【感想・ネタバレ】プラトン入門のレビュー

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現代においては、とかく批判の対象となりがちなプラトンの哲学を、筆者なりの視点からとらえ直し、哲学というものの本質に迫ろうとした、たいへんに説得力のある著作。

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2021年11月25日

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ネタバレ

プラトンの思想に賛同する側と反対側の双方の主張を理解した上で、自分の解釈を提示。

反プラトン主義は、プラトン主義に端を発すると見られる近代としての市民社会の成立が、封建制を否定したとともに帝国主義やファシズムの勃興につながり、世界戦争の惨禍を招いたことを根拠に展開される。

竹田的に重要な点を以下に列挙する。
・プラトンが西洋哲学を創始し、ゲーテが完成させた
・哲学は、まずもって、普遍的思考を志向する。「普遍性」の条件とは、誰でも対等の権限でこの言語ゲームに参加できるというありかたのこと。
・哲学の普遍的思考とは、さまざまな共同体を超えて共通了解を作り出そうとする思考の不断の努力。一方、思想の「普遍主義」とは、唯一絶対的な認識の観点が存在するという一つの独断的信念に過ぎない
・宗教は、物語をもとに世界像を描くので、地域性が高く、普遍性が低い。他方、哲学は、抽象概念をもとに世界像を描くので、普遍性を初めから志向。
・プラトンが、主張したこと自体が普遍的な内容だったかはさておき、普遍性を志向した自体は、哲学の創始者と呼ぶにふさわしい

・経験世界(事実)と純粋論理の世界は原理的に異なる。これらを取り違えることは現代でもよくあることだが、カントのように分けて考えるべき
・事実の世界でも論理の世界でも原因の議論は、ふに落ちるものにはならない。どこまでいっても観点の違いといったことでしかない。ヌゥス=知性=人間のものの見方がすべての原因であるととらえるべきである。(ちなみに、これを定式化したのがゲーテであり、「力」という形で深く表現したのがニーチェ。その前に自覚的に論じたのがヒュームだそうな)。ここから、人間がそもそもなぜ世界の根源を問うかといえば、結局欲望のエロスをくみとりたいからであり、そうした欲望のめざすところは、「最善」とは何かということなのである。


入口の背景理解を経て実際の著作の説明に入っているが、読書案内としてとらえるべきだろう。

世の中に、さまざまな「正義」がある中で、いかに共通了解を得るか、がテーマ。皆にとっての「善きもの」を追求する営みが、最重要な愛知。

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2021年08月21日

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現象学というイメージの著者だったが、本書を読んでイメージが変わった。
ちくま新書の哲学入門のシリーズの中でもかなり好きかも。

今さらプラトンなんて、という気もしないでもないが、こうして現代とつながる形で解説してあると途端に身近に感じらる。もちろん当時の状況を踏まえて読むべきであるという著者の主張はもっともであるのだが、なんだろうかこの「わかった感」というか「スッキリ感」。

言語ゲームやマルクス主義を絡めてプラトンの哲学を説明してあるだけでこれほどまでにおもしろいとは。

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2019年02月11日

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 近代哲学における基本像を通して見ると、ヒュームは独我論者であり、ヘーゲルは形而上学汎神論者であり、ニーチェは解体主義者であり、フッサールはこれまた、絶対的真理の擁護者である。そして、プラトンは形而上学的性格の絶対源流だ。

 著者の竹田青嗣は、こういった近代哲学の基本像を真っ向から否定する。哲学の本質はそれが方法的な思考法にあるとし、最も革新的な理念は普遍性という概念で示されると主張する。

 普遍性は、しばし誤解されているように、あらゆることに妥当する完全な認識や知のあり方、ということを意味しない。普遍性の本質は、異なった人間同士が言葉を通して共通の理解や共感を見出しうるその可能性という点にある。

 プラトンにおいてそれは、まず言葉の本質の取りだしという場面から始まり、イデア論や想起説という独自の形をとり、さらに後期における存在的探求に至る。この作業によって、プラトンはそれまでの哲学の至高の中に萌芽として存在していた原理的な思考と普遍的な思考という概念の核を深く掘り下げ、それを方法とした。プラトン哲学は、それが方法的な思考法なのだ。

 現代の思潮と真っ向から対決する姿勢をみせる著者のプラトン観。著者の竹田青嗣に私淑している僕としては、哲学という"方法"の原点に立ち戻る為の手段としてのプラトン哲学を学んで行きたい。

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2011年10月24日

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[ 内容 ]
ヨーロッパ哲学の絶対的な「真理」主義の起源をなす人物として、ポストモダン思想家から最悪の評価を与えられている人、プラトン。
しかしプラトンこそ実は、異なった人間どうしが言葉を通して共通の理解や共感を見出しうる可能性を求めた、「普遍性」の哲学者であった。
また同時に、哲学の本質的なテーマは、人間の生の原理にかかわることを明確に提示した哲学者であった。
プラトン評価を逆転させながら、著者自らの哲学観を明快に開陳する、目から鱗の一冊。

[ 目次 ]
序 反=プラトンと現代
第1章 哲学のはじまり
第2章 ソクラテスからプラトンへ
第3章 イデア
第4章 エロス、美、恋愛
第5章 政治と哲学の理想

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

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[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2014年10月28日

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最近の私は、プラトンとアリストテレスが2度目のマイブームを迎えていて、10年以上前に読んだものを引っ張り出して読み直している。世の中のあらゆる理論的対立は、プラトンとアリストテレスの対立と構造的に同型なのではないかと思い始めたのがその理由。これは、演繹的推論に基づく主張と帰納的推論に基づく主張の対立、と置き換えることもできるが、そこまで単純化してしまうのも危ないところ。人間が行う演繹的推論は(意識するか無意識かは別として)帰納的推論なしでは実行不可能だし、そもそも演繹的推論を表す論理モデルは気の遠くなるような帰納的推論を通じて得られたものである。ただ、ありえない理想に向かって演繹的に物を考える人と、客観的な事実のみを信じて帰納的に物を考える人の間には、どうしても埋めがたい溝が存在してしまうし、溝を埋めるのがいいとも思えないし、どうしたものだろう? 半年に1度、社長が全社員の前でラファエロの名画「アテナイの学堂」を見せながら講演するたびにそう思う。

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2015年08月10日

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プラトンの唱えるイデア説。哲学はこうであってほしい。宗教とはちがい、自分の幸福を自分で探索していく姿勢。幸福とはなにかを考えることによって、自らの知を幸福のために使おうとする。学びの楽しさを体験できる。

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2014年10月25日

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ホントの入門書としては良い。一通りプラトンの書籍と思想について紹介されているし、はしがきのプラトンの思想のまとめも良いと思う。
プラトンが求めた思想は「絶対的真理」でなく、「普遍的真理」だ、というのが本書の要旨のようだが、よくわからん。ニーチェの思想と対比させた考察も浅い印象だ。

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2012年06月27日

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古代ギリシャにおいて、哲学を自身の内面を知る方法として深くまで掘り下げ、現代の思想にまで強い影響を及ぼしたプラトン。入門書ということで著者のわかりやすい解説とニュートラルな視点がプラトンの偉大さを教えてくれる。『恋』と『美』についてはもう一度読み返したい。
イデア思想は自分としては非常に納得してしまうのだが。


09/2/22

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2017年01月29日

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