年10月10日
  • 毎日の言葉

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    ネタバレ

    言葉の語源。
    結構詳しいほうじゃないかと自負していた。
    けれども、一般的に言われる語源のさらに先、そこから説明されると、もういちいち新鮮でたまらない。

    「挨拶」というのは近世の漢語で、もともとそんな言葉のなかった頃は「言葉をかける」「声をかける」という行為を挨拶としていた。
    「挨拶」という言葉とともに、ある種の形式が伴うようになり、「言葉かけ」のような言葉が消えていく。
    と言われると、確かに挨拶の決まり事を守ることが第一義となり、相手の様子などはろくに見もしなくなったのかもしれない。(ビジネスあいさつの場合)

    今挨拶の言葉として使われている「おはよう」「こんにちは」「さようなら」などは、そ

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    2019年12月17日
  • 性食考

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    食べてしまいたいほど可愛い、古くからいろんな所で用いられている愛の表現に含まれるものは何だろうか?

    食べること、交わること、ころすことは密接不可分、
    人間の深淵に向かい、命の根源との遭遇を目指す、

    古事記、宮沢賢治、異類婚姻譚、食と性と暴力、肉食をめぐる問い、神話の世界の性、生け贄、愛の倒錯、

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    2018年08月21日