あらすじ
首里城、筑波山、ウラジオストク、モンゴルの草原……
何のために旅に出て、何を思い、何を目指すのか。SF作家の目を通して楽しむ新感覚旅行記。
2019~2021年note投稿作品を大幅に加筆・修正した海外編4柞&国内編8柞、さらに[架空旅行記]として書き下ろし短編小説2作(月面編/日本領南樺太編)を加えた。
──だいたい僕はどこへ行っても似たようなことをして、似たようなことを考えている。そこには環境によらない恒常的な自己同一性みたいなものがうっすらと見えてくる。(あとがき より)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
万人に面白い本ではないかもしれない。
でも、刺さる人にはとことん刺さる本。
なのでこれはおすすめではなく、ただただ私の「好き」を語るレビューです。
旅行記とちょっと変わった斜めな視点。
どちらも大好物な自分にとって、柞刈さんの旅行記は面白くないわけがなかった。
1行1行が面白すぎて噛み締めて読むから、ちっとも前に進まない。
とにかく、いちいち全部面白い。
最初は面白いところに付箋を貼ろうと思ったけど、3行に1枚ペースになったので、諦めて電子書籍を購入。
結局は電子書籍もマーカーだらけになって読みづらくなったので、「そういうことだ」とそこからマーカーもやめた。
自分と似ているのは、止まらないぐるぐる思考、気になるとすぐググる習性、相手の言うことをすぐファクトチェックする性分、面白いと思うポイントやツボ。
決定的に違うのは、頭の構造と「もの」を見る視点。
【理系出身者はギリシア文字がだいたい読めるので、キリル文字の発音も類推で結構わかる。】らしい。
何でわかるのかは、説明されても全然わからない。
理数が苦手な自分からすると新鮮で、ただただ憧れる。できることならば、私も理系の人になりたかった。(絶対ムリだから憧れる)
印象的だったのがモンゴルでの子羊の解体シーン。
私はつい、子羊側の感情を勝手に想像して、信用していた人間に襲われる裏切りや恐怖や痛み、子を殺された子羊のお母さんの気持ちまでをセットで一気に想像してしまう。
柞刈さんは、感情を入れずに生物学的な視点で淡々と観察しているように私には見えた。
これは私には全くない感覚なのでとても斬新だった。
カエルの解剖で教室を飛び出して保健室に逃げ込んだ自分とは、頭の構造が根本から違う。
だから私はグロが苦手だったのかと何だかわかった気がした。
グロ描写は絶対NGなはずなのに、柞刈さんの脳内を通すとなぜか不思議と平気で読めてしまう。
目の前にない感情を想像してしまう自分と、目の前にある物体の仕組みを探求する柞刈さん。
自分とは全く違う頭の中をここまで覗けるのは、本でしかできない体験だと思った。
そして、柞刈さんは理系頭脳だけでなく、文章も面白いからずるい。
言葉選びのセンスがたまらない。
随所に散りばめられたオタク的で秀逸な例え話が、ことごとくツボだった。
自分にとっては心から楽しい特別な一冊だった。
もっとたくさんの国を旅して、その脳内を覗かせてほしい。
★10
Posted by ブクログ
こういう旅のエッセイものってなかなか手が伸びないのだけど、一風変わったチョイスの旅先で面白く読めた。(ゆる言語学ラジオか積読チャンネルで堀元さんが紹介していたので読んだ)
千葉の鋸山に最近行ったのだけど、あそこをマインクラフトと表現するセンスいいなぁと思う。
・私が知らなかったこと
人が住んでいる琵琶湖内の島!
沖島
新幹線と在来線の線路の幅が違う!
三線軌条
日本でもオイルが採れる!
相良油田
Posted by ブクログ
ずっと気になってた作家さん
言葉選びが巧みで旅行記なのに小説を読んでいるかのような読みごたえ
伏線があったり、へぇ、と思うような豆知識もあったり。
真似したい旅行もたくさんあったしモンゴルとか楽しそうでいつか行ってみたい
ラスト2編の架空編は未来のこうなったらいいなとifの世界線でどっちも好きだった。
SFなんとなく苦手意識あるけど挑戦してみたい。
Posted by ブクログ
エッセイってこんなに伏線張っていいのか。気を張らない旅行をしているので文体も全体的にゆるくて読みやすいし、クスッと笑えるユーモアや比喩が多くておもしろい。個人的に好きだったのは石川県の垂水の滝を「滝というのは水が垂れるものなので、「音速のソニック」のような冗長性がある」というところや、牛久大仏を「超大型巨人が2人分」と例えた部分で、SF作家のエッセイだけど身近さを感じた。自分が旅行する時も作者のような視点で旅行してみたいなと思った。
海外編ももちろん全ておもしろかったけど、意外と一番近場の千葉編が短編としてよくまとまっていて一番好きかもしれない。
Posted by ブクログ
SFの嗜みがないのでどんなもんだろうと思っていたけれど、過度にSF的なところはなく、淡々としていて読みやすい。
ところどころに挟まれる「笑い所」も自分的には許容範囲だ。
元々旅行が好きという作家さんのようなので、続刊が出るようなら読んでみたい。
Posted by ブクログ
面白かった!!
