柞刈湯葉のレビュー一覧

  • 未来職安

    Posted by ブクログ

    ▼近未来の「職安」を舞台にしたSF連作短編。「働く」ということの意味合いが「エリートであること」になってしまっているなど、格差社会が突き抜けた設定で、一方で生活保護的セーフティーネットは「一応行き届いている」という設定なので、それほど胃液が逆流せずに読めます。

    ▼目黒さん、というのが「普通の常識」を持っている女性で語り部で、言ってみればワトソンさん。副所長の大塚さんというのが奇妙奇天烈な変人、中年男性キャラクターで、言ってみればホームズ役。

    ▼読み終わってしばらくすると、細部はともかくこのふたりのやりとりがとにかくほのぼのと面白かった、という後味だけがはっきり残っています。とっても好印象で

    0
    2024年04月14日
  • 横浜駅SF【電子特典付き】

    Posted by ブクログ

    自分たちで管理をしていた人工的な環境が、拡大して世界そのものになり、自分達の脅威となる。
    自分が毎日利用している駅という施設だからこそ身近に感じ、18切符など知っているアイテムがうまくその世界に落とし込まれている事に感心した。
    毎日の駅内を歩く時間が少し楽しくなった。

    0
    2024年03月24日
  • 横浜駅SF【電子特典付き】

    Posted by ブクログ

     AIの暴走する未来の世界を描いたSF、といえばよくある設定なのだが、なんと暴走しているのは横浜駅。自己増殖する横浜駅が本州のほとんどを覆い尽くし、青函トンネルと関門海峡ではそれぞれJR北日本とJR福岡が徹底抗戦中(四国は陥落)(JRはJapan Rulersの略)。翔んで埼玉…ほどのご当地ネタはないまでも、身近な、あまりにも身近な題材で形作られるとんでもSFはパワーワードの嵐。

    ・スイカ=人体埋め込み式のID認証チップ。横浜駅(エキナカ)に住む六歳以上の人間はこれが無いと自動改札によって強制退出させられる。名称は「誰何」に由来する。

    ・直交座標偽装システム Imitation of Co

    0
    2024年02月17日
  • 横浜駅SF【電子特典付き】

    Posted by ブクログ

    横浜駅が自己増殖して本州を覆い尽くすとか、エキナカにはSuicaを頭に埋め込まれた人間達が住んでて自動改札が歩き回ってるとか、山にはエスカレーターが生えてくるとか、まずそんなトンデモ設定に驚くが、その世界観がとてもよく出来ていて面白い。終わり方がちょっとあっけなくて消化不良なので続編に期待。

    0
    2024年01月21日
  • 横浜駅SF(2)

    Posted by ブクログ

    横浜駅が増殖し日本全体を覆った世界の小説、のコミック版

    主人公がレジスタンスの女性と出会い今後の対策をする
    そして九州側の対抗組織から出てきた単独行動のキャラの活躍
    ハイクンテレケとの出会い

    ほんと最高な作品なので映画化して欲しい…

    0
    2023年11月06日
  • SF作家の地球旅行記

    Posted by ブクログ

    「行ったことのない場所に、特に理由もなく行きたくなる」
    なんとなく移動したい人、および、そういう人の思考過程に興味がある人のためのエッセイである。

    と、“はじめに”に書かれている。
    もうここから笑えるんだけどwww
    読者を面白がらせる文章ではなく、むしろ淡々としているのだけど、それがいちいち面白い。

    青春18きっぷを使った「大人の18きっぷ旅行」が楽しそう。
    コンセプトは「単なる正月の帰省」らしい。
    貧乏学生ではなく大人だから、必要に応じて新幹線や飛行機も使うし、駅ナカで地ビールを飲んだりもする。
    このゆるい感じが好きだなぁ。

