川添愛のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
タイトルと表紙に一目惚れして手に取った一冊。
言語学者である著者が東京大学出版会の発行する冊子『UP』に寄稿した内容をまとめたもので、言語学の観点から様々なトピックについて語っています。
プロレスやダチョウ倶楽部、コロナ禍の散歩の楽しみ方等、トピックは身近なものばかりで親しみやすく、それらに対して腰が低いながらも言語学の視点であれこれ語る文章にはクスリとさせられます。
言語学者を名乗ることに対してやや自虐的なところもちらほらありますが、中でも自分が「ふふっ」と思わず声を出した一文を添えさせて頂きます。
「言語学者に言葉のセンスを要求するのは、植物学者にフラワーアレンジメントを頼むようなものだ -
Posted by ブクログ
著者の本は何冊か読んでいたので本書も手に取りました。言語学という、素人にはとっつきにくいテーマを、なんとも面白おかしく、しかし真面目に論じている本でした。ちなみに著者はプロレスファンということで、格闘技用語がタイトルに使われているだけでなく、プロレス好きなら誰でも知っている、ラッシャー木村の「こんばんは」事件を真っ先にとりあげています。またプロレス技にどんなワードが使われているかの分析や、ユーミンの「恋人がサンタクロース」はなぜ恋人「は」ではなく恋人「が」なのか、またAIはダチョウ倶楽部の熱湯風呂のギャグでおなじみの「押すなよ」を押せと理解できるのか、など興味深いテーマが多いです。とにかく肩の
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Posted by ブクログ
前作と同様に気軽に読めて面白かった。
川添さんは、「日本語を話す人の無意識レベルの知識」の研究者。
言語学の話題から直ぐに脱線するが、脱線する方向がプロレスなのでプロレスファンには嬉しい。
プロレスラーの発する言葉を分析したりするのだが、その時の状況を知っているので理解しやすい。
例えば、「お前を倒すのに3分も要らねえ。5分で十分だ!」
これは「日本語は非論理的な言語なのか」の章で引用された、プロレスのあるシーンでのセリフ。
言われた猪木が何も言い返せない支離滅裂さが実に味わい深い。
第3章に「死語」の話題が出てくるが、私的に「これは死語か?」と思う言葉が最近増えている。
アベック、ドン -
Posted by ブクログ
相変わらずの面白さ!
さらさらと読めるけど、思わず笑っちゃったり考えさせられるところも多く、印象に残ったトピックも多かった。
レイザーラモンRGのあるあるネタ、実は素人が考えられるレベルじゃないというのも初めて感じたし、
古い言葉を聞いて「イタい」思うための必要条件は、「それが使われていた時代をリアルタイムで知っている」ということというのも言われてみれば確かに!と感じた。
"それに乗っかったことを自分の「黒歴史」あるいは「若さゆえの過ち」と認識させてしまう効果があるのだろう。" …うっ…わかるし、そんな死語と感じてしまう言葉なんていくつも思いつく…
"咎められ -
Posted by ブクログ
最初は 漫才の話 掛け合い言葉の話かと思った 本書の中にも出てくるが 今でも 漫才のネタとしてあるのではないか?
言葉を区切る位置を変える 誰かという表示も 省略する それだけで全く 異なる意味で伝わることになる
読み進めて 行くと 次に 思い出すのが ニュースピークの話 (ジョージオーウェル
言論統制することは 思考の自由を奪うことである いいか悪いかの判断は難しいのだが 言葉は時代とともに変化する
終盤にいたり 著者はコンピューターの言語学者 AI に関与しているのだということがわかる
ここでは曖昧さがあってはいけない世界である 言い間違いの偶然はありえない それは意図したものである
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Posted by ブクログ
川添さんの本だ、と思って読み始めた。
だから、内容面について特段知識もなく、中世イタリアへの関心が特にあったわけでもない。
さらに言えば、ミステリもそれほど好きではない。
が、一ページ目から、中世イタリアの世界に拉しさられる。
とても面白いのだ。
今年の一番の収穫本だったかもしれない。
物語はアッジシのフランチェスコの遺体が消えたという騒ぎから始まり、謎解きが始まっていく。
イタリアの修道院の雰囲気、各会の相互や法王庁との関係、何より聖遺物に対する一般の人々をも巻き込んだ熱狂的な信仰。
そういったものが描かれていくのだが、知識ゼロでも全く問題なく理解できるように書かれている。
アッジシのフ