竹田青嗣のレビュー一覧

  • 超解読! はじめてのヘーゲル『精神現象学』

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    難解で知られる『精神現象学』の筋書きを “表象として” おおまかに把握するのに役立った。

    ヘーゲルが問うたのは、個人と社会、公と私、理想と現実……これらの対立をどうするかということであった。今なお問われ続けている普遍的なイシューである。

    カント倫理学を手厳しく批判した第4章が特に読みごたえがあった。

    “しかし実際には、ここ〔カントの思想〕にあるのは、純粋な「普遍性」(理想)と「個別意識」(現実)とが、いかなる条件で一致するかを洞察する思想ではなく、この統一(徳と幸福の一致)が “存在してほしい” という単なる欲求なのである”(p203)

    “両者〔感性と理性〕の一致あるいは統一と言っても

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    2015年07月12日
  • 超解読! はじめてのヘーゲル『精神現象学』

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    ネタバレ

    古書。初ヘーゲルだが、これをそれに含めてしまってよいものかどうか疑問も残る。巡り合わせというのは書物と関わっていく上では意外に重要で、以前読んだハイデッガーの入門書同様、ヘーゲルとの巡り合わせも相当悪い部類に入るようだ。精神の遍歴を逐一記述していくという体裁(多分)の『精神現象学』を平易に読み解くという荒行に挑んだのが本書。懐疑主義、啓蒙に関する部分は大いに唸らされたが、後半(特に終盤の「宗教」辺り)は余りに一面的過ぎるし粗が目立つ。カントを乗り越えようという必死さは十二分に伝わったけど!

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    2015年05月16日
  • 超解読! はじめてのフッサール『現象学の理念』

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    『完全解読フッサール『現象学の理念』』(講談社選書メチエ)と同じく、フッサールの『現象学の理念』を著者がやさしく読み解いた本です。

    『完全解読』よりもいっそう大胆にフッサールの議論をパラフレーズしており、読みやすくなっているように思います。また『完全解読』と同様、フッサール現象学のキモは「確信成立の条件」を明らかにすることにあるという著者自身の現象学理解が示され、その立場からフッサール自身の議論の流れにそくして解説するという構成になっており、著者の解釈の成否をある程度読者自身が確かめることでができるようになっています。

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    2017年11月30日
  • 完全解読 フッサール『現象学の理念』

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    フッサールの中期の思想がコンパクトに示された『現象学の理念』を、著者が読み解いた本です。フッサールの議論構成をたどりつつ、著者が分かりやすくパラフレーズし、さらに用語解説やポイントごとのまとめも置かれています。

    「あとがきにかえて―現象学の再興」では、著者自身の現象学解釈の要点と、現代の現象学批判や誤解に対する反論がなされています。著者は、フッサール現象学の中心課題は「確信成立の条件」を解き明かすことにあるという立場に立っており、そこからデリダをはじめとする現代思想の現象学批判が当たらないことを説いています。また、新田義弘や谷徹など、現代日本を代表する現象学研究者の解釈に対する疑義が提出され

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    2015年05月14日
  • プラトン入門

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    プラトンの唱えるイデア説。哲学はこうであってほしい。宗教とはちがい、自分の幸福を自分で探索していく姿勢。幸福とはなにかを考えることによって、自らの知を幸福のために使おうとする。学びの楽しさを体験できる。

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    2014年10月25日
  • 中学生からの哲学「超」入門 ――自分の意志を持つということ

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    中学生からの、というタイトルだけど、中学生、読むのかなあ。
    哲学はなんぞやを知るのに、非常に役立った。宗教と哲学の違いとか、わかりやすい。下手にニーチェとかから入んないほうがいいな。
    1章は著者の体験談で、主観ありまくりで、失敗したかなあと思ったけど、あきらめないでよかった。

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    2014年04月23日
  • 中学生からの哲学「超」入門 ――自分の意志を持つということ

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    人間社会は自己ルールに基づいた個と他者との承認ゲームである。自己ルールは自身の生い立ちや欲望と深くかかわっており、欲望の実現のためには他者との承認ゲームを勝ち進んでいかねばならない。資本主義では”金”がゲームの勝敗を握っており、欲望のまま金儲け一辺倒に走ると、ゼロサムゲームへと発展。8割が負け組みとなる世界を創ってしまう。そもそも欲望を作り出す自己ルールは家族や社会が作り出すものであり、我々がもっと豊かな価値観を目指した場合にはWinWinゲームが出来るのではないか。そのような提言を感じました。

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    2013年08月31日
  • 天皇の戦争責任

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    ネタバレ

    日の丸・君が代から始まった加藤・橋爪の毎日新聞の論争が、司会の竹田を交えた鼎談である本著を生みました。左からの主張ともいうべき国際関係論の加藤は「もし責任があるとすれば、戦後真実を語らなかった責任だとして、家永三郎・井上清・丸山真男ではなく、三島由紀夫こそ、その責任を正しく追及した人だ」と展開する。また、死んだ300万人の日本人たちへの責任はまずアジアで死んだ2000万人への責任に真直ぐに向かうことから始まると。これに対して右からの主張ともいうべき社会学の橋爪はむしろ天皇機関説的な立場から「天皇という場に選択の余地がなく座らされた個人の責任を追及したくない、それは主権者である日本国民としてのプ

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    2013年08月25日
  • 知識ゼロからのニーチェ入門

