あらすじ
日本は自己増殖する<横浜駅>に支配されていた。脳に埋め込んだSuikaで管理されるエキナカ社会。その外で廃棄物を頼りに暮らすヒロトは、エキナカを追放されたある男から人類の未来を担う“使命”を課され……【電子限定!「『横浜駅SF』の原点、連続tweet収録」】
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Posted by ブクログ
横浜駅が無限増殖するSFです。奇想天外摩訶不思議。
超高度文明から100年以上経った未来の日本が舞台です。
リニアモーターカーが走っていた頃が「超高度文明」と呼ばれる時代でした。しかし、その後の100年で世界戦争を経験し、文明は大きく後退します。社会の活気は失われ、人々の生活は圧倒的な生産力を誇る横浜駅にすっかり掌握されてしまいました。
つまり、日本全国大体横浜駅。
物語の冒頭は主人公が富士山を眺めて、あー、今年も横浜駅のエスカレーターが斜面を覆って富士山が黒く見えるなー、と季節感を感じているところから始まります。エスカレーターで山肌が黒く見える富士山は夏の訪れなんだそうです。
この感想からだと『SFってサイエンスファンタジーの略の方!?』という印象を受ける方もいるかもしれません。ですがこれは立派なサイエンスフィクションです。安心してください。
著者の柞刈湯葉先生は生物学の研究をされている方です。生物学的な観点から着想を得ている横浜駅の自己増殖についての記述は本書の見どころの一つ。すごくちゃんとSFに浸れる一冊ですから。この感想でサイエンス要素を全く感じられないのは私に知識が無くて、全くそのあたりを説明できていないせいです。科学的な説明ができない、ということは「じゃあ、あなた、物語の理解度が足りていないのでは……」と思われる方もいるかもしれませんが、安心してください。それでも楽しめました。本当です。(信じて。)
柞刈湯葉先生の作品って登場人物たちの感情がわりと鈍い感じで書かれてて個人的に好きです。感情を露わにして、わー!!っと泣いたり、笑ったりはしないけれど、生物も、アンドロイドなどの非生物も、出てくるキャラクターたちが互いの存在をきちんと認識していて、それぞれの行動が互いの「何か」に作用します。それが次のアクションへと昇華していく様が本当にとても良い。
今まで短編作品の著作しか読んでいなかったので、今回、この長編を読んで、そこをたっぷり味わうことができました。とても満足です。このシリーズでもう一冊本を出されているようなのでそちらもぜひ読んでみようと思います。
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白かったです! デビュー作じゃないかと思うのだけれど、それでこの筆力!
”横浜駅が増殖してる”という前情報だけで想像していた(私はアニメのAKIRAみたいなのだと思ってた)のとは若干違ったけれど、細部までよく考えられていて。
あとがきで、カクヨムWeb小説コンテストSF部門大賞の方向性を決定づけてしまったかも? と言及されていましたが、
それならば、今後はカクヨム〜もチェックせねば。
Posted by ブクログ
横浜駅が自己増植するなら、渋谷駅なんかもっと凄まじい感じがしますけど、個人的には、横浜は地元と言ってもよい馴染みの駅なので、妄想しながら読みやすかったです。
これが、大宮駅、とか北千住とか、はたまた京都やなんば、博多だったらまた違う話になるのか?どうせならパラレルワールド的にジャンジャン書いて欲しいかな。
地理的な事が好きな人や、乗り鉄的な人にはウケるかも。
そして、もし映像化するならどうするかな?と勝手に思い描いてます。皆さんの中で浮かんでいる情景はどんなものなのでしょう。
Posted by ブクログ
久しぶりに読みごたえのあるSF小説を読みました。とても満足感。作者さんは生物研究員さんとのこと。すごく現実的なわけでもなく、かと言ってあり得なくもないような未来を少し納得…の怖さを感じました。
Posted by ブクログ
最近、お気に入り作家の柞刈湯葉さんです!
『まず牛を球とします。』『未来職安』と読んで湯葉さんの発想力が凄すぎる!
デビュー作である本作の発想もまた凄い!
