稲垣栄洋のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
プロローグ 敗者が紡いだ物語‒‒‒‒‒38億年前
競争から共生へ‒‒‒‒‒22億年前
単細胞のチーム・ビルディング‒‒‒‒‒10億~6億年前
動く必要がなければ動かない‒‒‒‒‒22億年前
破壊者か創造者か‒‒‒‒‒27億年前
死の発明‒‒‒‒‒10億年前
逆境の後の飛躍‒‒‒‒‒7億年前
捲土重来の大爆発‒‒‒‒‒5億5000年前
敗者たちの楽園‒‒‒‒‒4億年前
フロンティアへの進出‒‒‒‒‒5億年前
乾いた大地への挑戦‒‒‒‒‒5億年前
そして、恐竜は滅んだ‒‒‒‒‒1億4000万年前
恐竜を滅ぼした花‒‒‒‒‒2億年前
花と虫との共生関係の出現‒‒‒‒‒2億年前
古いタイプの生きる道‒‒‒‒‒1億年前
哺乳類のニッチ戦略‒‒‒‒‒1億年前
大空というニッチ‒‒‒‒‒2億年前
サルのはじまり‒‒‒‒‒2600万年前
逆境で進化した草‒‒‒‒‒600万年前
ホモ・サピエンスは弱かった‒‒‒‒‒400万年前
進化が導き出した答え
あとがき 結局、敗者が生き残る -
Posted by ブクログ
ネタバレ知らないことが出てきて楽しかった。
生命へ尊重が文体から感じられた。
自然も人も同じ。平均を基準とする人は違うことに苦しみを見出すが、雑草の姿から平均に則さなくてもいいとの視点を教えてくれる。いい本だと思う。
難しい専門用語も出てくるが、よくわからなくても読みやすいと思う。
発芽の3つの要件は、光、酸素、温度。
光は赤色光が発芽を促す。が、遠赤外線は発芽を抑制する。
スズメノ帷子は環境によっってその姿(花の付く位置)を変えている。この性質は、環境を変えても引き継がれている。
ゴルフ場でよくみられる例として、ラフ(芝の丈が長い)で葉より上の位置で花が咲きタネが付くのに、グリーン(芝の刈込がしばしばある)では花が葉より低い位置につく。このグリーンで生きてる小さいやつをほかの地に移植し、次世代がどうなるか観察したところ、親と同じように背の低い花の位置が低いものが出てくる。遺伝子レベルの変化があることがわかる。
この点は雑草の移植するにあたり注意すべきかもしれない。成長が十分でない雑草を移植しても、次世代は大きくならず小さいものが育つかもしれない。雑草を増やしたいときは、大きいものと小さいもの、どちらを移植したらよいのだろうか?種の数はどちらが多いのか、発芽率や不良のタネのできやすさなど、この辺を知りたい。
雑草の子孫戦略の中には、よい環境、悪い環境でも最大限種子を作ろうとする性質を持つ。これは栽培植物にはない性質で大きな特徴
江戸時代末期、明治初めごろに入ってきた外来種は帰化植物と呼ばれる。現在は1600種を超えているといわれ、年々増加傾向になる。まるで帰化植物が強いように思われるが、湾岸などには会えるが、そこから分布できない種類も多くある。
除草剤の仕組み
①光合成の阻害、光合成の生成物である糖が不足、活性酸素が細胞を傷つける。
②アミノ酸の合成を阻害と亜硝酸体窒素の毒性の効果。
特定の作物は枯れない除草剤の理由
①生育ステージを利用する。土に蒔いて芽生えに効く薬はすでに生えている作物には効かない。イネを植えた状態でこの薬をまくと、新しく生えてくる植物だけ枯れていく。
②植物の生理機能の差を利用する。薬物は植物の種類(単子葉類、双子葉類など)によって効果が変わる。ある成分はすぐに浸透するが、種類が違えば逆に移動されないものがある。この性質の差を利用して特定の種類を枯らすことができる。
③植物は毒を無毒化する力がある。種類によりこの力に差があり、無毒化ができない薬剤をかけることで枯らすことができる。
おわりにを読んで
著者はいろいろ寄り道をして今の職についたと書いてある。恩師や祖母の言葉が引用されており、とても参考になった。この終わりだけでも折に触れ読んでみたい。
事情通なら知っていて当然のことを、初心者に丁寧に説明する。など
少年老い易く学成り難し
難しいことをやさしく、 やさしいことをふかく、 ふかいことをおもしろく。おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことをあくまでゆかいに
など -
Posted by ブクログ
「平均で比較する」、「境界で区別する等」は、人間が世の中を分かりやすくするために勝手に作ったもの。本当は世の中には平均も区別もないし、そもそも「ふつう」なんてものはなく、比較する意味もない。なぜならみんなバラバラで、バラバラであることに価値があるから。
