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主人公のナジャは、メルセイン王国の王女。この世界では、人々はみな神から「運命数」を授けられているという言い伝えがある。
十三歳のナジャは、母である王妃から愛されず、使用人同様の扱いを受けていた。
ある日、数年前に死んだ最愛の姉ビアンカが、実は王妃によって呪い殺されたという噂を耳にする。真相を追う中でナジャは不思議な鏡を手に入れ、導かれるようにその鏡のなかに吸い込まれた。そこで、王妃の呪いの手伝いをさせられている妖精たちと出会い、彼らから王妃の秘密を知らされる。
物語に関係する数学的テーマ:素因数分解/素数、疑似素数、カーマイケル数/フィボナッチ数列、リュカ数列/メルセンヌ素数/完全数/友愛数/三角数/巡回数、カプレカ数/フェルマーの小定理/コラッツ予想
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Posted by ブクログ
人間一人ひとりが、固有の運命数を持って生まれ、その運命数の特徴に応じた性質、能力を秘めているという、他に類を見ない独特な着想に基づくファンタジー小説。中世ヨーロッパ風の世界観で、とある王国を支配する女王に養子として育てられた少女が主人公というと、ファンタジーの舞台設定としてはありきたりにも思えるが、そこに運命数にまつわる多様なエピソードを違和感なく見事に取り入れていて、飽きることなく先へ先へと読み進めることができた。
フィボナッチ数列や友愛数、素因数分解の困難性などは数学を学んだ人であれば知っている人も少なくないと思うが、こんな特徴を持つものがあったのかと驚くような数字もいくつも登場し、数学方面の知的好奇心も満足させてくれる。
とはいえ、出て来る数学的要素はそこまで高度な知識を要求するものではない。作中でも必要な説明は自然な形でなされている。近所の書店では、本書は一般の本好きの目には触れそうにない数学の専門書コーナーに置かれていたが、もっと注目される場所に移してもいいのではないかと思った。
Posted by ブクログ
一人ひとりが運命数と呼ぶ固有の数字を持って生まれる世界。その数字を素因数分解(割り算的な)することで相手を呪い殺す力を得た悪の女王が、世界を意のままに操ろうとしている。
それに抗うのは13歳の赤毛の少女。算術に長けた妖精や森の長と協力して、女王が持つという運命数【ひび割れのない数=素数】を打ち破り、世界に平和をもたらすことができるのか、的なファンタジー話。
物語において、不思議な性質を持つ様々な数字が困難を乗り切る鍵となります。読み進めることで、整数をかけると元の数字の列が一つずつズレていく巡回数や、植物など自然に多く見られる数字配列のフィボナッチ数といった話題に触れられます。
紹介される数字は桁数が多く、一見すると難しく見えるかもしれません。ただ、へー不思議だね、くらいの感覚で読んで全く問題ないと思います。
たまにはファンタジーものを読みたいけど、あまりに子供向けなのはちょっと、、という人にはおすすめできるのではないでしょうか。数字の面白さに出会える本でした。
Posted by ブクログ
本書の著者である川添愛の別の本が面白かったこともあり、こちらも読んでみました。
『数学ガール』と『博士の愛した数式』のような要素を持つファンタジー、というのが自分の印象です。
何よりも、数字の使い方がとてもうまく、また、数字の意味付けや、キャラクター設定も絶妙だと思いましたし、それらとこの本の世界観の設定がうまくマッチしていると思います。
ちなみに、ある程度、数学の素養がある自分は、楽しく読めたのですが、普通のファンタジーとして読めるのかどうかは疑問です。
また、この本に出てくるフィボナ草の設定についても疑問があります。
が、たとえ、それらの疑問があったとしても、それらを上回る面白さがありました。
基本的には、ファンタジーには興味がないのですが、自分の興味を惹く要素があれば、ファンタジーも楽しめることを実感した一冊です。
Posted by ブクログ
数や計算の概念を物語世界のルールに組み込んだ発想がとても新鮮。フィボナッチ数列・完全数・カプレカー数・コラッツ予想などのモチーフが、知識のひけらかしではなく冒険の一要素としてうまく融合、機能していたのが印象的だった。主人公のナジャの成長を中心として、読み進めるほどに重みが増していく構成も良い。
全体としては児童文学的な読みやすさと王道ファンタジーの熱さが両立しており、とっつきにくそうに見える題材なのに感情の流れがつかみやすかった。特に、恐れや憎しみにどう向き合うかという普遍的な問いが、派手な世界観の中でも地に足のついた言葉で描かれている点に強く惹かれた。数学ファンタジーという珍しさだけでなく、物語としての満足感もしっかり高かった。
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