横浜駅は大正四年に誕生してから百年以上に渡り一度たりとも工事が終わったことが無い(あとがきより)
そんな改築工事を繰り返す『横浜駅』がついに自己増殖を開始!
自己増殖!?
どーいうこと(・・?
勝手に成長していくんです!
(エレベータも自販機も勝手にあっちこちに生えてくるんですよw)
自己増殖を開始してから数百年・・・、JR北日本・JR福岡の2社が独自技術で防衛戦を続けるが、本州の99%が横浜駅化した!
ここで本作の横浜駅情報のプチ紹介
・5772156番通路がある
・頭上の案内板には横須賀まで12000m(150分)の案内
・横浜駅の主要な観光地は、富士山のほかに、岩手の巨大堤防、三重の伊勢神宮、古代都市名古屋の遺跡などがある
・42番出口は構造遺伝界を持つ壁で覆われて出入り口がないから、絶対にたどり着けない
(構造遺伝界って何?絶対にたどり着けないって…)
そして、この42番出口が本作の重要ポイントに!
横浜駅の外側で暮らすヒロトの人類の未来を懸けた、横浜駅構内5日間400キロの旅がはじまる!
さぁ、みなさんも柞刈湯葉さんの世界に飛び込んでみよう!ε≡≡ヘ( ´Д`)ノゴー
Posted by ブクログ
大変におもしろうございました。
好きだなぁ、この人のセンス。
まず、「18きっぷ」にクスッときてしまった。
青春18きっぷって、確かにアングラ非常用アイテムっぽいよね、やたら安いけど自動改札通らないし日常使いしづらいあたりが。
何にも知らない無垢な主人公が胡散臭いレジスタンス活動家から託される、という設定が説得力あって、おもしろい。
エキナカやICoCarシステムもそうだけど、この著者はこういう言葉遊びが実に巧みで、読んでいて楽しかった。
非常に高度な理科系知識に裏打ちされたパロディ。
遊び心は言葉だけじゃなくて、些細な描写にも生かされていて、なんでもないところでニヤニヤしてしまう。
たとえば、ネップシャマイが再起動されるとき、最初にJR北日本のロゴが出てきて、そのあとご丁寧に不正シャットダウンに対するエラーチェックが始まるところとか。
今まで起動画面で主人公が待たされるSF小説なんて見たことないから新鮮。
それ、私たちがほぼ毎日やってる動作じゃないの~。
社名のロゴが出てくるとか芸が細かい。
トシルがハイクンテレケの脚の仕様を確認しながら「設計センスが悪いなぁ」と思わず感想を漏らしたりするところも、「あーーー、分かるわー! 私も会社のシステム使うたびに思うわー」なんて思ったり。(会社のシステムは、もしかしたらセンスの問題ではなく、単に会社が設計費用をケチっただけなのかもしれないけど・・・)
そしてふと「スマホとか使って地図見ながら歩いていたりする私たちの今の日常って、ほんの数十年前の目で見ても、めちゃくちゃSFだよね」と考える。
この人の作品を読んでいると、かなりぶっとんだ未来の話なのに、一方で自分が日ごろ目にしているごくありふれた日常につい思いをはせてしまう。
こういう読書パターンは今までなかったなぁ。
それとも、私たちの日常がSF世界へ近づいていってて、SFにすごくなじむようになっているんだろうか?とも思ったけど、これはおそらく著者の力量によるんだと思う。
なんの力量って、想像力の力量。妄想力とも言うかな?
