ふすいのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ今回は汐見夏衛さんの作品の中でもとても読みやすい本であり、多くの層に需要のある一冊であると感じた。
また、「戦争」という現代人にとって計り知れない出来事への理解も深まった本であった。
個人的にはキミちゃん(陽和の曾祖母)が中学1年生のままな時に、陽和と再会できたらどのように描かれるのだろう、と想像を膨らませていた。が、80年越しの再会が描かれていることでキミちゃんとすごせる夏が最後であるという制限がかかっており、より陽和の心境や行動の変化が分かりやすく描かれていて、それもまた好印象であった。
「戦争」についての導入としてこの本を是非手に取っていただきたいと思う。さらに知識を深めたいと感じた時に『あの花が咲く丘で〜』を読むことを強く薦めたいとも思った。
とてもナイーブな題材をここまでも美しく描ける汐見夏衛さんに毎度ながら脱帽する。
短い作品ではあったが、汐見夏衛さんの味をたらふく味わうことのできる作品だと思った。 -
Posted by ブクログ
この小説を読み終わった時の感想は、「綺麗な小説だけれども、軽い、そして内容の薄い小説だな」というものだった。
この小説を「綺麗な」といったのは、情景描写ではなく登場人物の心情描写のこと。つまり美しい純愛の言葉、家族に対する感謝の心
や同僚へのいたわりの行動などに泣けるような心情描写が多い。が、やはりその心情は軽い、薄いと感じた。登場人物たちの感情と言葉が、戦争による「別れとそれに伴う死」ばかりが強調せれ、しかも強調された感情表現や言葉、それに伴う行動が上滑りのように感じた。逆に、当事者たちの戦争による「苦しさ、悲惨さ」があまり感じられなかった。
「特攻隊員」と「その隊員に関わった人たち」の心情が描かれている話は、どうしても悲劇的で泣ける話になるようだ。昔から「戦争による悲しい話」と「動物とのふれ合いの話」、「難病、余命何年とかの話」は、泣けるストーリーになると聞いたことがある。泣けるストーリーが、良いストーリーと限らない。また近年こういった泣けるストーリーの小説や漫画、映画、ドラマなどが多いようだ。それらの多くが安易なストーリーになってないだろうか。
この作品は、「戦争」、「特攻隊員」と言う重いテーマを扱っている。ならば、もう少し真摯に「戦争」や「特攻隊」と言う歴史的事実に向き合って欲しいと思う。「特攻隊員」の心情は、「見送る人達」の心情は、こんなものだったのだろうか。もっと深く、もっと重く、もっと辛いものだったのではないだろうか。
ただ小中学生、大人でも歴史に興味の無い若い人たちに「戦争や特攻隊」の一端を伝えられる小説かも知れないなとは思う。
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Posted by ブクログ
『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』とその続編『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』の登場人物たちのそれぞれの感情や生き方を知ることのできる短編集です。
タイトルが『あの花が咲く丘で、~』のAnotherとなっていたので、『あの星が降る丘で、~』の前に読んでしまいましたが、内容を見るに『あの花が咲く丘で、~』と『あの星が降る丘で、~』の両方を読んでからの方がよかったかもしれません。もう少し間をあけずに読めばよかったと思いつつ、時間が空いてしまったので前作を思い返しながら読みました。また、今作は映画版のストーリーとも絡む部分があるそうで、原作だけでなく映画を読んでからでも楽しめる内容となっているようです。
収録された短編は、それぞれの登場人物から見た本編前から本編後、そして現代に至るまでの物語です。それぞれの登場人物たちがどのように感じて、どのように生きてきたのか、また死んでいったのか、一人ひとりにフォーカスして味わうことができる一冊となっています。
世界のあちこちで戦争をしていても、戦争から遠ざかっている日本にいて、戦争や平和、生や死について改めて考えることは大切なことのように思います。歴史の授業ではさらりと文章で流されていたその瞬間も、時には恋をしたり、仲たがいをしたり、家族を大切にしたりしてとにかく毎日必死に生きていた普通の人たちの姿があったということを、感じずにはいられません。
知覧特攻資料館のパンフレットを見た親が、涙を流す場面があります。若くして国のために特攻で命を散らした特攻兵たちの名前を見て、この親たちも子どもの幸せを願って付けたはずの名前だろうに、と。その心を想像すると、胸が締め付けられるようでした。
物語のアナザーストーリーではありますが、現実の想いとして平和への祈りと、亡くなっていった方への慰霊の気持ちを忘れずにいたいと深く感じるお話でした。