稲垣栄洋のレビュー一覧

  • 一晩置いたカレーはなぜおいしいのか―食材と料理のサイエンス―(新潮文庫)

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    現行の光村国語教科書中1に、ダイコンは大きな根?という説明的文章が載っているのだが、この本からの出典だったとは。知らずに読んでいたので驚き。シンプルで分かりやすい文体。
    食べ物、料理、生物分野に興味のある人におすすめ。ついつい誰かに話したくなる知識満載の一冊。特に、赤は食欲増進の色だから、ファストフードチェーンのマークや屋台提灯に用いられていると知って納得。植物の身が赤く色づくのもアピールなのね。

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    2023年07月20日
  • 生き物が老いるということ 死と長寿の進化論

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    若いとは単に老いのプログラムのスイッチがオフの状態なのである。若さとはただ老いていないだけ。というのはパワーワードだった。

    しかし他の本では若い人の血を混ぜると若返る話が出てたけどなぁ….。

    ちょっと鵜呑みにできない部分もあるけど老いも死も考えられて作られた素敵なものだと思わせてくれる本だった。生命ってすごい。

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    2023年07月17日
  • ナマケモノは、なぜ怠けるのか? ──生き物の個性と進化のふしぎ

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    標題のナマケモノをはじめ、人間からすると不思議な生き物や迷惑な生き物の進化の過程を概説する。カタツムリの進化の先にナメクジが位置付けられるってことを、初めて知った。もちろん双方にメリットがあり、棲み分けの理由が存在する。すべての生命に存在理由があることが分かる良書だ。
    小学生でも分かる書きっぷりもいいねぇ。

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    2023年07月08日
  • 雑草はなぜそこに生えているのか ──弱さからの戦略

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    「雑草魂」は力強さのことではなく、多様性のことだった!

    「雑草魂」という言葉があるように、雑草には力強いイメージがありますが、そんな雑草も実は巧みな戦略をもってサバイブしていることに、この本を読んで驚きました。

    商品として売り出される野菜や花などの作物は、人間があつらえてくれた良質な土壌に植えられ、人間の手で守られ、収穫時期や性質は一定に管理されています(今をときめく言葉「多様性」とは真逆!)。しかし雑草は当たり前ですが人に世話してもらえません。むしろ引っこ抜かれたり刈られたり、除草剤をまかれて邪魔者扱いです。しかしそんな雑草のことを嫌っている人間のそばでないと、雑草は生きられない。人間と

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    2024年03月02日
  • 生き物が老いるということ 死と長寿の進化論

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    「老いることができる」という進化は何かしら合理的なんだから、ポジティブに老いていこうぜというお話。

    結論から言ってしまえば、なぜヒトは老いるのかは分からず、結局「生命の神秘」に落ち着くんですが、植物も動物も進化の形はその種にとって有利な方向へ向かうもの。老いてからも生きられる長い寿命と環境を手に入れた人類にとって、「老いることができる」という進化は何かしら合理的な理由があるはず! そんなやや結果論的ではあるけれど「老いは優れた生存戦略だ」というポジティブなメッセージが込められた1冊。エッセイ然としていて肩肘はらずに楽しめるうえ、途中途中にミニコラムが挟んであり、読みやすいように細やかに編まれ

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    2023年06月10日
  • 世界史を大きく動かした植物

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    そもそも世界史をよくわかっていないので、世界史の入門として面白く読めた。切り口が身近な植物ということで生き物や自然に興味のある人の世界史入門書です。amzon primeでサクッと読めます。

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    2023年05月27日
  • 一晩置いたカレーはなぜおいしいのか―食材と料理のサイエンス―(新潮文庫)

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    食材の味や栄養、調理法について、食材が植物や動物として生きていたときの性質や進化の過程およびヒトの歴史を踏まえて科学的に説明されている。本書も稲垣先生の著作として期待どおりの楽しさと学びが得られた。

    15ページ
    →レタスを包丁で切ってはいけない理由

    29ページ
    じつは、多くの動物は、ビタミンCを自らの体内で合成する能力を持っています。ところが、果実からは豊富すぎるほどのビタミンCが摂取できたため、果実食のサルは、ビタミンCを作る能力を失いました。

    36ページ
    植物は寒さに当たると、葉っぱの中の水分が凍りつかないように、糖分や栄養分を葉にため込みます。そのため、寒さを経験した葉菜類は甘く、

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    2023年05月13日
  • 植物たちのフシギすぎる進化 ──木が草になったって本当?

