川添愛のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
お互いにしっかりとした大人同士であっても、
言葉の解釈の違いから誤解を招くことは多いです。
例えば「私には双子の妹がいます」と聞いて、
私と妹が双子なのか、私の妹同士が双子なのか、
二つの意味にとることができます。
わかりやすい最近の例では「ヤバイ」には良い
意味も悪い意味もあるし、「辛い料理は食べられ
ますか?」という問いに対し「大丈夫です」という
答えでは、食べることができるのか、いらないの
か分からないと思います。
このようなお笑いコントのネタにも使えそうな
言葉の解釈を言語学の視点から読み解きます。
ちなみに「頭が赤い魚を食べる猫」という一文は
「頭が赤い魚」を食べる「猫」や、「頭が赤くて
魚を食べる猫」など、なんと五つの異なる解釈を
持つそうです。分かりますでしょうか。 -
Posted by ブクログ
言葉って難しいと思った。
働きたくないイタチたちが働かないためになんでもできる便利なロボットを作ろうとする話。便利にするために、なぜかたくさん働かなくてはいけないイタチたち。
機械に言葉を理解させる難しさがものすごくよくわかる。
文脈から自然にわかる内容も機械だと理解できない、言語って分析するとこんなに複雑なんだとわかった。
言語を自分たちがどのように理解しているか自分でも理解できない。
ちょっとびっくりしたのが、人間は言葉そのものに触れる前から、言葉を学ぶ方法を知っている。これは進化の過程で培われてきた本能的な能力の一部。ということ。
我々人間が進化したのは言葉をつかえたから、そしてそれが本能にあったからなのかと思った。
奥が深すぎる言語。
カメレオン村のレオンちゃんの部分を読んで、チャットGPTなどのAIを想像した。 -
Posted by ブクログ
ゆるっと笑えて読めてすこしだけ言語学に興味が出る、言語学の入門書として良い本だと思う。
この作者さんのロジカルなところが好きでエンタメに振りつつもちゃんと言語に対しては丁寧に説明してるところに好感がもてた。
章ごとの繋がりや取扱うテーマ、セリフについてちゃんと説明するところは学者らしいなと感じた。
好きなセリフ、好きな作品に対しての言語学者ではものの見方が異なる事がとても興味深い。とある作品では、セリフの語尾に「よ」が多く着いているなんてこと、自分では気づかないことだ。しかしこうして「よ」の多岐にわたる用法を説明されると今後別の作品に触れた時に「よ」の使い方に注目してしまう。
そして作中に出てきた「みんな大好き倒置法」、これも作中で言及された七五調であり大変小気味良く、耳に残る。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ言語学者の川添さんが、自身が見たり読んだりした作品から印象に残っているフレーズを抜き取って、言語学的な観点で考察している本。
言語学の本って「言葉」そのものに関する説明が多いが、この本は物語を題材にしていることもあり、言語学者ならではの着眼点や考えが書かれていてエッセイを読んでるようだった。
・勇者ヨシヒコ「はこびるって何だよ!」:物語と現実世界のブレンド感を作中のセリフから読み取っているのが面白かった。村のおばば役の人が「生贄を連れて出るのを拒否るやつが続出だったんじゃ」と「拒否る」という若者言葉を使っている様子や「村のしきたりを取り消してほしい」というヨシヒコの申し出に「いいよ別に」と軽く応じる様子。
そのような色々な観察から、最終的にヨシヒコの世界をロープレの世界だと見なして、ヨシヒコやムラサキ等はNPC,メレブはPC等と想定していて、物語の楽しみ方の幅が広がった。
・違国日記:朝の「なりたい自分になりたい」というトートロジー的な言葉について。
他の言葉は
・「わかる人にはわかる」→わかる人がいるという事を意味している
・ダメなものはダメだ→ダメを強調している
という意味を持つが、「なりたい自分になりたい」はどちらも違う。
最初の「なりたい」は朝の頭の中の理想を指していて、次の「なりたい」は最初に指した理想になりたい。ということなので、他のトートロジーに比べて冗長さが感じられないのではないかと考察してる。
