竹田青嗣のレビュー一覧
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相対主義や詭弁を退け、あくまでベタに真摯に、言葉による普遍洞察=哲学の道を探る。まさに竹田哲学の集大成ともいうべき書だ。簡単に読み進むのは難しいが、哲学という大きな思考の軌跡をゼロから確実に理解できるはず。
近代市民社会を肯定する。その言葉が凄い。
「近代社会の原理は、歴史上はじめて登場した、万人に自由と価値の多様性を保証する社会システムである。その政治原理は一般意志統治(民主主義)であり、その経済システムは普遍市場(資本主義)経済であって、この組み合わせは代替不可能である」(p30)
現代社会や現代学問の課題に真っ向から取り組もうとする氏の姿勢には、感服するしかない。宮台真司氏や東浩紀 -
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ネタバレプラトンの思想に賛同する側と反対側の双方の主張を理解した上で、自分の解釈を提示。
反プラトン主義は、プラトン主義に端を発すると見られる近代としての市民社会の成立が、封建制を否定したとともに帝国主義やファシズムの勃興につながり、世界戦争の惨禍を招いたことを根拠に展開される。
竹田的に重要な点を以下に列挙する。
・プラトンが西洋哲学を創始し、ゲーテが完成させた
・哲学は、まずもって、普遍的思考を志向する。「普遍性」の条件とは、誰でも対等の権限でこの言語ゲームに参加できるというありかたのこと。
・哲学の普遍的思考とは、さまざまな共同体を超えて共通了解を作り出そうとする思考の不断の努力。一方、思想 -
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「純粋理性批判」を一通り読み終え、なんとなくわかったかな、というところでこの本で再整理。いわゆる「超訳」というのか、著者らの解釈を元にオリジナルを完全に再構成したもの。オリジナルは本筋から逸れた箇所がかなりあり、論理の筋道が行ったり来たりして読みにくい箇所が多いが、本書ではそういうところがスッパリ整理されており読みやすい。一方で「あれ、こんなこと書いてあったっけ」とオリジナルに戻ると、全く違うことが書いてあったりするので注意。巻末の索引は助かるが、訳によっては微妙に訳し方が違うので意外に使えなかったりする。むしろ段落番号があったりするとテキストと相互参照できるのでよかったと思う。
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なんとなく気になる存在ではあるが、難しそうでなかなか手がでないハイデガーの「存在と時間」。さらには、「存在と時間」より難解といわれる「後期ハイデガー」。
全体主義について学んでいくなかで、やっぱハイデガーは欠かせないな〜、またその文脈で、アーレントを理解するためには、その師もある程度理解しとかなくてはな〜と思う。
が、やっぱ本人のを最初に読むのは、ドツボなので、入門書で始める。この入門書もたくさんあるのだが、「現象学入門」が難しくはあるが、クリアな感じなだったので、竹田さんの本で入門することに。
ハイデガーの「存在と時間」を中心に、後期ハイデガー、そしてハイデガーとナチズムとの関係、現代