川添愛のレビュー一覧
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どちらにでも取れる文章というのは日本語には存在する。「の」でなんでもくくれてしまったりする。
それを聞き手が言い手の思い通りに受け取るには、文章を削ぎ落とすか、文章を分けたり言い方を変えたり、情報を出す必要がある。
どちらにせよ、文章からある程度瞬間的に正しい答えが導き出せている私は問題ないが、万人に理解してもらうためにはこの様な努力も必要ということ。
例えば「頭が赤い魚を食べる猫」は5つの解釈が考えられるらしい。③と④と⑤は厳しい気がするが。
①頭だけが赤い魚 を食べる猫
②魚を食べる 頭の赤い猫
③頭が 赤い魚を 食べる 猫
④(ある人の)頭が 赤い魚を食べる猫(だ)
⑤(ある人の)頭 -
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ネタバレ言葉は曖昧だから、面白い。
書き言葉だけでなく話し言葉も含めて、語の修飾関係などに注目して、例を挙げながら解釈のすれ違いが起こる原因を説明している。文の構造を言語学で習っていると、そうそう、と分析するけれど、確かに意味の図が何通りも書ける文章はよくある。
人間は自然とあり得ない意味の選択肢を排除していく。しかしこれは人工知能にはどのくらいできるのだろうか。寡聞にして人工知能が「僕はうなぎだ」をどのように処理するのかは知らないし、この本の範囲とはズレてしまうから特に書いていなかったけど、ふと思いついた。
誤解がないように伝えるには、をまとめているのが最後の章である。長すぎても短すぎても伝わ -
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3.5かなぁ。新刊発売時に気になってたが、タイミング悪く、今読むに至る。内容は作者が雑誌で掲載しているコラムからの抜粋?で、言語学について雑学混じりに解説しているので読みやすい。
「白いギターの箱」と言われたら、白いのはギターなのか、箱なのか?という問いも、言われてみたら確かにどっちとも取れるから面白い。また、表紙にものっている「恋人(は/が)サンタクロース」の勘違いも、見事に自分自身がしていたのが、興味深い。
筆者曰く、名詞➕名詞の文の場合、◯◯(は)◯◯という風に(は)を使う事が多く、(が)を使った文章は珍しいという事が誤解の原因らしい。自分で書いてて理解しにくいので、興味ある人は是非本書 -
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タイトル通り、日本語の曖昧さについて、豊富な例に基づいて紹介している。日常にある表現を例にしているので、あるあるネタのようで面白く読めるし、また、例題もあり、理解が深まりやすい。
たくさんの例を紹介しているが故に、一つ一つの現象については、比較的簡単な解説となっているし、専門用語も極力使わないようにしているようなので、全体に言語学への入門の一歩手前の本という感じ。欲を言えば、現象への理解を深めるために、次に読む本が紹介されたりしてると良かったか。
レポートや書類を作るときに、気をつけるべき曖昧な表現を考えるのに役立ちそうなので、そういう視点でも読んでもらいたい。 -
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日本語を【自然現象】として観察し、「それらの現象が存在するのは、私たちの無意識の知識がこうなっているからだ」という仮説を立て、それに従って理論を作り、現象を説明しようとする理論言語学の本。
人が何年も母国語を使うと無意識の知識が備わってくることは、外国語を学んでいると実感しますが、言葉が【自然現象】だという発想はなるほど確かに。
超難しい日本語を、母国語だから無意識レベルで使ってるけど、それでもややこしい間違いはよくあります。そんな日常遣いで発生する日本語の違和感を、置き換えたり何かに当てはめてみたりしながら根気よく解きほぐしていく。言語学者って根気強いのね、私は途中我慢できなくて読み飛ばし -
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美しい水車小屋の娘
今はもう動かないおじいさんの時計
これら二つの文章は、形容詞がどちらの名詞を修飾しても「雰囲気」として許容できるアート性がある。しかし、美しいのは水車小屋?それとも娘?など、明確にしなければ、正しい理解には及ばない。一意に決まる日本語を使うか、曖昧さを残すなら「文脈」で読み解くしかない。例題はどちらでも良いという仕掛けにも読み取れる。そういう内容を楽しく伝えてくれるのが本著。著者の川添愛はプロレスが好き。きっと授業も面白いだろうなと思う。
で、問題は「文脈」だ。発言者の個性や脚本の流れ、前例や歴史認識なんかも含む「文脈」だ。英語は多民族で扱うから文脈依存度が低く、明確。 -
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AIとは、人間には不可能な全知に近い領域から、その対象にとって最も合理的な最適解を導く事の出来るツールと言える。桁数の多い暗算は人間には難しいが、計算機は即答だ。同様に、数字による規則性ではなく、言語による記号接地、つまり現物と言葉を対にして紐付け、概念にも言葉を当てはめ、自然言語をマスターした上で、それらの動きや関係性を考慮できるなら、圧倒的に人間を凌駕する。大企業の社長が企業全体のリソースや活用策を把握する事は難しいが、AIは可能だ。
「押すなよ、絶対に押すなよ」
この文脈は最後までAIには分からないが、分かる必要はない。ここが人間とAIの境目であり、皮肉や嫌味、ギャグや曖昧な表現は、不