柞刈湯葉のレビュー一覧

  • 横浜駅SF 全国版

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    「プロローグ」は青函トンネルの作業現場から始まる。そこはJR北日本が「横浜駅」と戦っている前線。

    この本は2017年12月24日に販売された「横浜駅SF」の後、2018年8月10日に発売された番外編の短編集。収録内容のタイトルは以下の7つ。

    ●プロローグ
    ●瀬戸内・京都編 A Harash Mistress
    ●群馬編 Self-Reproduce ENGINE
    ●熊本編 Confectionery 451
    ●岩手編 Scabbers Live in Your Brain
    ●エキナカ都市案内
    ●あとがき

    自己増殖を繰り返して日本全土を覆いつくさんばかりの横浜駅だけれど、海中を侵略することは

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    2025年11月28日
  • 人間たちの話

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    短編集
    ジョージオーウェルの1984を彷彿とさせる現代版監視社会の作品やルネマグリットの記念日を題材にした作品など、好きなものがテーマになっている作品がありとても好きな小説でした。

    タイトルになっている人間たちの話も大好きです。

    とても読みやすくどの年齢層にもオススメできそうです。

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    2025年11月27日
  • 横浜駅SF【電子特典付き】

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    横浜駅が無限増殖するSFです。奇想天外摩訶不思議。

    超高度文明から100年以上経った未来の日本が舞台です。

    リニアモーターカーが走っていた頃が「超高度文明」と呼ばれる時代でした。しかし、その後の100年で世界戦争を経験し、文明は大きく後退します。社会の活気は失われ、人々の生活は圧倒的な生産力を誇る横浜駅にすっかり掌握されてしまいました。

    つまり、日本全国大体横浜駅。

    物語の冒頭は主人公が富士山を眺めて、あー、今年も横浜駅のエスカレーターが斜面を覆って富士山が黒く見えるなー、と季節感を感じているところから始まります。エスカレーターで山肌が黒く見える富士山は夏の訪れなんだそうです。

    この

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    2025年11月23日
  • 人間たちの話

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    柞刈湯葉の空想世界を巡る旅。

    SFはジャンルとして初読だった。凝りすぎたSF設定、インテリうんちく、長尺の小賢しい自分語りに「やれやれ…」と思っていると、人間社会への風刺に加えて心に響かせる文学性が隠れている。

    現実とは広く乖離した世界の中に妙に現代的でリアルなテーマが隠れている。胸を撃つ言葉がある。

    難易度はそこそこ高い。彼の世界を楽しみながら漂流して「これって実は…」を発見して欲しい。

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    2025年11月14日
  • 未来職安

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    「そんな馬鹿な!」と思いつつ、「実際にこうなるのかもしれない」と思わせられる。生きている間に途轍もなく大きなパラダイムシフトがあるのだろうな……。

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    2025年11月13日
  • まず牛を球とします。

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    牛は食べたいが、動物は殺したくない。そんな人類の夢が実現した未来を描く表題作『まず牛を球とします』他、全15作品収録のSF作品集。


    心に刺さるSF短編集です。
    「世界を幸福にする仕事」をする科学者の話や、現代の箱男の話、田中という姓が差別される世界の話など、どの話も現実の延長線上や、ほんの少しズレた未来の話のように思えて、奇妙で落ち着かない気分になります。

    好きだった話は、先述の世界を幸福にする科学者のはなし、『ボーナス・トラック・クロモソーム』。淡々としていてちょっと疲れていて、でも前向きな一人称語りが癖になる。

    退屈な話の代表といえば数学と他人の夢、を合わせた話『数を食べる』も面白

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    2025年11月09日
  • 人間たちの話

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    短編集。収録作品は以下の6編。

    ●冬の時代
    ●たのしい超監視社会
    ●人間たちの話
    ●宇宙ラーメン重油味
    ●記念日
    ●No Reaction

    この中で元々読んだことがある作品がある。2025年4月に読んだ『ベストSF2021』(竹書房)というアンソロジーに『人間たちの話』が入ってた。この短編を単独で読んだとき「火星に生命がいるかというSF的な話の合間に、人間関係が希薄な30歳独身男性と12歳少年が家族になろうとする。いいはなし。」という印象を持った。でも、この作品は元々アンソロジーのためではなく2020年に出版された『人間たちの話』というこの短編集のために書き下ろしされた作品だったらしい。

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    2025年10月26日
  • まず牛を球とします。

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    読んでいる最中は面白さを自分で言語化できていなかったが、小川哲さんによる解説「柞刈湯葉の面白さは、『フィクションを見つけてくる』ことにある」という言葉がとてもしっくりきた。

    ひとつの仮定・設定を定め、あとは現実的な思考で組み立てた非日常を描き出すことで、日常の価値を再確認する、というのがSFの真骨頂だと思う。まさにそんな1冊だった。

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    2025年10月05日
  • まず牛を球とします。

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    表題作のインパクトを受けて購入したが、それ以外も面白い。
    また、小川哲の解説がまたすごい。柞刈湯葉の面白さを言語化するとともに、SFというジャンルの根幹を見事に言い表していると思う。

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    2025年09月30日
  • まず牛を球とします。