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    本文は88pですぐ読みおわる分量。語り掛け調で雑談も多いので、好みの分かれるところかもしれないが、切り口と内容は興味深い。しかし雑談が多い。こんなに話題が飛んで、子どもたちはついていけるのだろうか。雑談しか記憶に残っていないということにならないか不安がある。通読してもらうことに成功すれば、よい読後感を得ると思われる。

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    2023年05月10日
  • 生き物が老いるということ 死と長寿の進化論

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    当たり前のことだけれども
    この地球上では
    さまざまな生き物たちが
    生を営んでいる

    木も草も
    鳥も虫も
    目に見えるものたち
    目に見えぬ微細な生き物たち

    研究の対象として
    さまざまな生物を
    見つめておられる方の
    思考、お言葉は
    いつも 心に沁みてくる

    また そんな一冊に
    出逢えたことに 感謝

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    2023年04月29日
  • 一晩置いたカレーはなぜおいしいのか―食材と料理のサイエンス―(新潮文庫)

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    単行本は2010年に家の光協会から刊行されている。
    それがこの度、新潮文庫に入ったということだ。

    どうしてレタスを刃物で切ってはいけないのか。
    玉ねぎを切ったとき目に刺激が少ないのは縦に切ったときか、横に切ったときか。
    グリーンピースの臭みの元は何か。
    ねぎの葉の「表」とは、筒の内側か外側か。
    こんな謎が提示され、明晰に説明されていく。

    私には特にネギの葉の表裏問題と、ピーマンの苦みを減らすには、刻まない方がよいという話が面白かった。

    食卓のサイエンスといった風情の一冊。
    そういうたぐいの本は他にもあるが、稲垣さんの文章は明晰で、その点で異彩を放っていると思う。

    ついでに、解説で食品化

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    2023年04月23日
  • 面白すぎて時間を忘れる雑草のふしぎ

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    稲垣先生の雑草の本が好きなので本書も期待して読み始めた。
    20種類以上の雑草について生存戦略の術が説明されている。
    ほかの著書との重複もあるが、初めて見る話も多かったため新たな学びを得ることができた。
    雑草の性質をヒトの営みに活かす教訓を学ぶような書き方になっているが、全テーマに学びを設定するのは少し無理がある気がするし、説教っぽさもあってあまり好きではなかった。しかしこれを差し引いても十分におもしろい一冊だと思う。

    <特に気に立った部分>
    ・64ページ「花とハチの関係はまだまだ謎が多い。ただ、ホトケノザは蜜の量をばらつかせていることが知られている。」
    →有名な心理学の連続強化と部分強化の実

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    2023年03月05日
  • 一晩置いたカレーはなぜおいしいのか―食材と料理のサイエンス―(新潮文庫)

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    果実食のサルはビタミンCを体内で作る能力を失った。
    肉食動物は肉を分解するために人類の20倍の胃酸濃度。腸は体長の3~4倍と短い。
    植物食の人類の腸は12倍、有毒物質が発生しやすい。
    食物繊維が排出し、餌としている善玉菌も増える。

    葉菜類 
     冬を越しやすいロゼット形状 根っこを太らせる 旬は冬から春
    ジャガイモ
     茎が太ったもの 芽が地上に出る時に食べられないように毒のソラニンを生成する
    トウガラシ
     カプラシンを解毒するため胃腸が活性化、 脳内モルヒネのエンドルフィンを分泌
     コロンブスが新大陸から持ち込んだ  インドのカレーの味も胡椒から唐辛子へ
     距離を移動し辛さを感じない鳥のみに運

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    2023年01月14日
  • 世界史を大きく動かした植物

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    身近な農作物である麦やイネなど歴史との関わりを解説。トウモロコシ怖い。樹木よりも草の方が進化した生物なんですってよ。
    不連続な歴史知識が、植物で繋がるのは快感。お金、お酒、科学技術とかこういう切り口は色々ありそうなので手を出してみたい。
    コショウ、トウガラシ(大航海時代)、ジャガイモ(フランス革命〜アメリカ独立戦争)チャ(アヘン戦争)あたりはさらに深く調べたい。

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    2023年01月02日
  • 植物たちのフシギすぎる進化 ──木が草になったって本当?

