柞刈湯葉のレビュー一覧

  • 未来職安
    ▼近未来の「職安」を舞台にしたSF連作短編。「働く」ということの意味合いが「エリートであること」になってしまっているなど、格差社会が突き抜けた設定で、一方で生活保護的セーフティーネットは「一応行き届いている」という設定なので、それほど胃液が逆流せずに読めます。

    ▼目黒さん、というのが「普通の常識」...続きを読む
  • 人間たちの話
    柞刈湯葉さん、初読。

    理系の人の思考回路って、こんなかな…という面白さだった。

    「冬の時代」
    ご本人による解説で椎名誠さんの作品への言及があり、あーなるほどと思った。過酷な環境下でも淡々と旅を続ける、どことなくトボけた空気の野郎ふたり、って味が…

    「宇宙ラーメン重油味」
    宇宙人向けのラーメン店...続きを読む
  • 横浜駅SF【電子特典付き】
    自分たちで管理をしていた人工的な環境が、拡大して世界そのものになり、自分達の脅威となる。
    自分が毎日利用している駅という施設だからこそ身近に感じ、18切符など知っているアイテムがうまくその世界に落とし込まれている事に感心した。
    毎日の駅内を歩く時間が少し楽しくなった。
  • 横浜駅SF【電子特典付き】
     AIの暴走する未来の世界を描いたSF、といえばよくある設定なのだが、なんと暴走しているのは横浜駅。自己増殖する横浜駅が本州のほとんどを覆い尽くし、青函トンネルと関門海峡ではそれぞれJR北日本とJR福岡が徹底抗戦中(四国は陥落)(JRはJapan Rulersの略)。翔んで埼玉…ほどのご当地ネタはな...続きを読む
  • まず牛を球とします。
    1話1話、読み進めるたびに新鮮さを感じるSF短編集です。
    目を引く表紙と斬新なタイトルに釣られて手に取った。タイトルからは想像ができない展開がどのお話にも詰まっていて、頭が追いつくまでふぅーっと一息休憩を入れながら読み進めた。
    どの話も面白い。ショートショートではないけれど、どこか星新一みを感じる。...続きを読む
  • 横浜駅SF【電子特典付き】
    横浜駅が自己増殖して本州を覆い尽くすとか、エキナカにはSuicaを頭に埋め込まれた人間達が住んでて自動改札が歩き回ってるとか、山にはエスカレーターが生えてくるとか、まずそんなトンデモ設定に驚くが、その世界観がとてもよく出来ていて面白い。終わり方がちょっとあっけなくて消化不良なので続編に期待。
  • 人間たちの話
    柞刈湯葉さんの初短編集とのこと
    良い
    あらゐけいいちさんの表紙の本は、読んだ限りでは全て当たりだった
    表紙は各短編の登場人物か…透明人間いるし…
    ロボットはイメージと違った
    人間たちの話がよかったな、累かわいい
  • まず牛を球とします。
    文系の私にはほとんど何言ってるかわからない話がほとんどだったけど、「令和二年の箱男」はふっと笑う部分が多く1番好き。
    解説が最後に載っているのが親切。
    そしてSFの短編集は世界観が一気に変わるので読んでて飽きなかった。
    眉間に皺がよるほどだいぶ頭使って疲れてしまったので次は優しい文体の本を読むとする...続きを読む
  • まず牛を球とします。
    独特な世界観を味わえるSF短編集。

    話の一つ一つに不思議な世界、非現実性が蔓延っているにも関わらず、登場人物の考え方や行動には何処となく親近感を抱くことができる。全体的に淡々とした構成になっているが、それがかえって世界観に入り込みやすかった。

    現実世界とは似て非なる世界。もしかしたら未来はこうな...続きを読む
  • 人間たちの話
    ライトな読み心地のSF短編集。
    全体的に面白かったですが、ジョージ・オーウェルの「1984年」をパロってコメディチックにした「たのしい超監視社会」、"消化管があるやつは全員客"をモットーの店主が営業する「宇宙ラーメン重油味」火星の新生命を調査する科学者を文学的な表現で描いた表題作がお気に入り。