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    柞刈湯葉の世界観が炸裂する短編集。

    「まず牛を球とします」
    「犯罪者には田中が多い」
    「スコットランドの黒羊」
    「数を食べる」
    「石油玉になりたい」
    「東京都交通安全責任課」
    「天地および責任の創造」
    「家に帰ると妻が必ず人間のふりをしています」
    「タマネギが嫌い」
    「ルナティック・オン・ザ・ヒル」
    「大正電気女学生~ハイカラ・メカニック娘~」
    「令和二年の箱男」
    「改暦」
    「沈黙のリトルボーイ」
    「ボーナス・トラック・クロモソーム」

    タイトルからもう面白い。
    そして深さもある。

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    2025年09月22日
  • 人間たちの話

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    ネタバレ

    『記念日』はカフカ『変身』と村上春樹『TVピープル』と似た香りがする。といっても、冒頭の不条理さと巨大な石を他人が意に介さない挙動にそれを感じただけであるが。

    『変身』は10代に読んだことあまりにも有名な書き出ししか印象に残っておらず、結末の方向性(ハッピーorダイ)も覚えていないにもかかわらず引き合いに出す豪胆さ。
    『TVピープル』は直近に読んでいるし、あるPodcastでも話題に出ているのを聴いてる。ラストの不穏さが不気味である。

    翻って『記念日』はなぜか前向き。明らかな不条理に巻き込まれているのに、最後には親近感すら感じておりなんだかハッピーな終結。岩の存在によって正気のない世捨て人

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    2025年08月20日
  • 横浜駅SF【電子特典付き】

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    作者カクヨムより、『横浜駅が自己増殖して日本列島を覆い尽くす未来小説。』とのこと。
    マジでその通りだった。

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    2025年07月07日
  • 人間たちの話

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    SF短編小説集。
    元々が科学の素養のある著者であり、現象をわかりやすく文章に組み入れることで、すっと内容が入ってくる。
    それでいて、それぞれの作品に個性を持たせていて心地よい読後感だ。程よいシニカルさとエンタメ。
    それにしても、「豚兄弟」には笑った。

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    2025年04月10日
  • 人間たちの話

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    ネタバレ

    柞刈湯葉先生の作品を初めて読みました
    自分を合っているのかどれも読みやすく楽しめた

    お気に入りは記念日
    大きな岩=恋人(家族捉えても良さそう)と解釈した
    主人公に対してそんな風に見るなよと思う一方でそうかもとも思う
    特にワンルームでは一人増えるとプレッシャー(?)という意味では大きな岩一つに相当するかも
    にしてもあれはコミュニケーションとか取れてるのか?

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    2025年04月10日
  • 人間たちの話

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    現実には今のところはあり得ない設定を、今ある現実に据えて、別の角度から眺めてみる。作者の発想の豊かさに、あり得ない世界に妙に納得してまう。

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    2025年03月06日
  • 幽霊を信じない理系大学生、霊媒師のバイトをする(新潮文庫nex)

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    ネタバレ

    幽霊は信じてないけど霊媒師を信じてるのがいい。

    豊君の人の基準が西田君っていうのがなかなか。

    西田君は最後誰をみたんだろうか。
    一番の可能性あるのは今野勲さんだったりしますかね。

    まさか霊媒師のバイトから凄いシステムの作成に繋がるなんて。

    豊君は凄いと思ってたけど周藤君も凄い。
    行動が的確といいますか。利益を出すのが上手といいますか。

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    2024年10月16日
  • 幽霊を信じない理系大学生、霊媒師のバイトをする(新潮文庫nex)

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    絶対面白いと思って買って、大事に積読してたのに、つい読みきってしまった。
    あー記憶無くして、も一回読みたい

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    2024年09月12日
  • 横浜駅SF【電子特典付き】

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    めちゃくちゃ面白かったです! デビュー作じゃないかと思うのだけれど、それでこの筆力!
    ”横浜駅が増殖してる”という前情報だけで想像していた(私はアニメのAKIRAみたいなのだと思ってた)のとは若干違ったけれど、細部までよく考えられていて。

    あとがきで、カクヨムWeb小説コンテストSF部門大賞の方向性を決定づけてしまったかも? と言及されていましたが、
    それならば、今後はカクヨム〜もチェックせねば。

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    2024年09月02日
  • 横浜駅SF【電子特典付き】

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    横浜駅が自己増植するなら、渋谷駅なんかもっと凄まじい感じがしますけど、個人的には、横浜は地元と言ってもよい馴染みの駅なので、妄想しながら読みやすかったです。
    これが、大宮駅、とか北千住とか、はたまた京都やなんば、博多だったらまた違う話になるのか?どうせならパラレルワールド的にジャンジャン書いて欲しいかな。
    地理的な事が好きな人や、乗り鉄的な人にはウケるかも。
    そして、もし映像化するならどうするかな?と勝手に思い描いてます。皆さんの中で浮かんでいる情景はどんなものなのでしょう。

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    2023年12月01日
  • 紙魚の手帖Vol.12

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    ネタバレ

    書籍のSFアンソロジー「Genesis」が雑誌になったようです。今後は書籍のアンソロジーは出ないのは少し寂しくもあるが、代わりに雑誌を購入するいいきっかけになるのかもしれない。収録作品はどれも面白かった。話が止まっていそうで進んでいる「ローラのオリジナル」(円城塔)、なんとも切ないSFラブストーリー「扉人」(小田雅久仁)と「英語をください」(アイ・ジアン)、リアルさに慄く「冬にあらがう」(宮西建礼)といったところが、印象に残った作品。創元SF短編賞を受賞した「竜と沈黙する銀河」を読めるのもよい。

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    2023年09月29日