町田そのこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
豪華作家たちの書き下ろし作品ということで購入。
純文学〜エンタメ作品まで、様々な毛色の小説が収録されているので、読書初心者さんの入門書的な位置付けになるかなと思った。
一番印象に残ったのは米澤穂信さんの「無明」で、どんでん返しが上手に決まっていてよかった。
あとタイトルの「無明」も気になるワードで、ネットで調べてみたら仏教用語で「さまざまな文脈における無知、誤解」という意味らしい。
乳児に手をかけた母親が実際には、、という展開が本作のどんでん返しで、一般の人たちは母親を犯罪者として認識している点が「誤解」というニュアンスを表現しているのかなと思った。
それとは別に母親の置かれた状況はまじでヘビーなため、無明というタイトルには「明りが無い」=「絶望」というニュアンスも含まれているのではないのかなと思った。 -
Posted by ブクログ
長くかかって読み終えた。
生きづらさを抱えた者たちが、心を通わせる描写が美しくて、この作者の筆力を感じた。
表題作の「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」と「波間に浮かぶイエロー」が好きだった。
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「教わるもんじゃなくて、体で覚えてくもんだよ、そんなの。ひとから叩かれたら痛い。だけど同じことができる手のひらを、自分も持ってる。こういう気付きの繰り返しだろ」
「いつ気付くかなんて、個人差だよ。気付かないままでいることが問題なんだ。だから、晴子が気付いたと思うならそれでいいんじゃないかな」
ねえ、誰か教えてください。場所だけじゃなかったんです。私は群も、無理なのです。たったふたりきりの群すら、構築することが苦しいのです。ねえ、私は、どこが壊れているのでしょうか。群の中で生きていきたいと、はぐれたくないと思っているくせにどうして、それができないのでしょうか。こんなにも、望んでいるのに。 -
Posted by ブクログ
【生きにくさを感じている人
今いる場所でもがき苦しんでいる人】向け
生きる難しさをこんなにも温かみのある文章で書けるのか、、
大人になっても生きるのは大変で難しいのに、
子供達なんてもっと狭い世界で、環境で生きているのだから生きにくさを感じてしまうと思う。
夜空で泳ぐチョコレートグラミーがよかった。
今生きている世界が辛いなら、そこから抜け出して優しく暖かい場所にいくの決して逃げじゃないんだよ。
◾️心に残った文章
あたしはこれから、おばあちゃんの口の中から出て、ちゃんと生きていく。
だけど難しいね、生きていくって難しいよ。
生きるとか生きていけないとか、大人でも考えて苦しむものなんだ。
祖母の口から飛び出した小さな魚はこの水槽まで飛び出していま、広い世界に泳いでいった。
初めての世界があのこにとって優しいものでありますように。
生きやすい場所でありますように。 -
Posted by ブクログ
表題作ほか、R-18文学賞を受賞したデビュー作「カメルーンの青い魚」を含む5編の短編集。
・カメルーンの青い魚
親に捨てられ祖母に育てられたサキコは、若い頃に愛し合った男性のことを回想する。
・夜空に泳ぐチョコレートグラミー
中学生の啓太のクラスメイト晴子は、変わり者として知られる祖母に育てられているが、親戚の家に引き取られることになった。
・波間に浮かぶイエロー
夫に浮気され、家を飛び出した環は、かつて自分に好意を抱いてくれていた男性を頼る。
・溺れるスイミー
シングルマザーに育てられた唯子。付き合っている男性からプロポーズされるが、安定した生活が理解できない。
・海になる
流産を機に夫婦関係も悪化し、自分の存在意義を見失っていく桜子。自死を覚悟したとき、一人の男性と出会う。
以前、『プレゼント』を読んだときに町田そのこの話が良かったので読んでみた。ちょっと甘酸っぱいさわやかな話だった気がするけど、本作はどれも切なくて、みんな何か抱えている。かといって暗い話ではないし嫌悪感もない。余韻の残る話ばかり。
5編はそれぞれ単独した話ではあるんだけど、ちょっとしたつながりがあっておもしろい。「カメルーンの青い魚」には意外な仕掛けもあって「え?」って思った。これ、デビュー作なのか。 -
Posted by ブクログ
「夏」をテーマに書き下ろしたという7人の人気作家さんによる短編集。夏の間に読むつもりが、気付いたらすっかり秋になってしまった。
これはまさに読者へのプレゼント♪
個性が強くて本当にバラエティに富んだ短編集
こんな抽象的なお題がピッタリ!笑
以下、収録作品
「ウッドペッカー荘事件」伊坂幸太郎
「二つの宇宙」江國香織
「真実のトランク」宮部みゆき
「きっとあの日の光と同じ」町田そのこ
「無明」米澤穂信
「見越しのマツ」梨木香歩
「伝説の季節」恩田 陸
発想が面白いなぁと感じたのは宮部みゆきさん。
奇妙な話なのに温かい。不思議な読書体験だった。
町田そのこさんはお得意のホッコリ系。
まさかのテンダネスが出現。うーん、コンビニ兄弟は好きだけど別路線で攻めて欲しかった。
米澤穂信さんは、近年の酷暑で実際に起きていそうな社会問題。読後に一番重く心に響いた。
タイトルの「無明」も仏教の言葉。
どの作家さんも、初めましてではなかった分、短編の中にも作家さんの個性が光る。
短編作品は、後々記憶に残らないものが多いが、米澤穂信さんの「無明」は忘れない自信がある。
以下、「無明」本文より引用
「生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く、死に死に死に死んで死の終わりに冥し」
※弘法大師の著書『秘蔵宝鑰』の一節
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Posted by ブクログ
「元カレ」をテーマに描いた、人気女性作家に
よる4編のアンソロジー
それぞれの作家さんらしい物語を堪能できた。
〈姉ちゃん・青山美智子〉
読後感が爽やか。最後の意外性が良かった。
〈三月なんて前世・一木けい〉
小麦アレルギーの脚本家、琴と自分勝手で
ろくでもない元カレとの過去の記憶が描かれる
〈全てはカーテンの中・町田そのこ〉
さすが町田さん!というようなストーリーだった。あの小刀、バッグに忍ばせていたら銃刀法違反に
なりそう
〈二つ年上・山内マリコ〉
着物店に就職した主人公の成長を描くストーリー
主人公のそれぞれが、元カレに対して、未練や
後悔、憎しみを持ち続けながら生きている。
そんな厄介な気持ちを持ち続けながら生きることは苦しみが伴い、なかなか忘れることさえできない。
更に元カレとの記憶は常に美化されがち。
そんな元カレとの過去を自分なりに区切りをつけようとする主人公たち。元カレと過去の気持ちに区切りをつけ、次の一歩を踏み出そうとする彼女たちを思わず応援したくなる、そんな物語だった。