川添愛のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
うちの娘は語学が好きである。英語とか古文とか、文法の勉強自体が好きらしく、活用とかイディオムとか覚えたりが苦でないらしい。
これは語学は仕方なく学ぶものでそれ自体はめんどくて仕方ない、という私とはえらい違いである。
したがって、というか娘はなんとなく自分を文系と思っているようなのだが、いよいよコードさえ書かなくてもAIを使える時代がやってくる。そうなると語学そのものが好きなことはAIの本質理解の上で立派な武器なのでこの本を推薦してみた。そして案の定自分が先に読んでいる。
川添愛さんの本は何冊目かわからないがこちらも予想どおりおもしろい。「自動人形の城」とほぼ同じタイミングの出版であり、いずれも「面倒なことを機械にやってもらおうとして四苦八苦する」話なのだが、あえて言うなら「自動人形」はプログラミングの話、本書は人工知能の言語認識の話と言えるかもしれない。
言葉がわかる、とはどういうことか?最近理解が進んできたとおり、人工知能がやっているのは煎じ詰めれば「似たような用例の文章を鬼のように学習して質問にそれっぽい回答を返す」プロセスに他ならない。それっぽさ、の再現のためには、人間がなぜかできてしまう「聞き取り、話し、関係付け、論理を理解し、しかも言わずもがなの常識をわきまえる」ことが必要になる。この辺を寓話的に説明するのは手練の川添節。
理論的に未解決でも大量のデータを食べているうちに、人工知能がとにかく実用に困らない程度にそれっぽい回答を出せるようになってきたことはいまや皆知っている。
それでも「『この課題をクリアしていない限り、言葉を理解しているとは言えない』という、『言語学者から見て絶対に譲れないライン』は提示したつもりです」(あとがきより)。
このかっこよさ。
押し付けるつもりは毛頭ないけれど、娘がこれを読んでおもしろい!と思ってくれるかどうか。ちょっと楽しみ。
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Posted by ブクログ
自分の経験では、言語学の本は以下のパターンがある。
①真面目な人が、真面目になって書いた
②真面目な人が、面白いと思って書いた
③面白い人が、真面目になって書いた
④面白い人が、面白いと思って書いた
川添氏の④を読んだ後に、この③を読んだので、諸所の表現から④を思い出してしまい、①にも読めそうな③なのに④にも読めるという現象が起こった。これでも門外漢にはだいぶ敷居が高いようにも感じるので、④にあたるバーリトゥードを読んでからこの本を読むのが適切かもしれない。
何にせよ、言語学的アプローチがわかりやすく書いてあったので、言葉を生業にする方にも大変有用に思う。 -
Posted by ブクログ
人間一人ひとりが、固有の運命数を持って生まれ、その運命数の特徴に応じた性質、能力を秘めているという、他に類を見ない独特な着想に基づくファンタジー小説。中世ヨーロッパ風の世界観で、とある王国を支配する女王に養子として育てられた少女が主人公というと、ファンタジーの舞台設定としてはありきたりにも思えるが、そこに運命数にまつわる多様なエピソードを違和感なく見事に取り入れていて、飽きることなく先へ先へと読み進めることができた。
フィボナッチ数列や友愛数、素因数分解の困難性などは数学を学んだ人であれば知っている人も少なくないと思うが、こんな特徴を持つものがあったのかと驚くような数字もいくつも登場し、数学方面の知的好奇心も満足させてくれる。
とはいえ、出て来る数学的要素はそこまで高度な知識を要求するものではない。作中でも必要な説明は自然な形でなされている。近所の書店では、本書は一般の本好きの目には触れそうにない数学の専門書コーナーに置かれていたが、もっと注目される場所に移してもいいのではないかと思った。 -
Posted by ブクログ
一人ひとりが運命数と呼ぶ固有の数字を持って生まれる世界。その数字を素因数分解(割り算的な)することで相手を呪い殺す力を得た悪の女王が、世界を意のままに操ろうとしている。
それに抗うのは13歳の赤毛の少女。算術に長けた妖精や森の長と協力して、女王が持つという運命数【ひび割れのない数=素数】を打ち破り、世界に平和をもたらすことができるのか、的なファンタジー話。
物語において、不思議な性質を持つ様々な数字が困難を乗り切る鍵となります。読み進めることで、整数をかけると元の数字の列が一つずつズレていく巡回数や、植物など自然に多く見られる数字配列のフィボナッチ数といった話題に触れられます。
紹介される数字は桁数が多く、一見すると難しく見えるかもしれません。ただ、へー不思議だね、くらいの感覚で読んで全く問題ないと思います。
たまにはファンタジーものを読みたいけど、あまりに子供向けなのはちょっと、、という人にはおすすめできるのではないでしょうか。数字の面白さに出会える本でした。