未来のITやエネルギー事情とか、社会状況とか、どれもかなりリアリティある(と言っていいのか)説明がついていて、ぶっとんでいる発想なのに今の社会とどこか地続きに見える。
フィクションを読んでいるけど、頭の中は時事問題パートが刺激される、という感じ。
コメントに人物描写が甘いとか書いている人がわりといたような気がするけど、なんでだ!? すごくうまいしユニークだと思ったけどなぁ。
私は主人公の心情をペラペラ饒舌に語られる作品が好きじゃないから、これくらい抑制されている書き方がちょうど良かった。詳細に書いてないからと言って、決して浅い描写ではなかったように思う。日本の多くの小説はちょっと親切過ぎるというか、情報過多気味と私は思う。
無垢で何も知らない主人公と、やたら饒舌で世知にたけたアンドロイド。それから、論理的過ぎて人間らしい感情の欠落した男と、情に流されて自己犠牲的行動をとってしまうこともあるアンドロイド。この二つのカップリング、すごく良かった。特に、ハイクンテレケが自分の行動をうまく説明できなくて、語りたがらないところが良かったなぁ。
ということで、全国版も読まねば。
ああ! オンダーチェ以来、永く感じてなかったときめきをこの著者に久しぶりに感じてしまった!(オンダーチェとは恐ろしいほどに作風が違うが・・・)
ツイッターとか、ふだん誰のものも読まないけど、この人のツイートは読んじゃおうかな~。
Posted by ブクログ
自己増殖する横浜駅と、エキナカの住民と、改札外の住民と、横浜駅に侵食されていない地域の住民。
発想があまりにも突飛でありながら、自己増殖の論理そのものだったり、エキナカの統治システムだったり、なるほどと思わせる。
おもしろくて夜中に一気読みしてしまった。
Posted by ブクログ
横浜駅が無限増殖を始め人類を支配した世界を、駅ソト育ちの主人公が「18きっぷ」で5日間の旅をする、なんとも不思議なSF。横浜駅にはちょいちょい行くので、「あの横浜駅がねぇ〜」と感慨深いものが…別にないですが、世界観が面白くて結構ハマりました(笑)。
「私、今、横浜駅が無限増殖して人間を支配する話、読んでるんだよ〜」と人に話すのが、まず楽しいです。
カクヨムからうまれたライトノベル…になるのですかね?主人公のキャラクター性がそこまで強くなくて、かわりに世界観の構成が秀逸で、読み味としては星新一さんの小説に似てる気がします。ラノベのノリを期待すると裏切られるかも。…偏見?
細かい謎が明らかにされないまま終わってしまったので、今度は続編の全国版を読みます!
※カクヨムの原稿をメインストーリーだけ切り出して本書に、メインストーリーに入れられなかったエピソードは全国版にサイドストーリー的にまとめたらしいです。
Posted by ブクログ
自己増殖を繰り返し本州を覆い尽くした横浜駅。生体認証システムSuikaを用いて部外者を排除する自動改札。入手した18きっぷを使ってエキナカへの進入を試みる青年。密かに潜入しているJR北日本の工作員たち。横浜駅との攻防を続けているJR福岡。
などなど、魅力的なガジェットに満ちたディストピアSF。
作者自身が言及しているように椎名誠の「アド・バード」の影響が感じられるが、ロードムービー的な「アド・バード」に対して、より正攻法なエンターテイメント作品に仕上がっている。
SFに抵抗が無いなら一読に値する傑作。
Posted by ブクログ
自己増殖を続ける横浜駅に本州が覆われ、人類はエキナカとエキソトの生活圏に分かれて暮らしている世界。エキソトの住人であったヒロトは、いくつかの勢力に後押しされて横浜駅のエキナカに入り込み、真実にたどり着くことになる。こう書くと実に意味が分からなくて良い。おおよそあってるはず。
自動改札、アナウンス、エスカレーターなど、ごくありふれたものが異常な状態で存在しているのが魅力。横浜駅自体も生物的に書かれており、粘菌のようなイメージを受ける。そうなると自動改札は免疫機構だろうか。
ヒロト自身に強い意志があったわけでもないので、問題が解消された後も謎が色々残ったままだったり、関わった人物たちとの交流もさっぱりしたものだったが、交信手段があまりない世界であればそれがリアルなのかもなと思った。
Posted by ブクログ
世界観がすごい!
