5%社員シリーズなどの著者によるリーダーシップに関する一冊。客観的なデータから具体的な行動を紹介していますので、よく参考にしています。
著者は、20年以上のリーダー経験、2万人以上のリーダーの育成に携わっており、その体験をもとにした内容になっています。今回の本題である、リーダーの基本として、今の時代に求められるリーダーシップは、メンバーの多様性を活かし、組織内外の対話から生まれるアイデアを柔軟に受け入れ、メンバーが自律的に動ける環境を整える役割を果たす人を挙げています。そのことを通して、すべての人にリーダーを目指してほしいという思いがあるとのことです。
さて、過去の著書と比較すると、AI分析して導いた内容となっていますが、客観的なデータの紹介が少なく、他のリーダーシップ論との違いが不明確になってしまっているのが少し残念です。
とはいえ、現代にふさわしいリーダーシップとして、メンバーとの関係の質を重視するという考えをあげていますので、AI分析ということとは別に、リーダーの基本書の1つとして参考になると思います。
▼「これからの時代に必要なリーダーの基本」は、自分で考えて動くチーム、つまり、「自走するチーム」をつくること
▼「自走するチーム」をつくる3ステップ
①人間関係の悩みを解消し、チームの結束力を高める「信頼関係」を築く
②マネジメントの時間確保と育成を両立する「任せ方」を身につける
③リーダーを支える「自走するチーム」ができる
▼リーダーシップの本質とは、「不安をなくす」ことではなく、「不安があっても前に進む勇気」と「チームと共に成長する覚悟」を持つこと
▼優秀なリーダーの3つの特性
①メンバーの本質的な欲求を理解しようとしている
②表面的な解決策に満足していない
③よりよい組織づくりを模索している
▼「いい関係」をつくる5つの要素
①場づくり
信頼と心理的安全性が確保されている
・ミスや未熟なアイデアを否定しない
・自身の課題や改善希望を率直に上司へ伝えられる
②行動指針
役割と期待が明確で、相互補完関係になっている
・「方向性」「優先順位」「ゴール」をわかりやすく示し、メンバーが「自らの専門性」や「主体的行動」でそれを具体化できる
・目標設定があいまいなまま「適当に頑張れ」ではなく、「この期間に、この数値目標を達成してほしい」と明示する
③成長
フィードバックが定期的かつ建設的である
・適切なタイミングでメンバーの努力・成果を評価し、改善点も具体例で伝える
・メンバーも遠慮なく現場で感じる問題点や効率化案をリーダーに提案できる
④協力体制
リソースやサポートを必要に応じて受け渡せる柔軟性がある
・メンバーが直面している課題を理解し、必要な情報、時間、人員、予算を適切に提供する
・メンバーはリーダーの要望に応じて、協力者としてスムーズに動く態度を持つ
⑤将来性
個々人のキャリア形成や自己実現への関心が共有されている
・メンバーが長期的にどのようなスキルを身につけ、どのようなキャリアを築きたいのかを把握し、成長機会を提供する
・メンバーは自らのキャリア目標を隠さず伝え、必要なサポートを素直に求める
▼「自走するチーム」と「放任されたチーム」の違い
①方向性の共有
放任:「好きにやってください」で終わる
自走:目指すべきゴールが明確で、全員で共有されている
②権限と責任の範囲
放任:境界が曖昧で、何をしてもよい(何をすべきかわからない)
自走:各メンバーの権限と責任が具体的に定義されている
③フォードバックの仕組み
放任:結果報告のみ
自走:プロセスにおける学びが重視され、定期的な振り返りがある
▼「自走するチーム」の特徴
・完璧を目指さない
・失敗を隠さない
・忙しいと感じない
・「今ちょっといい?」が言える
・「なぜ」を問い続ける
▼近年のリーダーシップ研究では、組織成果は個人の卓越性ではなく、リーダーとフォロワーがどのような「関係の質」を築くかに左右されることが明らかになっている
<目次>
はじめに なぜ、リーダーはこんなにも忙しいのか?