    ...続きを読む
  • 人間たちの話
     初めて読んだ作家さんだが面白かった。表紙のイラストも良いし、雰囲気合ってる。楽しさと淋しさと、明るさと難解さと、情緒と理性と…、「相反する」というほど単純でない何かと何かが不思議とよく混ざった滋味深い味。でも(「でも」ってどういうことだと思いつつ)令和風。

    ■冬の時代
    意外に爽やか。良い滑り出し...続きを読む
  • 横浜駅SF(2)
    横浜駅が増殖し日本全体を覆った世界の小説、のコミック版

    主人公がレジスタンスの女性と出会い今後の対策をする
    そして九州側の対抗組織から出てきた単独行動のキャラの活躍
    ハイクンテレケとの出会い

    ほんと最高な作品なので映画化して欲しい…
  • 人間たちの話
    「横浜駅SF」のヒットを機会に短編の依頼があり、「たまったら短編集を出しましょう」ということでできた本がコレ。
    2017年~2019年の5作品と作家デビュー前の2014年の1作品を纏めている。

    何年か前に、中国で「社会信用スコア」と言って個人の信用力を数値化しているニュースを見たが、
    『たのしい超...続きを読む
  • 人間たちの話
    どの短編も割とガチなSF作品にも関わらず、そのどれもが読みやすく、いい意味でびっくりしました。本当に面白かったです。

    中でもお気に入りは「たのしい超監視社会」「宇宙ラーメン重油味」の2作品。特に1984年の同人的立ち位置のたのしい超監視社会は、まさかこんな方向に突き進むとは思わず、爆笑しながら読ん...続きを読む
  • SF作家の地球旅行記
    「行ったことのない場所に、特に理由もなく行きたくなる」
    なんとなく移動したい人、および、そういう人の思考過程に興味がある人のためのエッセイである。

    と、“はじめに”に書かれている。
    もうここから笑えるんだけどwww
    読者を面白がらせる文章ではなく、むしろ淡々としているのだけど、それがいちいち面白い...続きを読む
  • まず牛を球とします。
    ほんタメで紹介されてた本。結構、理系のSFだった。昔読んだ星新一さんを思い出した。発想が自分の範囲を超えてた。仕事がなくなる世界のこと考えたり、人が人であるのは何だろって考えたり、意外と哲学的な所もあったかな。「牛」「田中」「責任課」「タマネギ」「ボーナス」がお気に入り
  • 人間たちの話
    収録作からとったこのタイトルが短編集全体のタイトルとしてこのうえなく相応しい、SF世界に生きる「ひと」の話。
    書かれた当時よりさらに『たのしい超監視社会』のリアリティが強く感じられる社会になってる、ような気がする。
  • まず牛を球とします。
    アイディアあふれる短編集。おもしろい。作者あとがきもおもしろい。

    ■まず牛を球とします
    安易な単純化を揶揄した切れ味ある話。肉の部位だけの牛は生物なのか。
    ■犯罪者には田中が多い
    何がバズるかわからない。田中のイメージもどうなるやら。
    ■数を食べる
    数の概念って不思議。なんでも1つ2つって数えるの...続きを読む
  • まず牛を球とします。
    「頭の体操」のような面白いお話しをたくさん読めて楽しい!
    そこに風刺や暗喩、祈りを読み取ろうとする自分がいることを発見したことも含めて、楽しい読書でした。
  • 未来職安
    所長は猫(スコ)。実質は副所長が経営している職安。働いている人は「生産者」、そうでない人は「消費者」と呼ばれる近未来で、ほとんどの仕事はAIが担い、人間は何の仕事をするかといえば妙なところに需要がある。ブルシットジョブとも言い切れない。ベーシックインカムのような制度が完全普及した社会は、主人公が働く...続きを読む