増殖する横浜駅という構想がすごい。jr北日本のアンドロイド達がどうなったか気になるし、jr福岡や北日本の動きも気になる。続編も読みたい。
Posted by ブクログ
横浜駅、Suika、改札、キセル同盟、、、。
駅をモチーフにここまでイメージが拡張された世界に圧巻でした。
ディストピアな世界観も相まってとても妖しい奇妙な話でとてもおもしろかった。
Posted by ブクログ
着想と設定がすごい
リアルタイムで読んだ時はピンと来なかったところが、現在の技術に照らし合わせるとなるほどとなった。
回収して欲しい伏線が多い。
エキナカにいられる5日間だけで数百年の真相に辿り着けちゃう主人公の運が良過ぎる。
今回のオチ:
本州全土に増殖したAI横浜駅だったけど、元々自己崩壊プログラムを用意していた。主人公は幻の42番出口に辿り着きそのスイッチを押す。日本はもう横浜駅なしでは生きられない状態だったが、行末には触れず終了。
Posted by ブクログ
無限に自己増殖する横浜駅に支配された日本列島。
エキソトで生きてきた少年はエキナカで何を見るのか。
地方民なので横浜駅の実態は知りませんが、無限自己増殖の発想は面白いですね。
馴染みのある用語が異なる使われ方をしていて、これぞSFといったところでしょうか。
でも最後の展開はちょっと強引だった気がw
Posted by ブクログ
無限に広がる横浜駅。管理される人間。駅の外からエキナカに侵入したヒロトは、ある使命を託される。
面白い。あれがこうだったらどうなるか。そんな思考の実験遊戯が、SFの面白さなのだろう。
あちこちに物語の種を残したままなので、そこから想像の芽も伸びます。
Posted by ブクログ
いやー!面白い!
ラノベ枠なのが信じられない、キャラの性格とかがそうなのかな。
キノの旅っぽいなと感じる部分もあるし、バイクに銃も出てくるし。
主人公以外の行きつく先を終わりまで描かないのもよかった。全部にオチをつけられても困るというか、先が広がってていい。
続編の全国版もあるのでそっちも楽しみ
Posted by ブクログ
面白かった。Wikipedia ではこの作品はライトノベルとされているけどそうなのかな。普通にロードムービー的SFとして楽しめた。設定の緻密な馬鹿馬鹿しさの面白さとなんとなく寂しさを感じる文体というか雰囲気が好き。短編集の人間たちの話の中の「冬の時代」と通じる人気のない荒野(この場合はそれがエキナカだったり四国の無法地帯だったりするわけだけど)をいく感じがよい。色々と回収されていないキャラクターや伏線が多いところが気になる。
Posted by ブクログ
自分たちで管理をしていた人工的な環境が、拡大して世界そのものになり、自分達の脅威となる。
自分が毎日利用している駅という施設だからこそ身近に感じ、18切符など知っているアイテムがうまくその世界に落とし込まれている事に感心した。
毎日の駅内を歩く時間が少し楽しくなった。
Posted by ブクログ
AIの暴走する未来の世界を描いたSF、といえばよくある設定なのだが、なんと暴走しているのは横浜駅。自己増殖する横浜駅が本州のほとんどを覆い尽くし、青函トンネルと関門海峡ではそれぞれJR北日本とJR福岡が徹底抗戦中(四国は陥落)(JRはJapan Rulersの略)。翔んで埼玉…ほどのご当地ネタはないまでも、身近な、あまりにも身近な題材で形作られるとんでもSFはパワーワードの嵐。
・スイカ=人体埋め込み式のID認証チップ。横浜駅(エキナカ)に住む六歳以上の人間はこれが無いと自動改札によって強制退出させられる。名称は「誰何」に由来する。
・直交座標偽装システム Imitation of Coordinate in Cartesian space: ICoCa=エキナカの人間は常にスイカによって位置情報を発信させられているが、「キセル同盟」のリーダーはそれを偽装することのできるシステムを作った。
