川添愛のレビュー一覧
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ネタバレ言葉がわかるロボットを作って、楽したい!
人工知能が言葉を理解しているとはどういうことなのか。言葉がわかるロボットを作って、自分たちの代わりに働いてもらおうとするイタチたちの物語と一章ごとの解説で、それがどれだけ難しいことかを説明する本。言語学を外国語教育の方面からかじっていたので、イタチたちほど自分は愚か者じゃないと思いつつ、「言葉を理解する」の想像以上の深さにあらためて驚く。
ChatGPTの精度が色々言われているが、大量のデータを集めていても元になっているデータに間違いがあると吐き出した結果も間違うことがある。だからすべてロボットに任せることはまだできない。判断は人間がする。またすべ -
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人によって、文章を読むと捉え方が違う。そのパターンを丁寧に解説した本。SNSやインターネットが普及した昨今、いわゆる「どちらにも意味がとれる」内容で炎上沙汰になった(炎上を見た)ケースが多くあるだろう。書いた人はそんなつもりじゃなかったのに、といった言葉足らずというより情報の不足だったり、日本語独特の句読点の切り方だったり。自分もLINEやメールを送る時に、客観的に読み返してあいまいな文章になっていないか、話し言葉で説明するときに情報は足りているか、注意するように気をつけようと思う。事例がとても良い。アンジャッシュのコントなどわかりやすく巧みな「誤解を引き起こす」例が用いられ、読み進めていてと
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私たちがふだん何気なく使う言葉には、「曖昧さ」の要因がいくつも重なり、複数の解釈が生み出されている
そのことで、ものの考え方は変わらないのに、解釈の違いだけですれ違うことも少なくない
曖昧さによる言葉のすれ違いを防ぐには、まず3つ。
・短い言葉には、一言か二言でも情報を追加すると正しく伝わる可能性が高くなる
・言いたいことを予測してもらうために、文脈の影響を考慮する→一番重要なことはできるだけ早く言う、接続詞を適切に使う
・重要な文書の場合は、公開する前に第三者に見てもらう
簡潔に正しく情報のやりとりができることはとても大事
曖昧さがあることで、遊び心が生まれていることも大事
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・AIがどうやって言語処理を行なっているか、そもそも人間はどうやって言葉を操っているか等について書かれた本だった。
・言語処理に使われている機械学習と深層学習について一番初歩的な理解はすることができた。
機械は人間とは全く異なる方法によって翻訳、要約、対話等を行なっていて、人間にもその過程は分からない。なぜならニューラルネットワークという無数のパラメーターを持つ関数をAIが作り出しているから。
・言語AIが人間にとってブラックボックスになる以上、その使い方には細心の注意を払う必要がある。また、AIが出した結果が正しいかどうかの判断は人間が行う必要がある。
・現在の言語AIがWebサイト等 -
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AIが「言葉を理解する」ということの意味を、平易な言葉で説明している。最終的には人が言葉を理解するとはどういうことなのか、言葉の意味とは何か、という問題に行きつく。人が言葉を判断する時は、辞書にある意味だけでなく、常識や文脈、状況やその言葉を発している相手が属している文化などを全体として理解しているから、言葉の単独の意味が分かることだけでは人間と同様の理解にはならない。
AIの中身がブラックボックスである以上、その性能は「振る舞い」で評価するしかない、と著者。チューリングテストと同じだ。受け手が「人間だ」と感じる程の振る舞いをすること。中身を「理解しているか」とは別問題だ。でもそれは人間同士に -
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「言葉がわかる」とはどういうことかを、物語形式で段階を踏みながら丁寧に追っていくことができる1冊。
また、言語化や機械化、システム化とは何か、についても考えさせられる良著だと思います。
章ごとに「物語+解説」という構成も、この本には適していると思います。
個人的に最も「なるほど」と思ったのは、文(文章)の「意味」と「意図」の違いの話。
「意図」を読み取れない人との会話は、苦労することも多い一方で、あえて「意味」と「意図」を変えることで相手の反応や本心を試す、なんてこともやっていたりします。
理論言語学や自然言語処理に興味があるけど、どこから手をつければいいのかわからない、という人には、この -
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勧めてもらっていた本をようやく。
副題の「AIは「絶対に押すなよ」を理解できるか」が本作を端的に物語っている。大変面白かった。
最初は、東大出版会さんの本をこんなに気軽に読めるなんて…と、なんか感動。
教科書として以外では初めてかも。
目から鱗だったのはこちら。
「フィールドワークの場合、調査対象の言語の話者たちが交通の便の悪い土地に住んでいたりすると、そこに行くまでの中継地点に長期滞在することもあるため、その地域のメジャーな言語を使う必要も出てくるという。さらに、調査対象の言語がごく内輪でしか話されないものである場合、相手の人たちと相当仲良くならないと調査ができないというはなしも聞いた -
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言語学にまつわるあれこれを書いた、カロリーの高いエッセイ集。東京大学出版会のPR誌「UP」に連載したものがベースとなっている。
「この『UP』は比較的安心して好きなことが書けるガンダーラのような場所だ。『UP』の読者の皆様はインテリがジェンスしている人たちばかりだから(←過剰一般化)、少しぐらい変なことを書いても許してくださるだろうと完全に油断しているのだ。」
という調子。
連載の第1回が「『こんばんは』事件の謎に迫る」で、いきなりラッシャー木村の有名な「こんばんは」分析だ。
そのほかにもプロレス界隈の有名フレーズが多数出てくる。
同世代人としてフレーズが流布していることは知っていても由来