言葉に対して「違和感」を持ち、そこをここまで深ぼれるのはやっぱり言語学者だなと思う。
「なんか面白いな」「違和感だな」と感じたことについて、「面白かった」で終わらせず、なぜ面白いのか、他とどう違うのかまで言葉で捉えられると、これまでより深く楽しめそうだと思った。 -
Posted by ブクログ
数や計算の概念を物語世界のルールに組み込んだ発想がとても新鮮。フィボナッチ数列・完全数・カプレカー数・コラッツ予想などのモチーフが、知識のひけらかしではなく冒険の一要素としてうまく融合、機能していたのが印象的だった。主人公のナジャの成長を中心として、読み進めるほどに重みが増していく構成も良い。
全体としては児童文学的な読みやすさと王道ファンタジーの熱さが両立しており、とっつきにくそうに見える題材なのに感情の流れがつかみやすかった。特に、恐れや憎しみにどう向き合うかという普遍的な問いが、派手な世界観の中でも地に足のついた言葉で描かれている点に強く惹かれた。数学ファンタジーという珍しさだけでなく、物語としての満足感もしっかり高かった。 -
Posted by ブクログ
読んで良かった。
ふかわりょうといえば、白いターバンを巻いていた頃の印象しかなかったけど、当時からあのシュールなネタと独特な目の付けどころが好きだった。
この本を読んで、なぜ好きだったのかがやっと腑に落ちた気がする。
彼の言葉に対する視点や引っかかるポイントが自分と驚くほど似ていて、読みながら何度も「そうそう!」とうなずいてしまった。
・「忖度」という言葉の使われ方
・「二子玉」や「三茶」は省略するのに、「◯◯◯◯◯◯」は略さない不思議
・「何食べたい?」「焼きそば『で』いいよ」の『で』という1文字の破壊力
・感情剥き出しの言葉は全裸
など、他にもずっと自分の中でモヤモヤしていたことが言語化されていて、読み終えた後は何だかスッキリした。
私も言葉についてのニュアンスが妙に気になる方なので、言葉の微細な違和感の感覚が近くて、勝手ながら親近感までわいてしまった。
作中で紹介されていた「フライドチキン」や「ビート板」のネタも、短いフレーズなのにその前後の情景が浮かんでじわじわくる。
この絶妙な言葉のチョイスこそが、彼にしか出せない味だと感じる。
そんなふかわさんの鋭い(細かすぎる)投げかけを、言語学者の川添愛先生がどんな球でも優しく受け止めてくれるのも心地よかった。
対談が進むにつれてお二人が楽しんでいる様子が伝わってきて、こちらの気分まで明るくなった。
川添先生のあとがきは、飾らない正直な気持ちが綴られていて、読後感をさらに良いものにしてくれた。
彼の視点をもっと覗いてみたくなって、すぐにふかわさんのエッセイをポチッとした。
Audibleにて。 -
Posted by ブクログ
「言語学バーリ・トゥード」の川添愛先生が、ふかわりょうと対談している本ということで読んでみました。
ふかわりょうも意外に(?)言葉に対する感覚が鋭いところがあり、話がきちんと転がっていっているのに感心しました。
印象的だったところをかい摘まんでみますと、まずは、ふかわりょうが、リンカーンの演説の「government of the peopole, by the people, for the people」という有名なくだりについて、実は意味的には「of the people」は要らないはずだと指摘している部分。
これは実は、文章のリズムが良くなるので「of the people」を付けているだけではないか、と言われてみると、なかなか鋭い分析だと思いました。
要素を三つ挙げると心地よいのはそのとおりで、私も文章を書くときに、「要素が二つまでは書けたけど、三つあると落ち着きがいいのに」と思うことがあります。
もう一つは、川添先生が「人が人をコントロールしようとすると、大体不幸になるんじゃないか」と発言している部分。
怒ったり怒鳴ったりせずに、自分の思いや希望を穏やかに伝えるのが理想形であるという話には、私も深く納得します。
ただ、現実はそうもいかず、今日もSNSでは罵詈雑言やら誹謗中傷やらが飛び交っているのでした。 -