・海底古代都市名古屋=横浜駅主要観光地のひとつ。西暦末期に起こった「冬戦争」で重力攻撃を受けた名古屋は海底に沈んだ。皮肉なことにそのおかげで、横浜駅時代になった今でもかつての姿を留めている。横浜駅は海水で隔てられた地には進出できないためである。
…などなど。駅構内で聞き覚えのあるアナウンスも効果的に差し挟まれ、笑ってしまう。海外作品や古典作品もいいけど、これぞ同時代の同じ国の小説を読む楽しみだ。
二〇一六年第一回カクヨムWeb小説コンテストSF部門大賞受賞作で、加筆修正して書籍化されたとのことだが、その後半は続編に収められているらしい。遠からず読もう。
Posted by ブクログ
横浜駅が自己増殖して本州を覆い尽くすとか、エキナカにはSuicaを頭に埋め込まれた人間達が住んでて自動改札が歩き回ってるとか、山にはエスカレーターが生えてくるとか、まずそんなトンデモ設定に驚くが、その世界観がとてもよく出来ていて面白い。終わり方がちょっとあっけなくて消化不良なので続編に期待。
Posted by ブクログ
ということで一Qさんドハマリの柞刈湯葉さんを初読
まずは、デビュー作『崎陽軒SF』です
シュウマイ弁当販売を繰り返す〈崎陽軒の売店〉が、ついに自己増殖を開始。
それから数百年ーーー横浜駅の99%が崎陽軒化した。
〜巻末のあらすじより抜粋〜
まぁ、あくまでこれはSFですのでね
特に関東圏でお住まいでない方が誤解するといけませんので補足すると
実際には崎陽軒の売り場面積は横浜駅全体の20%、横浜市全体の3%にすぎません
まぁ、よく言う「聞くと見るとは大友康平」ってやつですね
それにしても柞刈湯葉さん
ものすごい妄想力です
みなさんも経験ありませんかね〜
小さい頃のひとり遊びで目の前にあるこれは実は超巨大ロボットに変形してとか、目の前のこの人は実はスパイでみたいに妄想して楽しんだこと
そして妄想が妄想を呼び次々といろんな設定がくっついて妄想世界が際限なく広がって気が付いたら電車に自分しか乗ってなかった!みたいなこと
(幸いにも自分の産まれた町は終点でしたw)
この『崎陽軒SF』はそれのものすごいバージョンだと思うんです
そして柞刈湯葉さんはそれを極めたすごい人なんじゃないかなと思うんですね
他の作品も読んでみたいと思いましたよ
そして最後まで『崎陽軒SF』で通したわしもすごい(なわけあるか!)
Posted by ブクログ
増殖する横浜駅。それに従い暮らすエキナカの人々と、主人公含む駅の外側の人々。
ありえない世界観の中、それをさも当然のように進んでゆく冒険。小林泰三さんが好きな人にはドンピシャでは、と思う。私もとても面白く読めた。
強いて言えばもっと登場人物達のその後が知りたい。特にJR北日本のアンドロイド達とか。
Posted by ブクログ
私の生まれた場所の子供のころ散々通った駅、それが拡張し日本中が横浜駅と化す。このシュチエーションにやられました。
設定は最高、とにかくおもしろい。おすすめです。
Posted by ブクログ
緻密な設定がされていて、面白い。
横浜駅の終わらない改修工事からそんな発想ができるというのがすごい。
首都圏に住んでいるとよく使うものなどがモチーフになっているから、より面白いかも。
Posted by ブクログ
横浜駅が自己増殖しはじめて数百年、ほぼ本州全域が横浜駅となり、人々は体内に埋め込まれたSuikaによってエキナカに管理されて住む。非Suika住民ヒロトはある男から『18きっぷ』と使命を託されエキナカへと旅を始める…。構内に線路が走るわけもなく移動は生成されるエレベーターや動く歩道。不正が行われれば自動改札がやってくる。富士山がどうなっているかとか、JR北日本やJR福岡との攻防等、ヒロトが最終的に何に向かっているか何が起こるのか、想像を巡らせながら夢中で読んだ。とにかく楽しかった!
