面白かった!渡し鳥の想像図をついつい落書きしてしまう。
装丁も星新一本っぽいが、内容もあの系統の読み応えというか、ええ感じでした。
99%の「消費者」と1%の「生産者」、国民には厚生福祉省から生活基本金が支給されていて、労働する必要が全くない(人間の代わりにロボットやAIが働いている)、平成よりちょ
...続きを読むっと先の未来という時間設定のSF。基本生活費は支給されるとはいえ、一人暮らしは無理な金額で、世帯人数が多いほうが生活が楽になるというシステム。そんな世界で家族と離れて暮らしたい女性が、独りで暮らすために、卒後に就職し、辞職し(ここらへんの話もとても面白い)再就職した職安で起きる出来事のストーリーなんだが、結構あちこちに出てくる文章がぶっささる。
P90
”厚福省の生活基本金は、ひとりで生きるには少し厳しい金額に設定されている。一方で家族をつくってまとまって住めば、いくらかの節約になる。
だからみんな結婚して、子どもをつくって、人数分の生活基本金をもらう。
そうやってこの国の人口は維持されている。
ずっと昔から、まだ科学技術なんてものが生まれる前からこの国はそういう風に運営されていたらしい。普通の生き方をしていれば国からきちんと面倒をみてもらえるけど、そこからちょっとでも外れるとひどく面倒な事になる。だからみんな、寒い土地で身を寄せ合うように「普通」へ「普通」へと向かっていく。”
p127
”「事務員?という事は、そちらも社会人の方ですか」
「社会人?」
と私が聞き返すと、
「生産者の昔の言い方だよ」
と大塚さんが小声で補足する。なんだそりゃ。まるで消費者は社会の構成員じゃないみたいじゃないか・ひどい言葉もあったものだ。”
とても短くて読みやすいので、
ランチタイムに1冊イケる系
あ、そうそう、
SNSは、EsEnEsという名前に置き換えられているんだが、
SNSって日本語で書くとエスエヌエス、全部エでスタートするやん!
という、ことに気づかされて、妙に興奮してしまった(なんやねん、それ)
ローマ字表記すると、Eが3つ!(興奮)
そんな感じで、久々に小学生か中学生ぐらいのころに
戻った気がしました。こんな感じの作品めちゃ好きでした。
(今も好きだと再確認した)