柞刈湯葉のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
横浜駅が自己増殖して、本州の99%を覆い尽くして200年になる…、というSF小説の続編…というのか外伝。
大きく分けて、「瀬戸内・京都編」「群馬編」「熊本編」「岩手編」の4つの話が収録されていて、いずれも横浜駅SF本編より前の話。横浜駅SF本編で登場した重要人物たちの過去の行動がわかって面白かった。
いろいろと納得する部分はあったけれど、まだ語られていない謎も残したまま。これは、今後、さらに描く予定があるのか、それとも後は読者が勝手に考えてくれ、ということなのか…。
ぜひともどこかに続きを書いてほしくもあり、説明しないほうが小説として完全なのかもとも思ったりもする。
ユキエさんとは何者で何を目的としていたのか、キト
はいったいどういう存在なのか、クルはどこでどうしているのか、そして人体への構造遺伝界キャンセラー照射治療費はいったいいくらだったのか(いや、それはいいかw)…。
そんないろいろな謎と、さらに言えば、横浜駅SF後の世界で、登場人物たちがどう生きて行くのか、知りたいものです。 -
ネタバレ 購入済み
ずっと工事中
開業100年超えるのに、いまだにどこかは工事中。
このままの調子でいけば、本州覆い尽くすくらいの事はするかもしれない。
SUICAのチップを体内に埋め込めば、現金なんて使う必要もない
近い将来そんな未来はありそうな気がする。
でも、貧乏旅行の強い味方、18切符は残しておいてもらいたい!
そういえば、駅は拡張し続けてるけど、肝心の電車はどこ行ったんだろう…
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Posted by ブクログ
ネタバレ短編集 一編ずつは短いのでサクッと読みやすいかと思いきや、設定があまりにも壮大すぎて、ん?って立ち止まりながら読んじゃう。
「まず牛を球とします」
牛肉を食べたい、でも動物の生を尊重したい。という人間が誰しも(?)が持つ相反するこの矛盾する気持ちを、解決するために、大豆を遺伝子組み換えして作った球体の牛を、大豆の一種ですと言い張る世界の話。あとは逆に牛の遺伝子から作られた人間の話しとか。世界をシンプルにするとこうなるのかなぁ。感想がとても難しいが、小川哲さんが言ってた「世界に対する皮肉をぎゅっと凝縮してる」ってのが一番しっくりきました。他の生物を尊重できることが、人間としてのひとつの優位性みたいなもので、それをつきつめると、じゃあ牛(大豆)を球体にしちゃえばいいじゃんってなって、でもそれだと結局よくわからんくなって。
「数を食べる」
3個あるリンゴから、3とリンゴに分けて、それぞれ食べる話。まじで意味がわからない。でも、数字って何か他の概念に絶対にくっつかないと存在できないもので、それを他の概念からひっぺがした時に、残された「モノ」は何になるんだろうねっていう問い。
「東京都交通安全責任課」
AIが発展して人間が不要となった世界。人間はAIのミスの責任を取ることでしか、社会的な役割を果たせなくなっている。めっちゃ皮肉だけど、一番響いた。 -
Posted by ブクログ
重力を司る重素の発見により、現実とは似て非なる発展を遂げた世界。大塚大学理工学部重素工学科に進学した僕は、一人暮らしを楽しんだり、友人とひと夏の冒険旅行に出たりする日常の中、一冊の本との出会いをきっかけとして、重素を用いないで空を飛ぶという「飛行機」なるものを作ることを決意する。
重素の過剰採掘により膨張化する地球や反重力を使用した航空機といった、かなり綿密に構築された世界観を、大学生の一人称の中で小出しにしながら明らかにしていくスタイルのSF長編。青春小説としても歴史改変SFとしても楽しめる作品。
時にユーモラスでありながらも、あくまで淡々とした筆致は青春の過剰さを強調しすぎない、平熱青春SFといった趣で評価が分かれるところかもしれない。
「飛行機」に主人公が唐突にのめり込んでいく様も、現実との接続を試みる作者の意図は分かるものの、少し無理がある気がした。
余談だが、作中で出て来る四国独立というモチーフから、ある名作を思い起こした。また再読したい作品が増えてしまったようだ。 -
Posted by ブクログ
たまにSuicaのタッチがうまく反応せず、自動改札機に引っかかることがある。
サッと体を止められた瞬間、「お前、本当に運賃を払っているのか?」と改札機に問い詰められている気分になる。
あの瞬間は自動改札機が意思を持っているかのように感じられる。
だから「横浜駅が人間を支配する」というこの物語にもすんなり納得して、設定には一気に引き込まれた。
設定にはすごく惹かれたんだけど、心理描写が淡々としていたせいか、人物には最後まで感情移入できず、世界にも入り込めなかった。
世界観があまりにも壮大で、自分の頭の中ではうまく映像化できず残念。
もっと理解できたら、きっと何倍も面白かったんだろうなと思うと悔しい。
フェアだけど、『横浜駅SF 全国版』はちょっと飛ばそうかな…。
これに懲りずに次へ行こう!
Audibleにて。 -
Posted by ブクログ
SF作品集
短い話がたくさん収録されているのでサクサク読めた。文章にもクセがなく、読んでて引っ掛かりを感じるような小難しい文体ではないように思う。
「犯罪者には田中が多い」はテーマ性と、主人公の哀愁のあるキャラクターが親近感を覚えて良かった。結末も好き。
「数を食べる」は冒頭で示された『数と夢の話』という情報から思いもよらないほど、不思議におもしろく読めた。前半で出てきた何気ない文言がラストで効いてくる展開が好きなので、この本の中で一番好きかも。
「家に帰ると妻が必ず人間のふりをしています。」はタイトルの元ネタを知ってるので、それだけでクスッとしてしまった。話自体も、短いながら不穏さとおかしみがあって良かった。