第1章 なぜ、メンバーとすれ違うのか?――よかれと思ってやりがちな失敗事例
・職場の「いい環境」とは?―「働きやすさ」を高めて社員の定着率が高まったのは3%
・どうしたら主体的に「学ぶ」のか?―研修を強制して行動意欲が高まったのは34%
・適切な「抜擢」とは?―部下のリーダーシップを期待してうまくいくのは23 %
・どうしたら「成長」できるのか?―成功体験だけを増やしてもうまくいくのは29%
コラム あなたは1000円を3人のメンバーにどう使いますか?
第2章 「いい関係」の土台をつくる
・「いい関係」をつくる5つの要素
・コミュニケーションの量は「適度な頻度と柔軟性」で設計
・信頼関係づくりは「価値観の共有」から
・育児や介護の不安・負担が生まれないチームの仕組み
コラム 1日に79億円の価値を生み出すマイクロソフトCEOが最初にする質問は?
第3章 「揺るぎない信頼」を築く対話
・結束力は「会議の量」ではなく「対話の質」で高まる
・共通点が「2つ以上」あると本音を話しやすくなる
・心理的安全性がある職場は、「内面」を話題にした会話が多い
・「尊重」を「見える化」する5つの対話ルール
・口角を2cm上げて聴き、ゆっくり深くうなずく
・メンバーが笑顔になる「言葉以外」の認め方
・メンバーとの関係を強固にする対話後の振り返り
・ネガティブサプライズを防ぐ「不満」との向き合い方
メンバーの士気を高める「声かけ トップ20」
コラム フリーアドレスでどこに座りますか?
第4章 「任せる」のゴールは、メンバーが「考えて動ける」ようになること
・任せ方には「再現パターン」がある
・なぜ丸投げされると「動けない」のか
・完璧を手放して失敗を許容すると、メンバーが成長する
・「責任感を持て」がNGである3つの理由
・責任感を「引き出す」方法
・指示待ちタイプには「逆質問」が効く
・「指示は80%」で主体性が向上─マインド編
・「指示は80%」で主体性が向上─実践編
・締切り厳守率97%を叩き出した魔法のひと言
・やる気に頼らず成果が出る4つの習慣
・メンバーが成長する「自由」のつくり方
・緊急案件の任せ方① 「型」だけ教えると、確実かつ自由に動ける
・緊急案件の任せ方②「模範」を見せて、思考と判断軸をコピーさせる
第5章 できるリーダー「初級編」(リーダー歴2年以内)
・リーダーが変わるとチームが変わる
・チームの心配は後回しでいい。「自分自身」を鼓舞せよ
・不安なときこそ笑顔を忘れないリーダーになれ
・まずは、メールよりも「顔を合わせる」を大切に
・信頼は「対話」で磨かれる
・相手の「価値観」を知れば、苦労が「前向きな理解」に変わる
・毎朝3分の「元気コール」がチームの残業を減らす
・まずは30秒でいい。「小さな相談」を聞いてもらえると人は救われる
第6章 できるリーダー「中級編」(リーダー歴10年未満)
・「ひとり相撲」から「チームダイナミクス」へ
・「捨てる勇気」がチームを伸ばす! やらなくていいことはやらない
・「つらい」は隠さないほうがいい。チームに本音を伝える
・メンバーのミスを責めない。しかし「許す」だけでは成長しない
・妥協しない、そして忖度しない
・手柄を独り占めしないリーダーは人望がある
第7章 できるリーダー「上級編」(リーダー歴10年以上)
・熱くならない! でも、チームイチ情熱が必要なのはリーダー
・報連相はいらない? 常識を疑うことで、チームが変わる
・「次のプレゼンは君に頼む」のひと言で、メンバーは覚醒する
・誰かの「孤立」を放置しない心配り
・「余計なひと言」が人間関係を悪化させる
・リーダーが持つべき心の「逃げ場」
おわりに 最後にどうしても伝えたいこと
参考文献