自然界ではナンバーワンしか生き残れない。だから生き物たちは、それぞれ自分がナンバーワンになれる環境を見つけて、棲み分けて共存している。進化の過程で海から陸へと新天地を開拓してきたのは、それまでの住処で競争に敗れて追いやられた「弱いもの」たち。
雑草は踏まれても立ち上がらない。その代わりに、横に延びることや根を伸ばすことにエネルギーを使い、どうにかして種子を残す。大切なのは、一番重要な目的を見失わないこと。
「自分らしさ」「個性」を大切にして、それを発揮できる場所(ニッチ)でナンバーワンになればいいというメッセージにあふれた一冊。
中高生向け。大人にはやや物足りないかも。 -
Posted by ブクログ
道に生える道草の不思議。
子どもの頃は、道草の茎でひっぱり相撲をして遊んだ記憶があるのに、いざ大人になると道草の草を抜いて遊んだりするのは可哀想な感じがしてくる。本書では、『子どもに遊んで摘まれるくらいの方が広がっていく』と道草との関わりを紹介していて、少しだけ知ることで一つずつの道草にそれぞれの魅力を感じることができました。
読みながら印象に残った事を3つ書き残してみる
・すみれの花は、一番下の1枚だけ
白い筋が入っている!!そういう理由!
(理由を知ることで注目してみたくなる)
・シロツメクサは、葉の部分をクローバーと
呼びわける珍しい道草だったのか!
(クローバーとシロツメクサ同一だったか!)
・昔投げあったひっつき虫、最近みないと思ったら絶滅の危機だったのね!背中にひっつけあった思い出が思い起こされる -
購入済み
面白かった。
学生の質問に対する教授のモノローグという体裁の文章なので
スラスラと読めました。
忙しいはずの教授が質問の裏を読んで
どんどん想像を膨らませていく様が
とても面白かった。 -
Posted by ブクログ
上場企業や外資企業の上級役員経験者らが200人集まったコンサル会社があり、そこからセミナーなど講演を依頼されるのが雑草が専門の稲垣先生で、内容をまとめたのが本書。会社も人間の営みだから、生き物の生存戦略が当てはまるのではないか、がメインのテーマだが、生き物の生態についての豆知識の方が面白かったりする。
GAFAは小さいコストでたくさん種子をばらまく雑草戦略と紹介されているが、本当か? 世界有数の超巨大企業でその資金力にモノを言わせて、普通の会社ではできないような巨額投資をやっているという方が現実に近いのでは? など、ちょっと無理やり当てはめに行ってる感もなくはない。 -
Posted by ブクログ
西洋のキリスト教世界観では、世界は神が創り上げたもので秩序が存在するはずとされ、区別し、比較し、理解することで科学が発展してきた。対して日本はあいまいで白黒はっきりさせないステレオタイプが根強い。真偽はさておき、この性質の違いを自然環境の違いで説明できるなら非常に面白い。欧州は冷涼で乾燥していて自然(植物や動物)を区別しやすかった。それに対して高温多湿の日本では数々の雑草含め多様で複雑な生態系のため、単純に分類するのは難しい。英語では悪い草(雑草も麻薬も)をウィードといい、良い草はハーブと呼ぶ。雑草という言葉には悪い語彙は含まれていないし、むしろ雑草魂といった言葉や、雑草を家紋にする武将もいたほどで、西洋と東洋の考え方の違いは興味深い。ちなみにフランス語でも雑草は2語で「悪い草」と表現するのでより直接的だ。
本題である雑草の戦略については周知の内容かと思う。環境変化が激しく撹乱される場所で弱い雑草は特別なニッチを獲得した。予測不能な時代をどう生き抜くか、会社や国家が雑草から学べることはあるか。まずはブレないビジョンが必要で、これは雑草も社会も共通して「生き残り」の一言に尽きる。しかし会社が資源を投入していることが果たして生き残りに繋がっているか単純に考えた場合、否であることも現実多く、実にムダだらけなのが現状。雑草が繁栄している理由としては性質形成がとてもフレキシブルで、シードを安価に大量にストックしている点だと思う。これをやれる企業となると限られてくるのではないか。トヨタみたいに全方位的に展開できる規模があれはできるかもしれないが…結局は変化が激しい時代なので、素早く適応できるような組織が望まれる結論になるかと思うが、そうなると民主主義は意思決定が遅い欠点があるし…かたや多様性という利点もあるし、最終的にはバランス次第ということで雑草から具体的に学ぶことも難しい気がしてくる。
