柞刈湯葉のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
エッセイってこんなに伏線張っていいのか。気を張らない旅行をしているので文体も全体的にゆるくて読みやすいし、クスッと笑えるユーモアや比喩が多くておもしろい。個人的に好きだったのは石川県の垂水の滝を「滝というのは水が垂れるものなので、「音速のソニック」のような冗長性がある」というところや、牛久大仏を「超大型巨人が2人分」と例えた部分で、SF作家のエッセイだけど身近さを感じた。自分が旅行する時も作者のような視点で旅行してみたいなと思った。
海外編ももちろん全ておもしろかったけど、意外と一番近場の千葉編が短編としてよくまとまっていて一番好きかもしれない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ自己増殖を続ける横浜駅に本州が覆われ、人類はエキナカとエキソトの生活圏に分かれて暮らしている世界。エキソトの住人であったヒロトは、いくつかの勢力に後押しされて横浜駅のエキナカに入り込み、真実にたどり着くことになる。こう書くと実に意味が分からなくて良い。おおよそあってるはず。
自動改札、アナウンス、エスカレーターなど、ごくありふれたものが異常な状態で存在しているのが魅力。横浜駅自体も生物的に書かれており、粘菌のようなイメージを受ける。そうなると自動改札は免疫機構だろうか。
ヒロト自身に強い意志があったわけでもないので、問題が解消された後も謎が色々残ったままだったり、関わった人物たちとの交流も -
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Posted by ブクログ
SFとは想像力を広げるものだ。著者の方の見える世界には脱帽でまだ私の頭は狭いものだと気付かされ、同時に自分だけの世界ではないことに改めて感じる。
監視社会をテーマに書かれたものは今の自分の常識を考えなおさせてくれる気づきになった。
どれもそうだが基本的には楽しく読めて読んだ後に深さを感じられる、自分の中でこのような世界となれば自分はどう感じるのだろうか?どう生きるのだろうか?と反芻できるものは、とても良い作品に出会えたのだろうと思う。
科学的なことが多く書かれているものもあって、そこは物語よりそっちに引っ張られることもあったので読むためには科学的な知識があればより楽しめるんだろうなとも思った。 -
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