    湯葉さんは県境マニアらしい事や、バイク移動が好きな事も分かっ

    0
    2023年10月29日
  • 未来職安

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    所長は猫(スコ)。実質は副所長が経営している職安。働いている人は「生産者」、そうでない人は「消費者」と呼ばれる近未来で、ほとんどの仕事はAIが担い、人間は何の仕事をするかといえば妙なところに需要がある。ブルシットジョブとも言い切れない。ベーシックインカムのような制度が完全普及した社会は、主人公が働く理由を考えると、自立する権利という面で大いなる不安を覚えるが、小説としては楽しく読めた。

    0
    2023年07月09日
  • SF作家の地球旅行記

    Posted by ブクログ

    SF作家柞刈湯葉さんが2019年から2021年にかけてブログで書き溜めた旅行記エッセイ

    本書を読んで湯葉さんって旅行好きなんだなぁと知りました

    湯葉さんの旅行三大原則は「急がない」「頑張らない」「適度に地元に金落とす」だそうです

    で、そんな旅行好きの湯葉さんがまえがきに書いてます
    この旅行記は、観光ガイドには適さない
    旅先での笑えるトラブル話や心温まるエピソードも期待しない方がいい

    なので、湯葉ファンでなければ読まなくていいと思いますw
    けど、もし湯葉ファンなら読んでおくべきでしょう!
    エッセイでも湯葉ワールド炸裂ですよ!w

    0
    2023年06月30日
  • 横浜駅SF【電子特典付き】

    Posted by ブクログ

    ということで一Qさんドハマリの柞刈湯葉さんを初読

    まずは、デビュー作『崎陽軒SF』です

    シュウマイ弁当販売を繰り返す〈崎陽軒の売店〉が、ついに自己増殖を開始。
    それから数百年ーーー横浜駅の99%が崎陽軒化した。

    〜巻末のあらすじより抜粋〜

    まぁ、あくまでこれはSFですのでね
    特に関東圏でお住まいでない方が誤解するといけませんので補足すると
    実際には崎陽軒の売り場面積は横浜駅全体の20%、横浜市全体の3%にすぎません
    まぁ、よく言う「聞くと見るとは大友康平」ってやつですね

    それにしても柞刈湯葉さん
    ものすごい妄想力です

    みなさんも経験ありませんかね〜
    小さい頃のひとり遊びで目の前にあ

    0
    2023年04月24日
  • 横浜駅SF【電子特典付き】

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    増殖する横浜駅。それに従い暮らすエキナカの人々と、主人公含む駅の外側の人々。
    ありえない世界観の中、それをさも当然のように進んでゆく冒険。小林泰三さんが好きな人にはドンピシャでは、と思う。私もとても面白く読めた。

    強いて言えばもっと登場人物達のその後が知りたい。特にJR北日本のアンドロイド達とか。

    0
    2023年02月26日
  • 横浜駅SF【電子特典付き】

    Posted by ブクログ

    私の生まれた場所の子供のころ散々通った駅、それが拡張し日本中が横浜駅と化す。このシュチエーションにやられました。
    設定は最高、とにかくおもしろい。おすすめです。

    0
    2023年02月21日
  • 横浜駅SF【電子特典付き】

    Posted by ブクログ

    緻密な設定がされていて、面白い。
    横浜駅の終わらない改修工事からそんな発想ができるというのがすごい。
    首都圏に住んでいるとよく使うものなどがモチーフになっているから、より面白いかも。

    0
    2023年02月09日
  • SF作家の地球旅行記

    Posted by ブクログ

    広告か書評かでこの本を知ったときに、全てが架空旅行記かと思いこんでいたため、実際の旅行記がスタートして戸惑った。とはいえ独特な面白さがあって好き。国内外編を経ての架空編はますます面白かった。

    0
    2023年01月31日
  • SF作家の地球旅行記

    Posted by ブクログ

    著者のTwitterのノリで小ネタ満載でサクサク読める旅行記。最後の二つは架空の旅行記で、こんなにスラスラと嘘つけるのすごいなと思ったが、小説家なのでむしろそれが本業なので当たり前だと気づいた。