いま一番好きな日本人作家は、と聞かれたらこの人かも。
旅行記はそんなに好きなジャンルじゃないけど、ご本人にとても興味があるので読んでみた。
予想をはるかに上回って面白かった。普通の日常エッセイも読みたい。ものすごく読みたい。有料でそういうのを配信されているらしいけれどできれば本でまとめて読みたい。
全部おもしろかったけど、やっぱりカナダ編、モンゴル編の海外ものが特におもしろかったな。
旅先でユニークな体験をした、とかいうことよりも、その体験についての考察がコテコテの理系目線なので、私には思いもよらない方向に深掘りされていて楽しい。一緒に旅行して、延々と喋りを聞けたらいいのにと思う。
あと、乗馬大好きなのでモンゴルに行きたくなった。ギャロップとかしてみたいよ。
研究職と作家業の両立が時間的に不可能となり、作家業を選んだ、とあったが、「本当は兼業を続けたかった」と書かれていて、なんとなく哀しい気持ちになった。
状況は全然違うが、私も夫の転勤により、辞めたくない仕事を何度も辞めてきたので、自己都合じゃないけど自己都合としか言いようのない理由で仕事を辞める悲しみが心の中に何重もの地層をなしていて、その上に無理やり蓋をして鍵をかけて開かないようにして生きているので、研究職を辞める決意をしたことについて、柞刈さんの控えめな(だけど、何度か繰り返し出てくる)表現が逆に胸に刺さった。人に話してもどうしようもない話だし、本当の悲しみは分かってもらえないので、ふだん話題にしないが、こういうのを読むとふっと表に出てきてしまう。
ところで、架空編になると、とたんに興味が失せた。自分でも不思議なくらいに。この架空編の二編、だるーと思いながら読んだ。
小説だって架空の話なのに、こうならず面白く読めるのはなぜなのかしら。両者の違いは何?!と自分でも謎だった。
あと、やけに誤字の多い本だった。柞刈さんと編集さん、忙しかったのですかね。
研究者らしく、事実に関してやけに厳密な人なだけに、余計タイプミスみたいなものが気になったかも。
好きなので、評価には全然影響しないけど。
Posted by ブクログ
SF作家、柞刈湯葉の旅行記。
国内、海外問わず、さまざまな場所を旅行するエッセイ集。というとよくある旅行記に聞こえるが、そこはSF作家。
目的は観光地化された遺跡でも美食でもなく、国境だったり地磁気逆転の記録された地層だったり、電車に乗ること自体だったりと常軌を逸している。鉄道だけに。
氏の小説と同じ軽妙な語り口でのあてのない旅の記録をみていると、自分も特に無意味にアイスランド行ってトナカイでも食べるか…とか、思えてくる。たぶんいかないけど。インドア派なので。
インドア派だけど旅には憧れる、けど観光地にはそんな興味無いあなたへの一冊。
Posted by ブクログ
「行ったことのない場所に、特に理由もなく行きたくなる」
なんとなく移動したい人、および、そういう人の思考過程に興味がある人のためのエッセイである。
と、“はじめに”に書かれている。
もうここから笑えるんだけどwww
読者を面白がらせる文章ではなく、むしろ淡々としているのだけど、それがいちいち面白い。
青春18きっぷを使った「大人の18きっぷ旅行」が楽しそう。
コンセプトは「単なる正月の帰省」らしい。
貧乏学生ではなく大人だから、必要に応じて新幹線や飛行機も使うし、駅ナカで地ビールを飲んだりもする。
このゆるい感じが好きだなぁ。
湯葉さんは県境マニアらしい事や、バイク移動が好きな事も分かった。
おそらく体力もあるのだろう、歩くのも好き。
そして頭も良い。
(ロシアとモンゴルでキリル文字を読んでいた)
ますます柞刈湯葉という人に興味が湧く。
この本は、1Q8401さん、ほん3さんのレビューから興味を持ち、手に取りました。
ありがとうございます♪
Posted by ブクログ
SF作家柞刈湯葉さんが2019年から2021年にかけてブログで書き溜めた旅行記エッセイ
本書を読んで湯葉さんって旅行好きなんだなぁと知りました
湯葉さんの旅行三大原則は「急がない」「頑張らない」「適度に地元に金落とす」だそうです
で、そんな旅行好きの湯葉さんがまえがきに書いてます
この旅行記は、観光ガイドには適さない
旅先での笑えるトラブル話や心温まるエピソードも期待しない方がいい
なので、湯葉ファンでなければ読まなくていいと思いますw
けど、もし湯葉ファンなら読んでおくべきでしょう!
エッセイでも湯葉ワールド炸裂ですよ!w
Posted by ブクログ
広告か書評かでこの本を知ったときに、全てが架空旅行記かと思いこんでいたため、実際の旅行記がスタートして戸惑った。とはいえ独特な面白さがあって好き。国内外編を経ての架空編はますます面白かった。
Posted by ブクログ
著者のTwitterのノリで小ネタ満載でサクサク読める旅行記。最後の二つは架空の旅行記で、こんなにスラスラと嘘つけるのすごいなと思ったが、小説家なのでむしろそれが本業なので当たり前だと気づいた。
Posted by ブクログ
非常に楽しく読ませていただきました♪
文体が軽口をたたく感じで小気味よい。
SF作家さんて、こんな感じなのかな?
この人の他の本も読んでみたいかも。
旅に対して身構えずに、軽やかなところが素敵だと思う。
p204
とにかく気負わない、頑張らないことが大事だ。
私もそんな風に生きて、そんな風に旅をしたい。
Posted by ブクログ
SF作家、柞刈湯葉さんの旅行記。著作が非常に面白いので、旅行記も気になって取ってみたのですが、これがなかなか興味深い内容で楽しく読めました。
笑えたり感動したりといった物語性はほぼないのですが、著者本人が旅のライブ感を楽しんでいる様子が、こちら側にもリアリティを持って伝わってくる構成はお見事。そして、旅行記の随所に小説に取り入れたであろうアイデアの原石が転がっており、「あの作品のアイデアはこんなところで見つけていたのか!」といった、作者の頭を覗き込んでいるような面白さがありました。柞刈湯葉さんのファンには最高に楽しめる一冊だと思います。