小川一水のレビュー一覧
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ーーー「人を守りなさい、人に従いなさい、人から生きる許しを得なさい。そして性愛の奉 仕をもって人に喜ばれなさい」
――かつて大師父は仰せられた。
そして少年が目覚めたとき、すべては始まる。シリーズ第4巻
天冥の標第4章
それぞれのパートを一つの物語として成立させながら、過去から未来への繋がりを意識させる構成は
乗り心地の良い列車のシートから流れる景色を見続けるような、しっかりとした安心感を与えてくれる。
本作では裏表紙にも謳われているように「性愛の奉仕」に関する表現が、質•量ともに高水準で含まれており
そういう意味では読む人を選ぶかもしれないが、シリーズ第4巻まで読み進めてきた中で -
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ーーー西暦2310年、小惑星帯を中心に太陽系内に広がった人類のなかでも、ノイジーラント 大主教国は肉体改造により真空に適応した《酸素いらず》の国だった。
海賊狩りの任にあたる強襲砲艦エスレルの艦長サー・アダムス・アウレーリアは、小惑星エウレカに暮らす人々と出会う。
伝説の動力炉ドロテアに繋がる報告書を奪われたという彼らの依頼で、アダムスらは海賊の行方を追うことになるが……。シリーズ第3 巻。
近頃もりもり読んでる天冥の標第3章
後の《海の一統》にあたる《酸素いらず》達の奮闘を描きながら
彼(と呼んで差し支えがあるのなら"あいつ")の動きもじわりと広がる。
中でもやは -
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ーーー西暦2803年、植民星メニー・メニー・シープは入植300周年を迎えようとしていた。しかし臨時総督のユレイン三世は、地中深くに眠る植民船シェパード号の発電炉不調を理由に、植民地全域に配電制限などの弾圧を加えつつあった…小川一水が満を持して放つ全10巻の新シリーズ開幕篇。
暫定最も好きな作家の小川一水。
その人の「できること全部」やっちゃうシリーズの第一章。
なんという骨太SF
頭の中の想像力エンジンがトップギアを維持したまま、2日半で2冊約800ページを走り切ってしまった。
謎が解かれて事実となり、事実が化けて謎になる。
10章まであるのに最初からワクワクが止まらない。
「そ -
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ネタバレシリーズ2作目『救世群』から繰り広げられた数多の因果が絡み合うシリーズ第6作。この本、本当に面白い。
太陽系人類が抱え込んだ宿痾「冥王斑」、それを忌避し続けた末の破滅、「全太陽系応答なし」。ここからシリーズ第1作で描かれた『メニー・メニー・シープ』の時代へと移っていくのだろうけど、そもそもメニー・メニー・シープという存在の真実、その住民たちが信じていた真実そのものが揺らぎ始めていたはず。
第7作以降で描かれるメニー・メニー・シープの姿は、人類再生の末に訪れた拡散時代(バルサム・エイジ)のみなし子なのか、それとも黄昏の時代の申し子なのか。興味は尽きない。 -
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本作により、やっと最初の各勢力が出そろい、それらの立ち位置が明確になった感がある。それにしても話が長く、間もあくので前の話を忘れてしまっているためでもあるが、多くの登場人物が登場しながらも実は、その多くが血縁であるという狭い世界でありながらも、話の全貌は未だ見えない。本来、二つの精神的寄生体の戦いの話ではあるが、それぞれが利用する駒としての人類側の陣営が複雑に、その立ち位置を変えることと、サブストリームや異星人たるメイスンがいつのまにやら、相手に取り込まれていたりすることにより、その戦いの様相がより複雑になっている。前にも思ったのだが、太陽系侵略にとっているミスチフ側の戦略が何故、ここまで複雑
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ーーー西暦2025年。サハラ、南極、ヒマラヤ、極限環境下での建設事業で、類例のない実績を誇る御鳥羽総合建設は、新たな計画を受注した。依頼主は巨大レジャー企業会長・桃園寺閃之助、工期は10年、予算1500億、そして建設地は月……。
月面の中国基地へ、現地調査に赴いた機動建設部の青峰が目にしたのは、想像を絶する苛酷な環境だった―民間企業による月面開発計画「第六大陸」全2巻着工!
裏表紙を読んだ瞬間レジに並んでいた、小川一水の長編
しっかりと踏みしめられる物語の設定から、重力6分の1のSFの空へと飛び立つ過程がきちんと描かれていて好印象。
「月に行って商業施設をつくる」
SF作品としては、と -
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ーーー西暦2025年。サハラ、南極、ヒマラヤ、極限環境下での建設事業で、類例のない実績を誇る御鳥羽総合建設は、新たな計画を受注した。依頼主は巨大レジャー企業会長・桃園寺閃之助、工期は10年、予算1500億、そして建設地は月……。
月面の中国基地へ、現地調査に赴いた機動建設部の青峰が目にしたのは、想像を絶する苛酷な環境だった―民間企業による月面開発計画「第六大陸」全2巻着工!
裏表紙を読んだ瞬間レジに並んでいた、小川一水の長編
しっかりと踏みしめられる物語の設定から、重力6分の1のSFの空へと飛び立つ過程がきちんと描かれていて好印象。
「月に行って商業施設をつくる」
SF作品としては、と -
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ーーー彗星都市での生活に閉塞感を抱く少女と、緩衝林を守る不思議な少年の交流を描く「都市彗星のサエ」から、
“祈りの力で育つ”という触れ込みで流行した謎の植物をめぐる、彼と彼女のひと冬の物語「グラスハートが割れないように」、
人類から“未知の探求”という使命を与えられたAI宇宙船エクスの遙かな旅路を追う表題作まで、
様々な時代における未知なるものとの出逢いを綴った全6篇を収録
ハマりつつある小川一水の短編集
全部名作!ってわけでもないけど、都市彗星のサエ、守るべき肌、表題作が良かったな。
特に表題作!まさかあそこでオーバーロードが出てくるとは!
アーサー・C・クラーク「幼年期の終わり」に登 -
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ーーー火星やまと基地の隊員4名が体験した、あまりにもあっけないファーストコンタクトを描く表題作
いつのまにか不老不死を獲得してしまった人類の戸惑い「千歳の坂も」
そして傑作長篇『時砂の王』に秘められた熾烈な闘いを描くスピンオフまで
心優しき人間たちのさまざまな"幼年期の終り"を描く全5篇収録。
小川一水二冊めは短編集。
こういう「日常系SF」とでも言うべきやつも結構好きやな。明確な敵がいるわけでもなく、必然ドンパチもまずない。
SFにもいろいろある中で、俺がやっぱりSFが好きな要因には、登場人物が進歩に対して前向きなことがあげられると思う。
この中では、