地球史上最初に上陸した植物はコケやシダ類で、その後に巨大な樹木が森林を形成して大型動物(恐竜)が登場した。その後超大陸は分裂し、地上の特性は変わり、変化の頻度も増えた。被子植物が出現し、胚珠を成熟した状態で準備しておき、すぐに受精できる体制を整えたことで世代交代がスピードアップした。これにより進化はさらに加速し、裸子植物は高緯度の寒冷地に追いやられる。今度は樹木から草が進化した。最も進化した植物が雑草にも多いイネ科植物とされる。火山噴火で形成された新しい不毛な地面では先ず最初にコケ、シダ類が生える。土壌に栄養が増えてくると草が生えてくる、そして最終的に最も強い巨大な樹木が森林を形成する。森林があるということはその環境が長年安定していると言えるし、色んな雑草が生えているということは、(人による手も含めて)環境が撹乱されている環境だ、とも言える -
Posted by ブクログ
コメや麦の非脱粒性(籾が地面に落ちない性質)が農業をもたらした。ビッグ4=牛、馬、豚、羊が“人に馴れる”性質を持ったことに匹敵するエポックメイク。
トウモロコシの起源も謎。cornで【穀物】をも意味するように、食糧のセンターを担っている。ヒトは植物を通して《大自然》と接触(摂食)するが化石燃料(元は広義の植物)と同じく、その起源・来歴は追究しようとしなかった…。ジャガイモ、トマトといい、《新世界植物》は人類への一大恩恵。
穀物栽培のお陰で万単位の大軍を養い一戦で百・千単位の戦死が出るイベントも実行可能になった。草木成仏とて、農業は人類文明の根幹にある。共依存関係? -
植物たちの不埒なたくらみ
- カート
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試し読み
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Posted by ブクログ
ナマケモノには、ミユビナマケモノ科とフタユビナマケモノ科があります。連休ともなり、日頃よりもイツツユビナマケモノ科の度合いが増しているわたしには、本書のタイトルは魅力的でした。はい、ナマケの正当化を求めていました。
わたしの期待を大幅に上回り、本書は、いろいろな動物(のみならず植物までも)の存在の正当性を説いてくれていました。つまり、人間から変な生き物だとか、つまらない生き物だとか思われていても、それぞれの生き物には生存戦略があり、それが個性や進化となってあらわれているというのです。
著者である農学博士の稲垣栄洋(いながき ひでひろ)先生は、この中高校生向きのちくまプリマ―新書において、とても身近な例をあげてそれぞれの生き物の存在価値を説明してくれています。
例えば、霊長目ロリス科のスローロリス(ノロマザル)は、動作が遅いのですが、その「のろさ」が武器になると言い、例として、かつて横浜ベイスターズの三浦大輔投手(現在の横浜DeNAベイスターズの監督)が、オールスターゲームで、打者の大谷翔平さんをスピード計測ができないほどの超スローボールで打ち取ったことを取りあげて説明します。(最近、わたし、野球ネタ多いな。。。w)
そして、それぞれの生き物の説明の最後を「だからね、そのままでいいんだよ。」という言葉で締めくくります。
最終章の第6章では、話はヒトにおよび、ヒトは、この世でひとつしかないような遺伝子の組み合わせの確率で生まれてきたことを説明します。
そして、たとえ勉強が苦手でもスポーツが苦手でも、あなたにはあなたの価値があるから、「あなたは、あなたのままでいいんだよ。」と、稲垣先生がおそらく本書で一番言いたかったであろう言葉を、サラッと、しかし、おそらく万感の思いを込めて言い放って、本書を締めくくります。
自我が芽生え、ともすれば他者との比較のなかで劣等感にさいなまれることもある思春期の子どもたちに読んで欲しいと思います。
そして、大人たちは子どもたちに、こう言ってあげようではありませんか。
『ヒトに「個性」があるのも、戦略なんだよ。だからね。。。。』、と。
たとえ起立性調節障害でも、たとえ場面緘黙でも、たとえ摂食障害でも、たとえ不登校でも。。。。。。♡愛してるよ
<目次>
はじめに
第1章 「みっともない」生き物
ナメクジ/ヘビ/アホウドリ/ブタ/ミミズ/イモムシ
第2章 「にぶい」生き物
ダンゴムシ/ナマケモノ/スローロリス/カメ/キーウィ/モヤシ/サツマイモ
第3章 「ぱっとしない」生き物
