稲垣栄洋のレビュー一覧

  • 大事なことは植物が教えてくれる

    Posted by ブクログ

     「言葉には力があります。」と“はじめに”の冒頭に書かれている「人々は、物言わぬ植物から多くを学んできました。そして、それを「言葉」として残してきたのです。」と。

     俳人や著名人、歌詞や物語の言葉と植物の自然にしっかりと根ざし、直向きに生きる強さに涙と勇気がもらえる。挫折しそうな時、人生の節目の時、弱く頭を垂れる時…、植物は何が本当に大切なことなのかを知り順応し生きるという。
     一つ一つの言葉が、植物の知恵が私の心に迫る。一人ひとりが唯一無二のものであることを、植物それぞれが精一杯生きるその姿を通して私たちに示してくれている。
    そこに目を向ける者でありたい。

    0
    2024年06月14日
  • 世界史を大きく動かした植物

    Posted by ブクログ

    農作物が文明を支えたのはある程度一般常識だが、それ以外にも様々な植物が歴史に紐づけられていて非常に面白い。古代オリエントはコムギ・オオムギ、インダス文明はイネ、黄河文明はダイズ・ムギ、長江文明はイネ、アステカ・マヤはトウモロコシ、インカはジャガイモ。生産量トップ5は当然入ってくる(トウモロコシ、コムギ、イネ、ジャガイモ、トマト)、三大穀物がいずれもイネ科なのは必然のようだ。 自然が豊かな地では農業は発展せず、逆に環境が厳しいところでこそ手間暇かけて農業をやる背景になる点が印象的。アフリカ東部で出現した人類が大地溝帯によって森林から草原での生活に代わり、それがどのような淘汰圧を作用させたのか気に

    0
    2024年04月04日
  • 生き物が老いるということ 死と長寿の進化論

    Posted by ブクログ

    閉経した女性のおかげで子どもの生存率が高まるという「おばあちゃん仮説」。人間とシャチとゴンドウクジラしか、閉経しないらしい。あとはもう死んでいくという。ジャガイモのようにクローンで無限に増えては同一種を駆逐する疫病で全滅してしまうが、人間は有限の生命を生きる代わりに、他の生き物とは違い老いることができる。そう、人間は老いるという天与を与えられた生き物なのだ。人間は年寄りを守り生かすという生存戦略を取れる、数少ない生き物なのだという。学びのある本だった。

    0
    2024年02月24日
  • 雑草学のセンセイは「みちくさ研究家」

    Posted by ブクログ

    「生き物の死にざま」大ヒット。150冊以上の著作のある植物学者の専門は雑草学。雑草と呼ばれる植物の話から自身の学問への道など、縦横無尽に語る。

    学ぶことの楽しさ、人生における出会いを植物学とうまくミックスして伝える作品。学生への講義のように進む文体が心地よい。

    0
    2024年01月30日
  • 面白すぎて時間を忘れる雑草のふしぎ

    Posted by ブクログ

    本書では題名の通り雑草が中心に扱われているが、雑草に限らず植物、そしてもっと幅広く生物の生態や進化は本当に不思議で、そして精密な世界だなと思う。よく言われることではあるが、絶妙なバランスの上に生物の多様性が成り立っていることを考えると、やはり人類はもっともっと環境に配慮した生活をすべきなのだと思う。みんなができることを小さなことでも積み重ねていくだけでも今よりはよい方向に向かうと信じて努力したいものだ。

    0
    2024年01月28日
  • 雑草学研究室の踏まれたら立ち上がらない面々

    Posted by ブクログ

    「雑草魂」
    雑草のように、踏まれても、厳しい環境にあっても立ち上がる、不屈の精神を指す。

    ところが、雑草の研究者である著者によると、
    雑草は、踏まれたら、すぐには立ち上がらず、
    種を温存して、時期が来てから立ち上がる。
    雑草の種類によって、種のつけ方が違うように、
    種の多様性は、居場所の多様性。
    「人間も生き物だから、できるだけ多様性を保って、ばらつこうとする。」
    様々な学生の性格に寄り添って、暖かい指導で、
    ザッソウケンがとても楽しそう。

    フリースクールの子供達のように、
    学校に居場所がなくても、違う場所で立派に立ち上がっていく力を秘めている。

    雑草=邪魔な草、
    邪魔になるかは人によっ

    0
    2024年01月19日
  • 雑草学研究室の踏まれたら立ち上がらない面々

    Posted by ブクログ

    ユーモアもあって、とっても面白い。
    これから大学に入る高校生とかにもおすすめしたい。

    よく、雑草は踏まれても踏まれても立ち上がるというけれど、実は、そうでもなくて、雑草は、倒れたまま、一番重要なことのためにエネルギーを取っておくらしい。
    雑草は、種子のまま環境が整うまで待っていて、無理して芽を出さない。

