稲垣栄洋のレビュー一覧
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軽い気持ちで手にとった1冊。
イネという,身近すぎて深く考えたことがなかった植物のいろいろな面に気づかせてくれた。
アミロースとアミロペクチンの分子構造の違いから,うるち米ともち米の腐りやすさや消化のされやすさが違う点はとても面白い。
科学的なアプローチだけでなく,歴史的,社会的な視点で考えるところも面白かった。
江戸時代の1食は1合(150g)。3合で1日分。1日分の米(3合)をつくるのに必要な面積を1坪。1人が1年間(昔の歴では360日)で食べるお米(=1080合)を1石。「加賀百万石」といったら,100万人の人が1年間生きていける分のお米をつくる生産力があるという意味。知らなかったなぁ。 -
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非常に面白かったです。
どんな生物も、それぞれの戦略でこの世界を生きている。
動物や植物についての知的好奇心を満たしてくれたと同時に、たくましく生きているものたちの姿勢を知ってとても励まされました。
自然界ではバラバラであることが正義。一方で、人間はバラバラが嫌い。自分たちの都合がいいように数値化することが大好き。偏差値や平均値など。
瓜の蔓に茄子はならぬ、ということわざがあります。生物にはそれぞれの成長の仕方がある。この本を読んで、自分は自分のままでいいんだと勇気を
もらいました。読んで良かったです。
稲垣ワールドにもっと触れていきたいと思います。 -
Posted by ブクログ
短歌や俳句、日本独特の感性でできているポエム。
聞いたことのある名句や名歌なのに、
その背景に関しては知らない事ばかり。
まして、植物や昆虫などの生き物からの目線は、
植物学の著者だからこそ気づくのだろう。
春の花はなぜ黄色が多いのか、とか、
蜂がどうやって蜜を集めるのかとか、
白鳥はなぜ白いのかとか、
色々な謎解きがたくさん詰まっていて、
読んでいて全然飽きなかった。
夏目漱石、小林一茶、松尾芭蕉などに、
それはおかしいだろう、と物申せるのは著者だけ?
子供から大人まで、俳句や短歌に興味がない人もある人も、絶対に楽しめる本。
コラムの作者不詳、実は・・・ -
- カート
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試し読み
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読みやすく植物が好きな人には面白い話が多かったです。本を読んでいる間、庭の雑草取りをしながら「わたしは彼らの生存戦略にまんまとはめられているのかもしれない」などとワクワクしながら楽しく雑草を抜いていました。
個人的にはススキがとても好きで、ススキの話と、外来種セイタカアワダチソウの不思議が面白かったです。
普段から植物が好きで色々育てていますが、雑草の持つ未知数の性質には改めて驚かされます。一つ気づいたのは、私たち人間は雑草をとったりして植物をコントロールして生きているつもりになっていますが、大きな目で見ると雑草はそれに応じて進化しており、そう考えると雑草から見た人間は害虫と変わらない存在であ -
Posted by ブクログ
「言葉には力があります。」と“はじめに”の冒頭に書かれている「人々は、物言わぬ植物から多くを学んできました。そして、それを「言葉」として残してきたのです。」と。
俳人や著名人、歌詞や物語の言葉と植物の自然にしっかりと根ざし、直向きに生きる強さに涙と勇気がもらえる。挫折しそうな時、人生の節目の時、弱く頭を垂れる時…、植物は何が本当に大切なことなのかを知り順応し生きるという。
一つ一つの言葉が、植物の知恵が私の心に迫る。一人ひとりが唯一無二のものであることを、植物それぞれが精一杯生きるその姿を通して私たちに示してくれている。
そこに目を向ける者でありたい。
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農作物が文明を支えたのはある程度一般常識だが、それ以外にも様々な植物が歴史に紐づけられていて非常に面白い。古代オリエントはコムギ・オオムギ、インダス文明はイネ、黄河文明はダイズ・ムギ、長江文明はイネ、アステカ・マヤはトウモロコシ、インカはジャガイモ。生産量トップ5は当然入ってくる(トウモロコシ、コムギ、イネ、ジャガイモ、トマト)、三大穀物がいずれもイネ科なのは必然のようだ。 自然が豊かな地では農業は発展せず、逆に環境が厳しいところでこそ手間暇かけて農業をやる背景になる点が印象的。アフリカ東部で出現した人類が大地溝帯によって森林から草原での生活に代わり、それがどのような淘汰圧を作用させたのか気に