柞刈湯葉のレビュー一覧
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なんか理屈っぽい学生さんで、キャラが立ってて良かった。
曽祖母が亡くなり、同級生を名乗るどう見てもめちゃくちゃ若い鵜沼ハル霊媒師を名乗る女性がお線香をあげに来る。大学生の豊は霊だのなんだのを信じていない。そして霊媒師の助手をして欲しいと持ちかけられる。今から仕事なので着いてきてと言われて着いていく。この日は失敗した。
次のバイトはスペイン風邪で亡くなった人から何かを聞き出すというもので、豊はいろはすとタミフルを用意していく。どうやら無事聞き出せたらしい。依頼主がいるらしいことがわかった。
幽霊の後藤三郎さんをハワイに送り出した後、なんのために霊媒師をやっているのかきいてみたが、答えてもらえなかった。ハルさんは倒れて救急搬送される。駆けつけてみると、そこには娘のサクラがいた。
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Posted by ブクログ
現実とは少し違う世界を舞台にした、理系大学生の青春SF。
前半は、お金もやる気もない男子学生が友だちと無謀な冒険をしたり、女子との出会いを夢見てはごちゃごちゃ考えたりする青春ストーリー。おバカ加減が息子とそっくりで思わず応援したくなった。
そして、自分は何がやりたいのか悩んだり、劣等感を抱えたり、後半からは青春時代ならではの葛藤や情熱、希望も描かれていてとても良い作品だった。
さらには地球が膨張して東京・大阪間が5000キロになってる不思議な世界。
メールを送るのにも時間がかかったりして、どこかノスタルジックな雰囲気もある。
そして柞刈さんの熱すぎないリアルっぽい友情青春ストーリーが大好き。
人間力あふれる篠崎と平叙文の宮原さんもとても良い。
『横浜駅SF』後の2作目だからか、面白いものを詰め込もうというノリノリの勢いも感じて、今回もたくさん笑った。
理系大学生の脳内や学生生活も垣間見れた。
「あとがき」までが楽しい。
本編を読み終わってから読んでほしい。
寂しいけど、これで『柞刈湯葉フェア』も終了。あとはBEST3を選ぶという、幸せな悩みが残っている(^^) -
Posted by ブクログ
万人に面白い本ではないかもしれない。
でも、刺さる人にはとことん刺さる本。
なのでこれはおすすめではなく、ただただ私の「好き」を語るレビューです。
旅行記とちょっと変わった斜めな視点。
どちらも大好物な自分にとって、柞刈さんの旅行記は面白くないわけがなかった。
1行1行が面白すぎて噛み締めて読むから、ちっとも前に進まない。
とにかく、いちいち全部面白い。
最初は面白いところに付箋を貼ろうと思ったけど、3行に1枚ペースになったので、諦めて電子書籍を購入。
結局は電子書籍もマーカーだらけになって読みづらくなったので、「そういうことだ」とそこからマーカーもやめた。
自分と似ているのは、止まらないぐるぐる思考、気になるとすぐググる習性、相手の言うことをすぐファクトチェックする性分、面白いと思うポイントやツボ。
決定的に違うのは、頭の構造と「もの」を見る視点。
【理系出身者はギリシア文字がだいたい読めるので、キリル文字の発音も類推で結構わかる。】らしい。
何でわかるのかは、説明されても全然わからない。
理数が苦手な自分からすると新鮮で、ただただ憧れる。できることならば、私も理系の人になりたかった。(絶対ムリだから憧れる)
印象的だったのがモンゴルでの子羊の解体シーン。
私はつい、子羊側の感情を勝手に想像して、信用していた人間に襲われる裏切りや恐怖や痛み、子を殺された子羊のお母さんの気持ちまでをセットで一気に想像してしまう。
柞刈さんは、感情を入れずに生物学的な視点で淡々と観察しているように私には見えた。