Posted by ブクログ
「めっちゃ振り回されるんやけどwww」と苦笑まじりに我が子に言われた。
振り回しているつもりなんてないのだが。
人聞きが悪いなあ。
車で走っていても、歩いていても、途中で気になるものが目に入ると気になって仕方ないのでそこでひっかかる癖があるのだ。
「ちょっとこれ見たい。何かなあ。何でここにあるのかなあ」とか言ってると脱線しまくる。
時間がタイトな時とかは仕方ないので割り切るが、急ぐ旅でないならば確実に立ち止まる、ので叱られるのだった。
******
本書は、気になる日本語についつい引っかかって考えてしまうふかわりょう氏と、それを受けて真剣に面白く一緒に引っかかってくれる言語学者・川添愛氏の対談本だ。
なぜこの言い回しをするのか。
この言葉はどうやって生まれたのか。
現代特有の言葉遣いはほんとに現代特有なのか。
なんで四文字で略すのか。
考える必要も(たぶん)ないし、考えなくても困ることはないし、知らないまま使っていても多分差し支えないことにひっかかるのは、特に役に立つことではないが、楽しい。
わからないことをわかるのは楽しい。
だから、某「ボーッと生きてると怒られる」番組は人気があるのだろう。
たとえ「諸説あります」だったとしても。
言葉は生き物、という表現がある。時間の経過とともに意味や使われ方が変わったり、時にはその言葉そのものが変質したりするからで、変えることはまかりならん、というのは横暴というものなのだろう。現代の私たちだって「役不足」やら「敷居が高い」やら言う表現を元の意味とは違う文脈で使っていたりするのだし。
これらの良し悪しではなく、変遷の経緯を知るのは面白い。ひっかかって観察し、詳しい人に教わって「へええええ!」と思う。アハ体験(この言葉ももう聞きませんね)である。
つまらないことに引っかかるのが好きな方にはお勧めです。わくわくしますよ。
******
実は本書、本をたくさん置いてあって、希望すると貸してもらえるカフェのスタッフさんが「ばじるさん、多分これ好きだと思う」と言ってお借りしたのだが。
瑣末なことに引っかかりがちな性分が我が子以外にもバレバレだったことをこの時知ったのだった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレだれでも知っているようなパンチライン、それゆえにそこには惹かれるだけの理由があるのだと理屈で理解することになった!言葉一つを解体してみるだけでも幾重にも重ねられた構造や意味や作りこみが見えてくる言葉の機械や生き物のような複雑な構造がわかっていくる。改めて自分の何気なく使っている言語を探ってみると確かに隠されていた意味や意味が分類しきれない部分が現れており、まさしく日常生活の中のフロンティアだ。他にも意味やニュアンスは感じ取れるが具体的に何かは言語化できないものが多い。言葉を分解分析するとは自身の内面の道を探ることかも?
もちろん作品について語る部分も言語学的な部分やそうでない部分を含めてとても良いものであり、知らない作品には見てみたい!と思う説得力が、知っている作品には自覚していなかった魅力や共感できる魅力を掘り下げてくれており読んでいて楽しかった。筆者先生の言語化能力の高さはさすがの一言である。まさしくこの文章自体がパンチライン性を秘めているのだろうか?もっと他の作品の分析も見てみたい…また連載を始めてみてくれないだろうかと思ったり。
-
Posted by ブクログ
「パンチ」も「ライン」も知っている言葉なのに、「パンチライン」が何のことか分からなかった。なるほど、「決め台詞」とはちょっと意味合いがちがうけど、心に残る言葉という意味では、これほどぴったりな言葉はないですね。
たいてい、こういうアニメや映画やドラマの名言本って、どういうシーンで使われたかは、書いているけれど、そこから「深まる」ことはなかった気がします。
しかしこの本は、「言語学」と銘打っているだけあって、深い深い。
「副詞」という文字を久しぶりに見たし、「えらい人には、それが分からんのです(よ)」の「よ」にそこまでの意味があるのか!!ってなりました。