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「食べちゃいたいほど,可愛い.」このあられもない愛の言葉は,〈内なる野生〉の呼び声なのか.食べる/交わる/殺すことに埋もれた不可思議な繋がりとは何なのか.近代を超え,いのちの根源との遭遇をめざす,しなやかにして大胆な知の試み.神話や物語,祭りや儀礼等を読み解き,学問分野を越境してめぐる,魅惑的な思索の旅.
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Posted by ブクログ
日本や世界の神話、民話、果てはSF小説まで、生と性と食に関わる事を集めてある。論文なのかエッセイなのか。 千早茜さんの本を読まなかったらこの本の存在自体知らなかったはずなので、千早さんに感謝。
「たべちゃいたいほど、かわいい」確かに良く聞く言葉であるし、なんなら自分の子どものことも可愛すぎて食べちゃいたい。でもそれはカニバリズムでも性的欲求でももちろんない。愛情がなぜ食欲になるのか。「食べ物を食べている夢を見るのは欲求不満だからだ」とも聞いたことがある。満腹だと性欲が薄れるのか?しかし空腹...続きを読むの方が逆に性欲から食欲に頭が支配されてしまう例も紹介されている。愛する人を食すということを考えたり、食べる立場から食べられる立場になること、異類婚姻譚など様々な点での食、欲に関する事柄が載っており非常に興味深かった。 面白い。
や~、おもしろかった。 世界中の民族文化や神話から導き出される、性と食についての考察。食べることは生きること、なんてよく言われるけど、知らず知らずのうちに、セックスも生きることなのにそれは退けられてる。でも、読めば読むほど、言われてみりゃー両者の共通点が山ほど・・・普段意識しないけど縛られているタブ...続きを読むーの感覚にも気づかされ。「文化的」に生きてるけど、やっぱりもっと自然に戻りたいし野生にあこがれる。・・・それにしても、こういう人類学やら民俗学やらって、なるほど~そういう考え方もできるネ~!っておもしろいけど、真実かどうか確かめようがないし、やっぱり解釈の問題って気がするけど、そしてこの著者の「こうなんじゃないの~?」っていうあーだこーだの思索を、これだけ面白く、しかも「文化的に」「もっともらしく」読ませる、なんかズルいわ。楽しい仕事だね。。。
昨年末のBRUTUSの読書特集で取り上げられていて気になった本。 「食べちゃいたいほど、可愛い。」この言葉の意味は? 最初は、食事に誘えば、その後もセットだぐらいの下世話な話かなと思ったけど、そうではない。食と性と排泄、そして生と死を巡る偉大なる考察。 参考文献に、古事記や日本書紀に始まり、折口信夫...続きを読む、柳田国男、そしてグリム童話や宮沢賢治と種々の文献がずらっと並んだ読み応えのある比較文化論。 口も奥が深いねぇ。
東日本大震災後、沿岸で漁師が捕った魚やタコの中からひとの髪の毛や歯で出てきたことがあったらしい。食べられないと言う人が多い中、漁師はだからこそ食べるんだと言って食べていた。このエピソードを知れただけでも読む価値があった。
東北学を生み出した赤坂憲雄の挑戦的な考察ーいのちの根源。 なんと刺激の強い本だろう。これが、お堅い岩波書店から出ているので、襟を正して読まなければならない。「食べる。交わる。殺す。」の三角関係について、赤裸々に語られている。 そして、総合的、俯瞰的なユニークないのちの根源の概説となっているのである。...続きを読む 食べることは、交わることにつながる。食べることは、殺す行為によって成立する。 交わることと殺すことは、カマキリのような人生だ。 確かに、食べることは、交わることの同じ神経回路の中にあり、興奮するのだと思う。 芥川龍之介が「ボクは文ちゃんがお菓子なら頭から食べてしまひたい位可愛いい気がします」と言ったという。「食べちゃいたいほど可愛い」って、私も言ってみたい気もするが、無理だよなぁ。 「内なる野生の叫び声」としたら、体の中に別の生き物がいるに違いない。 「異類婚姻譚」は、神話、童話、民話や昔話に当たって、縦横無尽の言葉狩りをして、一つのあり様を成立させる。「ぬいぐるみ」に、そんな深い意味があったとは、人間の持つ変身願望を表現する方法だったのだ。 姫様が 泉にマリを落として困っていると、カエルがとってきてやるから、一緒にメシを食べ、ベットインしようぜという。そんなにマリが大切だったのだ。そして、とってきてもらって、メシは一緒に食べるが、ベットインまでできない。王様に相談したら、「恩返ししろ」とまるで、大和田常務だ。姫は、怒って、カエルを壁にぶつけたら、王子様になって、結婚したという。なんともハッピイな話だが、そんな筋たての話は、恩返しの内容が、等価交換ではないような気もする。少なくとも、倍返し以上だ。まぁ。カエルの逆玉現象ですね。よく考えれば、鶴の恩返しも良くにてる。蛇と交わるというのも、神との関係でいくつもの物語がある。なるほど、そんな風に、身分違いの結婚というのが、異類婚姻に発展して行くのですね。 食べることと交わることは、つながって行くのだが、殺すことなくして、食べられないというどうしても避けられないことについての関係は、宮沢賢治の「注文の多いレストラン」で見事に表現している。食べようとして、食べられてしまう。 それにしても、童話や絵本には、赤ずきんちゃんも含めて、食べられてしまう話が多いのは、物語の始まりは、いのちのあり様から始まるからかもしれない。ぐりとぐらも、たまごでケーキを作ることから始める。唐揚げを作らないところが、ミソとは思わなかったなぁ。問題は、日本人が江戸から明治に変わるときに、肉食に食文化が変わったときに、どのような納得があったのかが知りたい。 猿に近親相姦(インセントタブー)をしないルールやペットを食べないルールが確立したにも関わらず、豚だけは食べるためだけに育てるという食文化の形成が面白い。 始まりの神話においては、太古の海から、性の出現によって、性が死を引き寄せ、死が性とともに顕われた。性こそが世界に多様化をもたらした。 レヴィストロースの料理の三角形は、「生のもの」「腐ったもの」「火にかけたもの」となっているが、「発酵」が腐ったものに対峙していないのが残念だ。そして口と肛門の関係を語る。 生け花が生贄につながる考察は、面白い。 性欲、権力欲、食欲のそのいのちの根なるものを紐解いて行くことで新しい分野が広がる。
食べてしまいたいほど可愛い、古くからいろんな所で用いられている愛の表現に含まれるものは何だろうか? 食べること、交わること、ころすことは密接不可分、 人間の深淵に向かい、命の根源との遭遇を目指す、 古事記、宮沢賢治、異類婚姻譚、食と性と暴力、肉食をめぐる問い、神話の世界の性、生け贄、愛の倒錯、
ほんタメ!より。性と食について。テーマは面白いはずなのに思っていたものと違った。昔話を用いて作者の考えを綴った本。少し読みにくさも感じる
鼻につく! 論理がないから読みにくい 「三軒細胞」になってから「死」が出来た、とかそういうのは面白かった?かな?
生・死・性・食にまつわる古今東西の引用文献は面白いものだったが、脈絡が感じられず、何を言いたいのかわからない。否、何も言っていないのかもしれない。何か肩透かしをくらったような。
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