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    ネタバレ

    ツァラトゥストラを数ページで断念した、知識マイナスと言っていい自分でもスルスル読めた。
    「神は死んだ」という言葉が強烈で、何となくニヒリズムの権化、「超人」というワードからは力の信奉者のようなイメージがあったけれど、全くそんなことはなかったぜ!と気持ちいいほどに誤解が解けていき、その透徹した人間への眼差し、「生の肯定」に対する真摯で愚直な姿勢に感動さえしてしまった。
    真理とは錯覚に過ぎない、形而上学は捏造に過ぎない、禁欲主義的理想は究極のニヒリズムである。
    …あえて茨の道を掻き分けて進むような思想に、敬服する。

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    2013年06月03日
  • ニーチェ入門

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    『道徳の系譜』を読んだだけでは分かりにくかったニーチェの思想の全体像を概観することができた。

    生と欲望を人間の本性として肯定し、それを阻害するヨーロッパ的価値観(キリスト教がその代表)を批判したニーチェ。

    生の肯定と、ロマン主義と現実主義の彼岸にある思想の探求、という出発点は共感できるけど、思索の末に導かれる結論には直ちに同意することはできない。
    「真理なんてない」と言ってしまえば全ての科学は存在の根拠を失うことになるし、キリスト教批判を敷衍した「道徳」批判はいかにも過剰反応という感じがする。まあそんなラディカルさがニーチェの魅力なのかもしれないけど。

    著者は、「ニーチェの思想は

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    2014年12月05日
  • 図解 哲学がわかる本 哲人たちが「何を考えたのか」をわかりやすく解説!

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    竹田さんは高校時代から結構ファンで、ほぼすべての著作を持っている(と思う)。
    コンビニに行ったらたまたま見つけたので買ってきました。
    まあタイトルや売り場から容易に想像できるように、有名哲学者の思想のエッセンスを簡単に述べるという内容。
    「世界」とか「神」とかのカテゴリー分けをしてるところが新しいのかな。

    にしても、まあこの内容で500円って、大丈夫か?
    どうやって儲け出してるんだろう、と余計なことについて哲学してしまうのであった。

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    2013年03月20日
  • プラトン入門

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    ホントの入門書としては良い。一通りプラトンの書籍と思想について紹介されているし、はしがきのプラトンの思想のまとめも良いと思う。
    プラトンが求めた思想は「絶対的真理」でなく、「普遍的真理」だ、というのが本書の要旨のようだが、よくわからん。ニーチェの思想と対比させた考察も浅い印象だ。

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    2012年06月27日
  • 中学生からの哲学「超」入門 ――自分の意志を持つということ

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    まえがきには本の構成が簡潔にまとめられていました。
    後半は例などを用いて説明されていたので読みやすかったと思います。
    ただ"中学生からの~"と言うには、前半は少し難しいかも。

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    2012年05月09日
  • 哲学ってなんだ 自分と社会を知る

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    すごく分かりやすいけれども、少し偏ってるような気がしました。

    哲学とは、誰もが共通に納得できる「普遍的な」世界のあり方をつくりだす方法らしい!

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    2011年12月23日
  • 超解読! はじめてのヘーゲル『精神現象学』

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    ようやく、『精神現象学』のあらましが分かりました。人類の「精神」の成長の歴史を俯瞰し、人類思想史の流れを追う、というような壮大なプロットを(猛烈に難解な言葉で。。)語っている、ということのようです。ようやく『精神現象学』が読み進められそうだ。。

    気に入ったのは「行動する良心」。ちょっと引用。
    「「良心の人」は、生活のなかのさまざまな場面で、そのつどどういう態度や行為を取るのがもっとも「良心的」だろうか、と考える。彼は、もはや宗教的権威も、習俗のルールの権威も善の基準足りえないことをよく知っている。・・・しかし、にもかかわらず、結局正しいことの基準などないのだとは考えず、いかに判断し、行動する

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    2011年09月03日
  • 超解読! はじめてのヘーゲル『精神現象学』

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    これは、意識が絶対知に至るまでの物語。
    人類の歴史が、個人の精神的成長過程に重なって見える。
    だからだろうか、私には成長記録あるいは観察日記に近い印象を受けた。
    意識が辿る道を追体験できる感覚が面白い。
    ただ、「どうすべきか」という問いへの「応え」を示してくれているようには感じなかった。

    以下、印象に残った文章を抜粋

    人間の欲望の本質は、「自己価値欲望」という点にある。したがって、「自己の欲望」はまた、本質的に他社による「承認の欲望」を含む。さらに、人間は社会生活を営んでいるため、どんなことであれ、「他社の承認」なしに実現する欲望は存在しない。このため、人間社会は、まずは「承認をめぐる闘争

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    2011年08月13日
  • 超解読! はじめてのカント『純粋理性批判』

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    「感性」2つの形式性⇒空間、時間 「悟性」4つのカテゴリー⇒量、質、関係、様態 「理性」3つの理念⇒魂、世界、神

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    2011年05月27日
  • 完全解読 カント『純粋理性批判』

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    うおお難しい!哲学は書いてあることがちょっとでもわかんないと先に進めないから困る。カント先生は立派ですけど私はしばらく哲学はいいです!

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    2011年04月03日
  • 完全解読 カント『純粋理性批判』

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    ヘーゲル「精神現象学」もそうだったけれど、この完全解読シリーズは相当に難しくて、多少の誤解が混ざっても普通の入門書から入った方がいいと思う。

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    2010年04月25日
  • プラトン入門

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    古代ギリシャにおいて、哲学を自身の内面を知る方法として深くまで掘り下げ、現代の思想にまで強い影響を及ぼしたプラトン。入門書ということで著者のわかりやすい解説とニュートラルな視点がプラトンの偉大さを教えてくれる。『恋』と『美』についてはもう一度読み返したい。
    イデア思想は自分としては非常に納得してしまうのだが。


    09/2/22

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    2017年01月29日