Posted by ブクログ
横浜駅の工事がずっと終わらないというところから
着想を得たというSF小説。
各地のJRや地名、スイカなどの名前もどんどん出てくるので
発想は面白いけれど、どこかはらはらもする。
オタク的な小ネタもあってだいぶライトな読み味。
あとがきの「それでいいのかカドカワ」に笑った。
Posted by ブクログ
pp.278-9の「補遺」による語彙解説を参照しつつ物語を紹介すると、西暦末期に大国間の連続的な戦争「冬戦争」が起き、その結果日本も「JR統合知性隊」という政治機能を委託された企業によって統治される社会になった(JRはJapan Rulerの略)。「横浜駅」はまるで生命体のように自己増殖を開始し(コンクリートが勝手に動いて?増殖し、エスカレーターなど駅施設がニョキニョキ生え始め)、そして本州の99%は横浜駅になった。駅の中は警察みたいな「駅員」と、「自動改札」というロボットに支配され、人々は脳内に埋め込まれたSuikaで管理されている、Suikaを持ってないと「強制排除」が実行されて駅の外、つまり危険で不毛な地帯に追放される、という話。全体が1駅だから電車みたいな移動手段はありません、というのが目からウロコ。現実よりも明らかに不便で住みにくい、ディストピア。
実は折り込みでこの世界の「日本地図」がついてたり、上で参照した「補遺」みたいな解説を参照しながら読み始めて、この世界観を理解するのに時間がかかった。というか初めの20ページは意味が分からなさすぎて読むのが苦痛なくらい。ただそれを過ぎるとどんどんストーリーに引き込まれて、むしろ「エキナカ」とか「N700系」とか、というか上の「JR」や「駅員」や「スイカ」がそうだけど、現実世界の用語と微かにシンクロしつつ全然違う意味で使われていて、横浜駅全体が生命(ウイルスみたいな?)のように常に動いて増殖している、というのを理解するのが楽しくなっていった。著者が生物学者?ということがあって、例えば「連絡通路の先端が自爆してコンクリート片をばらまき、対岸を構造遺伝界に感染させる」(p.124)とか、本当に生物の世界で起こりそうな(事実は全然知らないけど)内容が、なかなか理系の著者じゃないと書けなさそうな内容だなと思った。あとロボットが出てくるけど、「不気味の谷、という言葉がある。ロボットの外観をある程度人間に近づけると、人間はだんだんそのロボットに好感を持つようになるが、完全に人間と一致する直前に、急激に好感度が下がることがある」(p.253)って、なんか納得。ちょっと前にあった有名人のアンドロイド?ってなんか気持ち悪い、と思うのはこの「不気味の谷」のことなんだろうか。
確か横浜をブラブラしていた時に、横浜マリンタワーというところに入って、上には行かなかったけど下のフロアにいろんな横浜を紹介するパネルがあって、そこでこの本が紹介されていて買った。でも普段おれが使っているのは新宿駅だから、新宿が日本を支配している方が想像できるなあとか(新宿駅も延々と工事しているし)横浜的な要素はそんなになかった気がする。が、結構楽しめたSF小説。(23/09/17)
Posted by ブクログ
横浜駅から着想を得たSFという、誰でも納得のいくテーマでつくられた小説。
無機質な駅構造体が自己増殖するという話ながら、気味の悪さはなく何もかもが人間的に感じられるのが不思議でした。
SFとはいえ、もうちょっと横浜駅進化の過程を掘り下げてリアリティを上げてほしいとも感じました。
Posted by ブクログ
ストーリーとして、没頭できる所と
そうでない部分の振れ幅がすごい。
言葉の意味を全て理解できなくても、
SFと割り切れば、読み切れる!
もう少し続きが読みたいような。
なんだか読みたくないような。
何十年ぶりかのSF小説読了
はじめにマンガ版の方から、今回の作品に出会いました。マンガでは描かれなかった部分があるのだろうか? と、その好奇心で……。
基本的には特別違うところはなかった。
ただ、先にマンガ版を読んでいたおかげが、もしも小説版から読んでいたら、イメージしにくい描写があったかもしれないと思った。
人物設定や関係図、その心情については、若干小説版の方が深く描かれていたので、両方読んで良かった。
以上をふまえて、続編の小説を読むのが楽しみであります。