これは私には全くない感覚なのでとても斬新だった。
カエルの解剖で教室を飛び出して保健室に逃げ込んだ自分とは、頭の構造が根本から違う。
だから私はグロが苦手だったのかと何だかわかった気がした。
グロ描写は絶対NGなはずなのに、柞刈さんの脳内を通すとなぜか不思議と平気で読めてしまう。
目の前にない感情を想像してしまう自分と、目の前にある物体の仕組みを探求する柞刈さん。
自分とは全く違う頭の中をここまで覗けるのは、本でしかできない体験だと思った。
そして、柞刈さんは理系頭脳だけでなく、文章も面白いからずるい。
言葉選びのセンスがたまらない。
随所に散りばめられたオタク的で秀逸な例え話が、ことごとくツボだった。
自分にとっては心から楽しい特別な一冊だった。
もっとたくさんの国を旅して、その脳内を覗かせてほしい。
★10 -
Posted by ブクログ
SFの短編集。SFはいつも価値観や視点を揺さぶられるので痛快です。
特にタイトルの「まず牛を球とします」はタイトルからもちょっと面白くてセコい。全然説明されない世界観の含み方も素晴らしくて、近未来的な思想と科学の結実が有り得そうすぎて本当に面白かった。SF長編では得られない、いわゆる「すこしふしぎ」なSFでした。
もう1つのお気に入りは最後。単にめっちゃ勉強になったし、やべえ!合理的だ!気持ちいい!と思う設定(設計?)に感動しました。
いやー、科学って楽しいな…
読むのも楽しいが、誰かとこの作品で描かれている近未来や世界観についてずっと議論したい…!と思いました。相手がいないのでGeminiと話します…笑 -
Posted by ブクログ
印象深いのは「東京都交通安全責任課」。とんちか落語か、感覚的には間違っている気がするけど理屈にケチがつけられない。「そうかな? そうかも」って感じ。なぜ労働者は金がもらえるのか、これは形を変えた感情労働なのか、全員で1人が車1台ずつ責任を負うとどうなるのか、などなど色々な論点がありそう。
全体として他人に対する思いやりというか、せめて僕にできることはしてやろうという姿勢を感じた。「石油玉になりたい」、「家に帰ると妻が必ず人間のふりをしています。」、「大正電気女学生」の3編は特に。
「改暦」で天人合一説がまんまの形で出てたのは面白かった。これ1つ前の本で読んだところだ! -
Posted by ブクログ
横浜市民となってから、横浜駅は日本のサグラダファミリアだという話題は良く聞いていた。確かにずーっと工事してたし、待ち合わせ場所も全然定まらないし。そんな横浜駅がついに『完成』してしまったらしい。サグラダファミリアも完成するし時代の流れを感じずにはいられない。
そんな時にSF作品紹介動画でこちらの作品が出ていた。柞刈湯葉先生の作品は読んだことがあり、めちゃくちゃ面白かったからこの作品もタイトルだけは知っていた。けれど紹介動画で話されるあらすじが余りにも面白そうすぎてすぐに手を付けていました。もっと早くに読んでいたら良かったな。横浜駅が自己増殖を繰り返し国土のほとんどが横浜駅になるとか、何言ってるんだ?ってなるだろう。Suica至上主義とか青春18きっぷとかネタ満載かと思いきや本格的SF。かなり好き。若い頃していた妄想に近いものを感じてワクワクが止まらない。
主人公が駅と戦うような思想ではなく、自分探しの旅に出るのが良い。主人公の成長、駅の成長、人間の成長、そういったテーマで描かれているのだなと感じてとても良かった。
最後は受け取り手に委ねるような形かと思う。これから横浜駅がどうなるのか、主人公がどうなるのか、色々と想像させる。パキッとしたオチが必要な方にはうーん?となるのかもしれないけれど、私はこういう未来がどうなるのか考えさせるところもSFらしさでとても好きでした。