赤坂憲雄のレビュー一覧

  • 毎日の言葉

    Posted by ブクログ

    200ページ足らずの薄い本ではあるが物足りなさは感じない。

    本書では、いただきます、ありがとう、すみません、などのような、あまり深く意味を考えず習慣的に使ってしまいがちな言葉の成り立ちや元来の意味について、各地に残っている膨大な数の方言を手掛かりに考察している。

    結論の出し方はやや感覚的であいまいであり、もう少し明確化する余地があるようにも感じられるが、言葉を使う際は何も意識せずに周りを真似るのではなく、その意味をきちんと理解し、使うべきかどうか、使うならどういう場面で使うべきかを考えてほしい、という柳田の切なる願いはひしひしと伝わってくる。それは言葉に対する柳田の考察が真摯な態度と豊富な

    0
    2015年01月05日
  • 毎日の言葉

    Posted by ブクログ

    この本に収められた文章は、どれも「言葉」をめぐる民俗学的検証である。だから見ようによっては、言語学がなすべきだったかもしれない仕事を、民俗学者柳田国男が博識を注入して、独特の視点でやってしまっているという奇妙さが感じられる。
    たとえば「ありがとう」「もったいない」といった、極めて日常的な言葉をとりあげ、歴史的な文献をもとに、それは「元はそういう意味ではなかった」という指摘を次々に繰り出してくる。
    柳田はここで、みんながそれぞれの日本語の由来をより深く学び、もっと美しい日本語を話して欲しい。という思いを打ち出している。しかし言語は通常、誰が規定するのでもなく、人々のあいだで自然に成長・変容してい

    0
    2013年03月23日
  • 岡本太郎の見た日本

    Posted by ブクログ

     20年ほど前にみすず書房から、また2010年頃ちくま学芸文庫からシリーズ本として岡本太郎の本が刊行され、今でも文庫本の『今日の芸術』などは書店で良く目にするが、彼は現在、どのように評価されているのだろうか。
     彼の絵を見てもあまり自分の好みではないなあと感じていたのだが、何冊か彼の本を読んだときには、その感性・直観の鋭さに大いに感心したことも印象に残っている。
     本書は、主として岡本太郎の著作を通して、<思想家>としての太郎にその本質を見出そうとする試みである。

     太郎の思想形成に何と言っても大きかったものは、太郎のパリ体験だと著者は言う。1929(昭和4)年、18歳のとき、父母の渡欧に同

    0
    2024年07月07日
  • 性食考

    Posted by ブクログ

    ほんタメ!より。性と食について。テーマは面白いはずなのに思っていたものと違った。昔話を用いて作者の考えを綴った本。少し読みにくさも感じる

    0
    2023年10月17日
  • 危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ』

    Posted by ブクログ

    教養がないと読み切れない対談集、難しい内容だと感じる本だった。これほどの知識人、文化人がその立場や専門分野から様々な考察がされる。宮崎駿作品ならではのことだろうと思う。それこそ20年以上前に、ナウシカの漫画本を途中までだか、読んだ記憶はあるのだが、自説を語れるほどの読者ではないので、偉そうなことは何も言えない立場ではある。

    0
    2023年07月23日
  • 岡本太郎の見た日本

    Posted by ブクログ

    生活や営みがあり、そこに命や生があるからこそ惹かれるものや動物的・本能的・神秘的な存在としての人間というのも然り。岡本太郎さんの作品や言葉が私の心を掴んだのもそういう根源的な事があるからなんだろう。そして日本を離れたからこそ思う日本についても。

    0
    2022年03月20日
  • 性食考

    Posted by ブクログ

    鼻につく!
    論理がないから読みにくい
    「三軒細胞」になってから「死」が出来た、とかそういうのは面白かった?かな?

    0
    2022年03月12日
  • 毎日の言葉

    Posted by ブクログ

    言語にまつわる書籍ははじめてで、新しい知識ばかり。女性向けに書かれていることもありとても取り組みやすい一冊ではないかしら。
    巷ではサヨウナラについてその言い方の美しさをまことしやかに語られているが、その誤りに気づかせてくれる。(あいさつの言葉)

    また頻用するドウモアリガトウやモウシワケゴザイマセン、ボクなどもそのルーツを知り考え方を変えられた。

    0
    2021年01月02日
  • 性食考

    Posted by ブクログ

    生・死・性・食にまつわる古今東西の引用文献は面白いものだったが、脈絡が感じられず、何を言いたいのかわからない。否、何も言っていないのかもしれない。何か肩透かしをくらったような。

    0
    2019年03月19日
  • 性食考

    Posted by ブクログ

    脱線が多く所々読みづらい所もあったけれど、様々な国の民話の共通点が指摘されていて面白かった
    フロイトの説明にマッドマックス怒りのデスロードが使われているのには驚いたけど分かり易かった
    どこの国の風習や伝承は男視点のものが殆どという印象を受けた

    0
    2018年03月14日
  • 会津物語

    Posted by ブクログ

    会津学研究会を主宰する筆者が、『老媼茶話』や『遠野物語』をモチーフに、現在の会津に伝わる伝説異聞怪談100話を採録した本。震災後3年に渡って「朝日新聞福島県版」に連載された102話を出版化したもの。

    0
    2015年11月08日
  • 毎日の言葉

    Posted by ブクログ

    何より感動したのは解説における柳田の言葉である。

    1.よく知った言葉を使うこと
    2.(主観的ではあるが)美しい音の言葉を使うこと
    3.言葉を選択して使う心構え、習慣

    これらは全て「思うことが言える、意志を強く述べることが出来る」ことを目的としている。
    少年は些末な表現を避け、数ある表現の中で何を用いるべきか?
    未来における「美しい国語」のためにも、常にその意識を持つことの重要性を確認させられた一冊。

    0
    2014年03月01日
  • 3・11から考える「この国のかたち」―東北学を再建する―

    Posted by ブクログ

    非常に読みやすい文体で書かれていて、さらっと読めます。

    時々胸につまるような体験者の記録が書かれている。
    時が流れるにつれて、薄れていく被災地の記憶は、風化ではなく浄化で
    あるべきだという一文に気を惹かれた。
    浄化の意味で忘れていくことは、決して罪ではない。
    被災地に限らず、誰かを喪った体験を持つすべての人に、
    訴えるものがある本だと思いました。

    0
    2013年05月18日
  • 3・11から考える「この国のかたち」―東北学を再建する―

    Posted by ブクログ

     東北学の赤坂先生の被災地をめぐる軽いエッセイ。

     ときどき光る言葉あり。

    (1)この泥の海に回帰した干拓地をいかに復興するか。誰もが描く水田への復旧のシナリオには、すでにリアリティが失われていることを、あきらかにしておく必要がある。(p195)

    (2)民族芸能はなぜこれほどまでに素早い復興をとげることになったのか。おそらく、東北の夏の祭りや民族芸能が、多くは鎮魂、供養、そして厄払いをテーマとしていることと深いかかわりがあるにちがいない。(p160)

    (3)被災地の現実はこの国の未来図です。(p66)

     復興に苦しむ東北のことは、いつか全国でもっと高齢化が進み経済力が衰退している日本

    0
    2012年10月09日