    0
    2023年01月17日
  • SF作家の地球旅行記

    Posted by ブクログ

    非常に楽しく読ませていただきました♪

    文体が軽口をたたく感じで小気味よい。
    SF作家さんて、こんな感じなのかな?
    この人の他の本も読んでみたいかも。

    旅に対して身構えずに、軽やかなところが素敵だと思う。

    p204
    とにかく気負わない、頑張らないことが大事だ。

    私もそんな風に生きて、そんな風に旅をしたい。

    0
    2022年12月15日
  • 横浜駅SF 全国版

    Posted by ブクログ

    横浜駅SFのキャラクターや世界観が好きだったので楽しめた。スピンオフ的な位置付けなので、単体としては消化不良なところも残るけれど。

    ハイクンテレケ、シドウ、ケイハ、二ジョー、青目先生、ミイカ、大隈などが活躍。

    0
    2022年11月30日
  • 未来職安

    Posted by ブクログ

    「まず牛」の所でも述べたが、今後の柞刈作品の読書計画で迷っていた。が、迷いは即刻無くなっていた。いや、無くなったと言うよりも、加速している。このままでいくと、柞刈ロスが生まれる可能性があるので、ここは心を鬼にして現在読んでいるハヤカワ文庫JA「人間たちの話」で一区切りしたいと思っている。でもそれじゃだめだ。ここでハッキリと中断宣言する。それくらいの強い意志を持たないといけない。

    さて、本書は前職の県庁交通事故責任担当で責任を取らされて失職した後の話で、職安を使わずに職安で働くのも面白い設定。しかし、働かない人が99%の世界ってパラダイス。しかし「働く」という言葉の定義をどの様に設定するかによ

    0
    2022年11月06日
  • 横浜駅SF 全国版

    Posted by ブクログ

    期待通りに面白かったのは間違いない。一応前作のスピンオフではあるけれど、登場人物が重複していること以外前作のストーリーの大枠に大きく関わっているわけではないので、同じ世界観を共有した独立した作品として楽しむことができる。

    コロポックル達がみんな個性的で魅力的なキャラクターだったな。彼らが出る話をもっと膨らませて書いてほしかった。特に岩手編、謎を謎のまま残して少し尻窄みな終わり方だったので中長編でもよかったのに…と思ってしまう。

    このユニバースの他の時代の話も見てみたい、例えば冬戦争終了直後とか。もしくは同時代の外国はどうなってるのか、とか。ということで続編を楽しみにしています。

    0
    2022年08月18日
  • 横浜駅SF【電子特典付き】

    Posted by ブクログ

    世界が崩壊した冬戦争から何世紀か経た未来、日本は横浜駅に浸食されていた。超高性能AIによって横浜駅は増殖し、函館から下関までを占拠していたのだ。そんな中、横浜駅に入る生体認証SUICAを持たないヒロトが18きっぷを使って5日間限定で横浜駅へ侵入を果たした…。 要約すると何のことだかわからないかもしれませんが、横浜駅を舞台にしたSFです。本州はすべて巨大な横浜駅になっています。とんでもない設定ですが、読むとストーリーもしっかり練られていて面白いです。

    0
    2025年12月21日
  • 未来職安

    Posted by ブクログ

    面白かった!渡し鳥の想像図をついつい落書きしてしまう。
    装丁も星新一本っぽいが、内容もあの系統の読み応えというか、ええ感じでした。
    99%の「消費者」と1%の「生産者」、国民には厚生福祉省から生活基本金が支給されていて、労働する必要が全くない(人間の代わりにロボットやAIが働いている)、平成よりちょっと先の未来という時間設定のSF。基本生活費は支給されるとはいえ、一人暮らしは無理な金額で、世帯人数が多いほうが生活が楽になるというシステム。そんな世界で家族と離れて暮らしたい女性が、独りで暮らすために、卒後に就職し、辞職し(ここらへんの話もとても面白い)再就職した職安で起きる出来事のストーリーなん

    0
    2022年02月08日