稲垣栄洋のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ヘビやゴキブリは嫌いだが、鳥や猫や犬など動物は好きだ。
自分も動物だから似ている生き物に親近感が沸くのだろう。
植物は好きでも嫌いでもなかったが、最近は興味が湧いてきている。
散歩していると、いろんな植物に出会う。
昔から稲垣栄洋さんの書籍は読んでいるが、今後も読むと思う。
本書は以下の7つの質問に月曜から日曜まで1日1個づつ答えるという体裁をとっている。
「どうして植物は動かないのでしょうか?」
「植物と動物はどこが違うのでしょうか?」
「草って何ですか?」
「桜並木にサクラは何本あるのでしょうか?」
「木は生きていますか?」
「植物は死ぬのでしょうか?」
「植物は何からできているのでしょうか?」
植物とは何者かを考えてみるのもいいもんです。
タイトルの「植物に死はあるのか」は、本書の話題の一つで「植物とはどんな生き物か?」を考え直したような内容です。 -
Posted by ブクログ
これは面白い!
どうして植物は動かないのか
植物と動物はどこが違うのか
草ってなに
木は何本あるのか
木は生きているか
植物は死ぬのか
植物は何からできているのか
これらの一見単純な質問を深掘りして行くと、実はあまりよく分かっていなかったり、常識とは少し違う見方をしないといけない事がわかってくる。植物学から始まって、生きているって何という哲学的な問いを考えてしまう。
生物は単細胞生物が細胞分裂を繰り返すことで増殖する、そこには老衰という死はない。しかし多細胞生物は有性生殖を行って増殖または世代を紡ぐが、代わりに(老衰)死が定められた。進化の結果と言うべきものである。死が避けられないなかで、ヒトが生きるのには何か意味があるのか。
植物も人間も死んでいる細胞もあれば生きている細胞もあって入れ替わっている。脳さえも一年で入れ替わる(!) であれば今の私と、一年前の私は同じ私なのか?
面白いのはHeRa細胞。1951年に死んだヘンリエッタ・ラックスさんから取り出されたがん細胞で、未だに細胞分裂を繰り返している。さてヘンリエッタは生きていると言えるのか?
他にもいろいろ「生きているって何」「生物って何」と考えさせられる本。これは中学、高校生の時に読みたかった。そうすれば私は生物学者を目指していたかも(^^) -
Posted by ブクログ
大学の教授である植物学者が楠木さんという学生の質問メールに深掘りして考え、答えていくという形式で展開されている。
歩く植物と言われているソクラテア・エリクソリザの存在や生物は不老不死の生物からテロメアをつくり、老いて死ぬ生物に生物に進化したのだというのが興味深かった。
がん細胞は全体の秩序を保つという死ぬというルールを拒否した細胞が起こす反乱なのだ。
どんなものでも従順ばかりではない。
必ずと言って7対2対1の法則で自身に対して中立、好意的、そうではないがあるようにがん細胞が産まれるのは必然だったのかもしれないと感じた。
読みやすく、面白い本でした。 -
Posted by ブクログ
生き物の個性を全肯定。ナマケモノやアホウドリ、糞虫などいろんな「にぶい」や「ぱっとしない」生物を取り上げて、その生態を分かりやすく解説してくれた上で「そのままでいいんだよ」と全肯定。例えば…
『キーウィは飛べない鳥である。しかし、である。そもそも、どうして飛ばなければならないのだろうか。(中略)キーウィは飛べない鳥ではない。「飛ばない」鳥なのだ。(中略)「鳥は飛ぶのが当たり前」ではない。「鳥は飛ぶべきである」も間違いである。人間が勝手に決めた枠組みの話に過ぎない。(中略)だからね、翼のないキーウィも、そのままでいいんだよ。』
最後はヒトにも触れ、ヒトは弱くて助け合う存在だと述べ、あなたはあなたであることに価値があり、弱くてもいい、あなたのままでいいとしめくくっている。
絵にも癒されるし、優しい気持ちになれる本です。 -
Posted by ブクログ
遺伝子はなぜ不公平なのかは、人間の多様性を遺伝子の観点から捉え直すきっかけを与えてくれる一冊である。
本書を通じて最も印象的だった学びは、「多様性は結果ではなく戦略である」という点である。同じ遺伝子ばかりでは、ジャガイモの例のように環境変化に弱く、集団として生き残ることができない。つまり遺伝子は、自らを後世に残すために、あえて多様性を生み出しているという視点に気づかされた。
これまで多様性は「良いもの」と漠然と理解していたが、本書を通じて「なぜ良いのか」という理由を進化の観点から具体的に考える重要性を学んだ。一方で、その価値を完全に言語化することの難しさも同時に感じた。
また、オスとメスという性の分化も、多様性を生み出すための仕組みであると理解でき、遺伝子の戦略の奥深さに驚かされた。さらに、ホモ・サピエンスが生き残ってきた背景にある「助け合い」の性質も、遺伝的に受け継がれている可能性があると知り、人間の社会性を新たな視点で捉えることができた。
これらを踏まえると、人間の欠点や弱さも単なる短所ではなく、進化の過程で意味を持つ要素である可能性があると考えるようになった。この視点は、他者理解だけでなく、自分自身の捉え方にも影響を与える重要な学びであった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレすごい本を読んでしまった。
何がすごいって理屈っぽいタイトルと内容なのに、笑わずにはいられないほど面白い。特に筆者の自分の遺伝子の嘆きようが面白い。
筆者は自分の遺伝子の劣点を書き、そこに仮説やツッコミを入れていく。
私もその筆者のツッコミにさらにツッコミを入れずにはいられなかった。
p.26「あぁ、遺伝子に逆らうなんて、本当にバカバカしい!」
p.44「しかし、待てよ。と私は思い直した」
植物学者が書いた本とは思えない、小説のような表現がある。物語の主人公が理不尽さに葛藤していくように筆者も自分の劣点と向き合いながら遺伝子を肯定していったのだろう。
私は自分の能力のなさや理不尽に悲しくなり、どうしても自分よりできる人を羨んでしまう。それでも羨んでおしまいにするのが悔しいから努力をする。あるいは努力をするエネルギーに変え続けている。
それでも努力をしても抗えないものにぶつかりどん底まで落ちた時出会ったのがこの本だった。
正確に遺伝子の事実を教えてくれる本は他にもあるかもしれない。しかし、ここまで自分の遺伝子を受け入れるための考察をし、自分の存在意義を熱心に伝えてくれる本は希有だと思う。
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Posted by ブクログ
植物を軸にして、死とは何か、私の本質とは何か、など哲学的な問いかけが多くて面白かった。
1000年単位で生きる木が,なぜ短命の植物に進化していったか。それは、命のバトンを次の世代に渡しやすくするため。100メートル走より、フルマラソンの方が成功率は低いのと同様に、1000年生きて次の世代にバトンを渡すのは難しい。
リチャードドーキンスの、生物は遺伝子の乗り物にすぎないという格言のとおり、全ては種を次の世代に託し,進化を続けることが本質にある。
それがこの世界が何億年も続けてられてきた命のバトンなのだ、、、と言われてもやっぱり死ぬのは怖いし、長生きしたいなあと思う。
他の生命体は死という概念がないのか、恐れていないのか、羨ましい気もする。
人間は莫大な富を利用して、不老不死をいまだに実現しようとしているが、もし,それが実現した世界は、自然の理から大きく外れる。そうなった時にどうなるのかな、、、など、脱線してしまうが,色んな想像力を掻き立ててくれる面白い本でした。
最後の、植物は星のかけらでできています。それは私たちも同じです。という答えもロマンチックでとてもよかった。