    なんか、涙が出そうになった。

    他の章も面白くて、雑草と、それを研究する学生とのやりとりが面白い。ああ、研究って、雑草って面白そうだな、そう思わされた。
    身近な雑草が、今までとは違って感じられる。早速、裏庭の雑草を抜きに行きたくなる。
    最後の方に、「まだまだ書き足りないことがあるけれど、そ

    0
    2023年12月22日
  • 世界史を大きく動かした植物

    Posted by ブクログ

    高校生の頃、オリーブの研究をしている先生が「ローマ時代のオリーブの役割と交易にもたらした影響」といったテーマで講演をしてくれた。とても印象に残っていて面白い講演で、まさにこの本のはなしに通じるな、と。
    そしてこの本も面白かった!
    普段食べているものだからこそ歴史を身近に感じる。

    0
    2023年12月16日
  • Learned from Life History 38億年の生命史に学ぶ生存戦略

    Posted by ブクログ

    適切な大学に入ることは、実現ニッチではなく、基本ニッチを手に入れることができ、本来のポテンシャルを活かせるということなのか。

    0
    2023年12月04日
  • ナマケモノは、なぜ怠けるのか? ──生き物の個性と進化のふしぎ

    Posted by ブクログ

    とても良かった。
    プリマー新書でも子どもが読むにはハードルが高いものもあが、本書は中学生ならだれでも読めるし、漢字が読めれば小学校高学年でも読めるだろう。多くの子どもたちに向けて書かれているのがとてもよい。
    前半は子ども向けベストセラーシリーズの「すごい動物」本を気に入って読んでいる子なら楽しく読み進められる。
    動物に限らず昆虫や植物の例にも多数触れ、最終的に個性と多様性の肯定に結びつく。冷蔵庫と料理の例は子どもにもわかりやすく秀逸。
    各トピックが短くすぐ読み終わるので、朝読書にもいいだろう。子どもたちに、ぜひ最後まで読んでほしい。

    0
    2023年11月25日
  • はずれ者が進化をつくる ──生き物をめぐる個性の秘密

    Posted by ブクログ

    今の場所で咲けない人たちに、植物学の根拠をもって優しく語りかけてくださっている。ふつうの人はいない。平均値もない。あるのは多様性。人間は本来自然界の生き物だから、好きな方向に伸びていきたい。ちょうど家族の不登校で心が乱れていたため、「8時間目」「9時間目」と「おわりに」で、とても励まされた。生きていくヒントをいただいた。今はじっと根をはる時間と思う。
    稲垣先生、ありがとうございます。

    0
    2023年11月24日
  • 生物に学ぶ ガラパゴス・イノベーション

    Posted by ブクログ

    1540

    稲垣栄洋(いながき・ひでひろ)
    1968年、静岡県生まれ。1993年、岡山大学大学院農学研究科(当時)修了。農学博士。専攻は雑草生態学。1993年農林水産省入省。1995年静岡県入庁、農林技術研究所などを経て、2013年より静岡大学大学院教授。研究分野は農業生態学、雑草科学。農業研究に携わるかたわら、雑草や昆虫など身近な生き物に関する著述や講演を行っている。著書に『弱者の戦略』(新潮社)、『身近な雑草の愉快な生きかた』(筑摩書房)、『面白くて眠れなくなる植物学』(PHP研究所)、『雑草手帳』(東京書籍)など。

    ガラパゴスはもともと、スペイン語でゾウガメを意味する言葉である。 スペ

    0
    2023年11月06日
  • 世界史を大きく動かした植物

    Posted by ブクログ

    今年度はどうやら「社会科」に興味があるようで、歴史、地理、政治、経済などにまつわる書物を主に読み耽っております。
    こちらは、いくつかの食材になる植物を題材にザッと「社会科」が学べる作品でした。
    イネとかコショウとか…どのような質で、どこから来たのか、どんな国を渡り歩いてポピュラーになったのか。この植物たちと人間の関わりとは、など。
    とても身近な食材ばかりなので、改めて見直す機会にもなりました。

