【感想・ネタバレ】プラトン入門のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

プラトンの思想に賛同する側と反対側の双方の主張を理解した上で、自分の解釈を提示。

反プラトン主義は、プラトン主義に端を発すると見られる近代としての市民社会の成立が、封建制を否定したとともに帝国主義やファシズムの勃興につながり、世界戦争の惨禍を招いたことを根拠に展開される。

竹田的に重要な点を以下に列挙する。
・プラトンが西洋哲学を創始し、ゲーテが完成させた
・哲学は、まずもって、普遍的思考を志向する。「普遍性」の条件とは、誰でも対等の権限でこの言語ゲームに参加できるというありかたのこと。
・哲学の普遍的思考とは、さまざまな共同体を超えて共通了解を作り出そうとする思考の不断の努力。一方、思想の「普遍主義」とは、唯一絶対的な認識の観点が存在するという一つの独断的信念に過ぎない
・宗教は、物語をもとに世界像を描くので、地域性が高く、普遍性が低い。他方、哲学は、抽象概念をもとに世界像を描くので、普遍性を初めから志向。
・プラトンが、主張したこと自体が普遍的な内容だったかはさておき、普遍性を志向した自体は、哲学の創始者と呼ぶにふさわしい

・経験世界(事実)と純粋論理の世界は原理的に異なる。これらを取り違えることは現代でもよくあることだが、カントのように分けて考えるべき
・事実の世界でも論理の世界でも原因の議論は、ふに落ちるものにはならない。どこまでいっても観点の違いといったことでしかない。ヌゥス=知性=人間のものの見方がすべての原因であるととらえるべきである。(ちなみに、これを定式化したのがゲーテであり、「力」という形で深く表現したのがニーチェ。その前に自覚的に論じたのがヒュームだそうな)。ここから、人間がそもそもなぜ世界の根源を問うかといえば、結局欲望のエロスをくみとりたいからであり、そうした欲望のめざすところは、「最善」とは何かということなのである。


入口の背景理解を経て実際の著作の説明に入っているが、読書案内としてとらえるべきだろう。

世の中に、さまざまな「正義」がある中で、いかに共通了解を得るか、がテーマ。皆にとっての「善きもの」を追求する営みが、最重要な愛知。

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2021年08月21日

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