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    ちくまQブックスとは、どうやら10代向けの本のようだ。本をあえて薄くし、読破できるようにしているのも特徴で、面白い試みだと思った。内容はというと、一言で稲垣先生の良質な講義を受けている気持ちになれた本。先生らしく、大変わかりやすい例えと表現で植物の世界を説いている。ここからさらに踏み込むとちくまプリマー文庫へ行くのかな?共進化や生物多様性に関するもっとも易しい解説とも思う。しかし、読んでいくとワクワクもときめきもあるので、やっぱり植物はすごいとしかいいようがない。

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    2022年12月16日
  • はずれ者が進化をつくる ──生き物をめぐる個性の秘密

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    コロナ禍や不景気、色々生きづらい世の中ということもあり、普通の生活を送ることがしんどく感じることがある。適応障害やうつなど、心の課題を抱えるのは環境やタイミングの問題なんじゃないかと感じるくらい身近な存在になったし、それくらい社暗く感じる今の社会。
    「普通」に働いて、「普通」に結婚する。
    自分の親世代がこなしていたことが難しくなった今だからこそ、個性を尊重することが必要だとこの本を通じて改めて感じた。
    SDGsがトピックになったりするけれど、そもそも現状維持・検討する・様子見というもの自体が衰退の要因。変化を求め、行動することが再生可能な社会になる

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    2022年11月06日
  • 世界史を大きく動かした植物

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    「世界史を変えた50の植物」という本があるけど、あれより全然面白い。やはり日本人は日本人が書いた本を読んだ方が感覚が合うんだな。
    著者の別の作品と被っている内容も結構あったけど。
    歴史の勉強にもなった。

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    2022年10月30日
  • はずれ者が進化をつくる ──生き物をめぐる個性の秘密

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    「生き物はみんなオンリーワンであり、ナンバーワンである」
    「生きたくない生き物はいない。ただ与えられた今を生きる」
    生き物から教えてもらうことがたくさんあった。
    生物学の本だが、まるで哲学書のような一面もあって面白かった。

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    2022年10月02日
  • 生き物が大人になるまで~「成長」をめぐる生物学

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     面白かった!と、読み終わってすぐ思った。
     動物、植物の生態や本能について述べながら、人間がどのように生きていくと楽なのか、ヒントを提示してくれている。
     他人と比べない、自分に備わっている能力を育て成長させること。年をとったら次の世代に生き方を見せること。
     生きることをシンプルに考える道を教えてもらった。

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    2022年09月13日
  • 世界史を大きく動かした植物

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    14種類の作物のお話。
    小麦、稲、胡椒、唐辛子、じゃがいも、トマト、綿、茶、サトウキビ、大豆、玉葱、チューリップ、とうもろこし、桜。

    アンデス原産のじゃがいもがヨーロッパで広まるときの君主の奮闘ぶりが意外や意外でおもしろい。
    マリー•アントワネットの『パンがなかったらケーキを食べなさい』発言が、話者も(本当は叔母)対象物も(本当はブリオッシュ)相対価格も(本当はパンの半分の価格の食べ物)、全てがでっち上げの捏造あおりネタで、実際のマリーは、コスパのいいじゃがいもの普及に努め、国民を飢饉から救おうとしたのだとか。

    P217 あとがき
    もし、地球外から来た生命体が、地球のようすを観察するした

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    2022年08月31日
  • オスとメスはどちらが得か?

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    進化生物学における有性生殖について幅広くコンパクトにまとめられていて、このテーマに関心がある初心者にとって最適。
    生物の基本形はメスで、オスは遺伝子の多様性を生み出してより環境変化に適応できるようにするために存在するが、種によってはいろいろな変化形がある。そのあたりの紹介が面白かった。

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    2022年08月24日