    0
    2023年10月21日
  • けなげな野菜図鑑

    Posted by ブクログ

    動物は体内にビタミンCを創り出す仕組みがあるのだが、サル類は果物を食べるようになって、ビタミンCを創り出す仕組みを失ったそうだ。あらあら、そんなわけで人間は野菜や果物を食べないとだめなんだねえ。
    ジャガイモは茎や葉まで食べていて毒があったので、悪魔の植物と呼ばれていたそうだ。
    トマトはその鮮やかな赤から観賞用だった。
    ナスはもとは高級食材だった。ナスニンはガン予防になる。
    カリフラワーはケールから進化したもので、花が咲かないようになった。アルビノで白い。
    トウモロコシは種が落ちないように品種改良された。世界で一番栽培されている植物。
    サトイモのヌルヌルはガラクタンで、免疫力を高める。
    大根足と

    0
    2023年10月10日
  • はずれ者が進化をつくる ──生き物をめぐる個性の秘密

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    とて読みやすい。著者は農学部の教授である。文章の表現から筆者がきっと学生にとって優しい先生なのではないかと感じさせられる(激しい思い込みかもしれないですね、すいません)。難解な漢語も言い回しもせず、ゼミで話をしているかのような文体なので、自分のゼミを懐かしく思い出してしまった。個性というものが自然と現れる人になろう!と思わせてくれるそんな本だ。個性とは?、ふつうとは?、区別とは?、多様性とは?といったなんとなく分かった気になっている言葉だけど、これらをあらためて深く考えさせてくれる。ぜひ就職活動をしている学生さんにお勧めしたい。大学のゼミの後輩の方々にもオススメである。

    この本を読むきっかけ

    0
    2023年10月09日
  • たたかう植物 ──仁義なき生存戦略

    Posted by ブクログ

    植物がいかにして自然界での生存競争に生き残ってきたか。その戦略を分析している。動物や昆虫の力をしたたかに利用して進化してきた様は実に見事だ。

    植物の進化は同時に動物や昆虫の進化でもある。どちらが先かわからないが、相手からの補食を防ぎ、あるいはその防御を突破し、お互いの利点を利用し合うことで自然界でのバランスが絶妙に取れた結果、生命が成り立っていることがわかる。

    あとがきがまた面白かった。かつて地球は二酸化炭素で充満し、そのため植物が大発展。結果酸素という「毒性物質」を大量に地球上に放出することで動物が過ごせる環境を作り上げてしまった。人類は二酸化炭素を排出し、植物が過ごしやすい環境を急速に

    0
    2023年10月08日
  • はずれ者が進化をつくる ──生き物をめぐる個性の秘密

    Posted by ブクログ

    植物を通じて個性とは?多様性とは?らしさとは?を語っている。
    人と植物を比較しているので読みやすいです。
    中学入試頻出文とはいえ、大人も読むと惹きつけられることが多いです。
    頻出文なる理由がわかります。

    0
    2023年09月20日
  • ナマケモノは、なぜ怠けるのか? ──生き物の個性と進化のふしぎ

    Posted by ブクログ

    今のままでいいのかと悩んでいたり、どうしても周囲と比較して落ち込んでしまう人が目の前にいたら、よければどうぞと勧めたい本。もしかしたら霧が晴れるかもしれない。純粋に生物の個性という知的好奇心を満たすもよし。生きとし生けるものに価値があることを、単なる精神論ではなく、生物の進化とその合理性をもって主張している。必要性があるからこその退化と進化。必要か否かわからないからこその多様化。個人的には良書。

    0
    2023年09月09日
  • ナマケモノは、なぜ怠けるのか? ──生き物の個性と進化のふしぎ

    Posted by ブクログ

    タイトルだけ見るとナマケモノについての専門書と思うが、実際は29種類の生物昆虫雑草の不思議な生態とその進化発達の理由を解説している。一生物につき3-6pほどの解説。一つの解説が細かすぎるわけでないので、サクサク読める。逆に細かく知りたいと期待する人には物足りない、一般書れべるだろう。

    一つ一つの生物の紹介、導入文と、結文が素晴らしい。
    例えば
    ナメクジは嫌われている。かわいいイラストやマスコットになることはほとんどない。それどころか、見つかると塩をかけられるのが、ナメクジの宿命だ。ナメクジは、何とつまらない生き物なのだろう。
    神さまはどうして、こんなつまらない生き物をお創りになったのだろう。

    0
    2023年08月21日
  • 生き物が大人になるまで~「成長」をめぐる生物学

    Posted by ブクログ

    さまざまな著作を非常にわかりやすく整理されていると感じたうえに、ときおり「はっ」とさせられる

    「稲作」「子育て」という言葉 なんか簡単に使っていたけど 成長とは何かということを考えると、また違って見える

    目に見えない成長 の大切さ
    大切にしていきたい視点であった。

    0
    2023年08月20日