カモノハシ/ペンギン/カバ/タヌキ/ケラ/アリ/クズ
第4章 「こまった」生き物
コウモリ/ハゲワシ/ブチハイエナ/オオカミ/ミイデラゴミムシ/糞虫/イエバエ/ゴキブリ/雑草
第5章 やっぱり、そのままでいいんだよ
イルカは早く走れない/イルカの生き方に学ぶこと/足の遅いチーターはいない/個性というやっかいなもの/オナモミの個性/自然界に答えはない/タンポポの花は黄色い/いらない個性はない/さらにヒトは助け合う
第6章 あなたもそのままでいいんだよ
サルとヒトの境目/人間の大好物/そして、人はそろえたがる/遺伝子には逆らえない/それでも努力は無駄ではない/自分の遺伝子との付き合い方/あなただけの遺伝子/あなたがあなたである確率/この世に一つしかないもの
おわりに -
Posted by ブクログ
雑草ほど変化に適応している植物は無い。発芽のタイミングや受粉の方法、中には毒素を出すものまで。多様性がいかに種の存続に必要不可欠なのか示している。
そしてそれは人間にも言える。「人間はそれぞれ守るべき原則をひとつかふたつ持っていればよい。それ以外は妥協してしまえ。」作中にある格言の引用だ。雑草のように「種の存続」という「変えてはならないもの」と「 発芽のタイミングや受粉方法」という「変えても良いもの」の区別は人にも置き換え可能なのだ。私にとって「譲れないもの」「妥協しても良いもの、他者に譲って良いもの」とは何だろうか。その答えはまだ出ない。 -
Posted by ブクログ
先日、予定のない休日にふらりと訪れた「本」がメインの商業施設で、なぜだか妙に気になってしまったので連れて帰ってきた。
とある植物学者の、謎のメールを巡る1週間が彼の日常と共にゆる〜く、かる〜く綴られている。
章立てがそのまま月曜日から日曜日の1週間になっていたので、せっかくだからわたしも曜日を合わせて1章ずつ1週間かけて読んでみた。
ちなみに、つい先日読んだ朝井リョウさんの「生殖記」の影響と、最近新しく聴き始めたPodcastの番組がキッカケで、
「生物ってなんだろう?」という問いが自分の中でめっちゃ熱い。
Podcastの方は確か、AIの話題から、今SNS上にある個人のアカウントの投稿をもとに生成AIでその人らしく投稿を続けられるなら、仮にその人物が亡くなったとしても、デジタル上、ネット上のアカウントでは、その人の新しい投稿を生成し続けることは可能で、それはもはや、不死なのではないか?という話だった。
また、ややSFじみた話ではあるが、環境問題が行き着く先に生じる未来で、人類は身体を無くしてその記憶、その情報が、永遠にネット上で生成され続けられたとして、果たしてこれは人類の滅亡なのか?それとも人類の生み出した文明は続くのだから、次なる新世と言えるのではないか?
そこから派生して種とは?遺伝子とは?
…みたいな、果てしない内容で聴いていていい意味でクラクラするものだった。
そしてそんなクラクラの真最中にこの本に出会った。
うっかりしていたけど、植物も生物だ。
そして植物と動物の最も特徴的な違いは、動くか動かないか…ということ。
こんな些細な気づきがとてつもない拡がりの問いを運んでくる。
すなわち、
「生命とはなにか?生きるとはどういうことか?」
途中途中に、昔習った「理科」の生物の授業で出てきた被子植物、裸子植物なんかのワードをおさらいさせてもらえたり、植物の殖え方…栄養繁殖と種子繁殖の違いなどを分かりやすく教えてもらったり、その上で進化論や多様性の話になったり、遺伝子の話題からテセウスの船に言及したりと、
全然難しくはない言葉で終始軽やかに書いてあるんだが、めちゃくちゃ勉強になるし、めちゃくちゃ思考が深まる。
そして、完全にこの本は私を呼んでたんだな、と思ったのが、件のPodcastで言っていた印象的なフレーズが、日曜日の章で最後の最後に出てきたこと。
「植物は星のかけらでできています。それは私たちも同じです」
出典はこの本ではなかったが、同じような意味の言葉をPodcastで聴いていたので、この偶然性には運命的なものを感じてしまった。
人によっては今までの「死生観」を揺るがしかねないスリリングな本だと思う。
少なくとも私はめちゃくちゃスリリングでエキサイティングな1週間を共に過ごすことができた。
生物学にちょっとでも興味がある人、
そもそも生物とは?命とは?みたいな漠然とした問いを考えるのが好きな人、
朝井リョウさんの「生殖記」に気持ちを持って行かれた人、お勧めです。
いやぁ面白かった〜!