竹田青嗣のレビュー一覧
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「はじめての」と題されるだけあって、難解なフッサールの『理念』が誰にも分かると言って差し支えのない平易な言葉で説明されていると思う。(とはいえ、雑に読んでさくっと理解できるほど甘くもない)
さらに一般読者及び初学者に向けた入門的説明であるだけではなく、フッサールの現象学における核心について、その後の正統派現象学や実存主義やポストモダン思想(相対主義、構造主義)が誤った咀嚼の元に批判を展開してきたという、竹田青嗣氏の力強い主張が展開されているところに本書の大きな特色があると感じた。
この「フッサールは誤解されているので見直すべき」という主張が竹田青嗣氏の独自的なものなのか、それとも現在の思想界で -
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もちろん難しかった。けど最後まで読み通すことは出来た。竹田先生の著作との相性が良いことは分かった。難しいけどすこし読みやすい。先生曰く「哲学」や「思想」が「善きこと」を求める努力で、その「善きこと」への志を持つなら、是非とも一度はニーチェ思想の深い森の中を通ってみることをすすめる。とあるのでオレはようやくその森の存在を知ることが出来たのだと思う。その森は、きっと想像以上に深くて広大で鬱蒼とした暗くてイヤなところだろうけど、途中で急に湖が出てきたり、屋敷があったり見たこともない鳥が啼いていたりしそうだ。そこにはきっと色んなまだ見ぬ未知の世界が広がっている。そこで迷って森から出られなくならない様に
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ニーチェさんは、実はちゃんと読んでいないんです。
読んでみようかな、とも思ったんですが、あの手の本は、どうにも訳文が不満なことが多くて、しり込み。
(村上春樹さんあたりがニーチェ翻訳してくれないかなあ…英語ではないから無理だけど)。
と、いう訳で、こういう本をひとつ読んでみようか、と。
読んでみたら、実に面白かったです。ニーチェ、けっこう好きでした。
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●「事実などは存在しない。ただ解釈だけが存在する」
●「真実とは、もっとも強力な解釈のこと」
ニーチェさんはキリスト教が強い時代にあって、まずそれを疑った。
そして、結局、宗教というものを、疑い抜いた。
全ての「誰かが説いた価値」 -
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著者の初の思想論集です。竹田現象学・欲望論の基本的な発想や、著者のポストモダン思想批判の基本構図まで出揃っており、ほとんど完成に近いかたちで著者の思想が提出されているように思います。
たとえば、デリダや柄谷行人の思想が、現象学の本当の意義を把握していないことに対する批判が、すでに明瞭に示されています。著者は、ポストモダン思想はけっきょくのところ、客観的世界との一致という近代哲学の枠組みを本当の意味で乗り越えてはいないと断じます。それらは、主観と客観の一致という近代哲学の基本的な枠組みを踏まえたうえで、その内部の論理を突きつめていくことで到達した立場にすぎないとされます。
これに対して現象学 -
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分かり易く、読みやすく、面白い内容だと思います
が、この内容が中学生から読めるかというと。。。
そんな中学生がいたら驚異的だと思いました。
息子が読めたらかっこいいなあと思いますが。
フッサールやハイデッカーの現象学の立場から
近代以前の神学・近代哲学・ポストモダン・現代哲学
までの流れや、宗教と科学と哲学の整理。
自己欲望と自己ルール、一般欲望。
自分の意思を持つことの重要性。他者とのかかわり
、形而上学の扱い。。。
それぞれ分かり易く書かれてあります。ただ、大人が
読んでも何度も読み返すか、そういう話に接し
続けないとなかなか腹には落ちないのではと思います。 -
Posted by ブクログ
19世紀末頃のドイツの哲学者ニーチェ。
それまでのキリスト教的モノの見方によって作られていた、
常識や思考のひな型のようなものを、
ニーチェは批判し、破壊する言説を発しました。
ヨーロッパ的にいえば、
ニーチェという点の前後で、
キリスト教的か現代的かに分けられる。
象徴的なのは、ニーチェの著作にある
「神は死んだ。」の言葉です。
入門書で助かったなあという感想ですねぇ。
多くのニーチェの文章が引用されていますが、
ほとんどその意味がわかりません。
解説を読むとわかるのですが、その解説が
どう導き出されているかも、
うまくわからないのです。
やっぱり哲学書って難しいもんです。
途中、ドゥルー -
Posted by ブクログ
ネタバレ以下、心に留った点
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誰でも自分の心を内省して、ここまでは確実、それ以上確実なことが言えないという分岐点がある。誰でもそれを意識できるし、言うことができるという点に、「現象学」の確信がある。
あるところから先は、決して確実なことがいえない…懐疑論、相対主義
確実なことが言える…真理主義や客観科学主義
現象学は正しい認識という問題をどの程度確信と納得の状態があるか、という枠組みに置き換えた
事実を知るということと納得する自己了解するというのは本質が違う
人間や社会の問題では、何が「真理」か誰が「真理」を持っているか、と考えてはいけない。たくさんの人 -
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暇な時期があったので、ヘーゲルの『精神現象学』を読もうと画策するも、一番わかり易いと言われる長谷川宏の訳本を読んでも、全く歯が立たず。そこで、名著『ヘーゲル・大人のなりかた』の著者の西研と、竹田青嗣の解説書である本書の助けを借りることになる。
元ネタの訳文の雰囲気をかなり残しながらも、大事なところを選んでギュッと圧縮して、うまくまとめている。適宜、砕いた解説文が入っていて、だいぶわかりやすくなっている(それでも後半からは、段々疲れてくる)。タイトルの様に「完全読解」したとは思えないが、気になったところだけ書いておきたい。
まず、有名な「自己意識」の「ストア主義・懐疑主義・不幸の意識」の部分 -
Posted by ブクログ
哲学とは一体何なのか?という単純素朴な疑問がありこの本を読む。近代以前の絶対君主的な社会から相互に契約を結ぶという「自由」を主とした社会に変革する中で、宗教的な"物語"ではなく普遍的に了解される原理を導き出すこと。これこそが哲学の本質的役割だということだろうか。
絶対的に正しい世界というものは存在せず、世界を自分がどう理解するのか、また自分と他人との関係性をどう理解するという「視点」の転換が面白い。絶対的な社会が存在することを前提に、それを見つけ出すことこそ(そしてそれには知識が不可欠であること)が哲学だと思っていたから。そうだとすれば、哲学は一部の学者の高尚な学問ではなく、誰もに関わりうる、