稲垣栄洋のレビュー一覧
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ネタバレ稲垣栄洋先生はこのようなグルメ方面のお仕事も受けられるのか、と本書を初見して思った。幅が広い。読んでみると、植物専門の筆者ならではの科学本に仕上がっていることに思わずニヤリとしてしまった。構成は、料理(例えばカレーライス)の食材ごと(じゃがいも、にんじん、玉ねぎ)といったカテゴリーに分け連作のように綴ったものである。得意の植物系材料に多くのページが割かれているのはご愛嬌。多くの人が知っている事実から、マニアックな事実まで書かれていて楽しめた。中でも大根の項目が詳しくて好き。インドカリー子さんの巻末解説があるが、こちらも専門的で面白い。グルメ裏ワザ本として読むと、本書は期待外れの部類に入るかもしれないが、食材ウンチク本として受け入れた方が面白くためになる。
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ネタバレp32
イネ科植物はタンパク質や脂質を種子に持たせる余裕がないから、光合成で得た炭水化物をそのまま種子に蓄えた。
人間の胃袋には限界がある。保存出来る種子は財産であり分配できる富である。
p43
15世紀コムギの収量はわずか3〜5倍、17世紀の江戸時代の米は20〜30倍だった。現在でもイネは110〜140倍もの収量があるのに対して、コムギは20倍前後の収量しかない。
p50
戦国時代は、価値が安定しない小判より、米の方がずっと信用できた。徳川幕府の時代には米本位制が完成。田んぼを作るのは投資。しかし米の生産量が増加すると米の価値が減少し、米以外の物価が高くなる。つまりインフレが起こる。
徳川吉宗は米の価格を上げるために享保の改革を行った
p62
スペインやポルトガルは自国の貿易の独占を守るためにオランダ人は野蛮であるとアジアの諸国に伝えていた。悪評を払拭するためにオランダは現地の君主と友好深めると務めた。また乱暴な征服や強引な植民地支配によりスペインやポルトガルといった大国が瞬く間に凋落していく様子を目の当たりにしたオランダイギリスは丁寧な植民地支配を心がけたのである。
オランダでは複数の商社が競ってコショウを入手しようとしたため現地でのコショウの価格は高騰した。さらにオランダ国内では競ってコショウ売ったのでコショウの価格が下落した。そのためオランダは複数の商社をまとめて東インド会社を作り貿易の権限を独占させた。航海技術が進み、大量供給でコショウの価格は下落した。
コショウはむしろステータスを表すシンボル的な存在だったのだ。そのため金と同じと言われたコショウの価格は急激に下がっていった。
p76
カプサイシンは舌を強く刺激しそれが痛覚となっている。人間の体は痛みの元となる唐辛子を早く消化分解しようと胃腸を活発化させ食欲が増進する。カプサイシンを排出しようと体の機能が活性化され血液の流れを早まり発汗もする。(暑い地域での体力維持に適している)
エンドルフィンも分泌される。辛ければ辛いほどエンドルフィンは分泌される。
p82
日本と韓国の料理の辛さの違い。
日本では「唐辛子」と呼び、韓国の古い書物では「倭辛子」と記されている。
日本では仏教で肉食を禁じていたが、韓国では騎馬民族の元の支配下で肉食が習慣になり、ヨーロッパと同じように肉を保存するため香辛料が必要になった。
p89
じゃがいもの葉のソラニンは有毒で、その致死量はわずか400ミリグラム。
じゃがいもは種子でなく芋で増える。聖書では神は種子で植える植物を作ったとされ、じゃがいもは悪魔の植物であると言うレッテルを貼られ裁判にかけられた。刑罰は火あぶりの刑。
ジャガイモの花を愛したベルサイユのマリーアントワネットは、ギロチン台でバラの花びらのように散った。
p97
ジャガイモさえあればたくさんの豚を一年中飼育することができる。さらにジャガイモが食料となったことによってそれまで人間が食べていた麦などを牛の餌にすることができた。こうしてヨーロッパの国々は冬の間も新鮮な肉を食べられるようになった。
p106
イギリスの船乗りたちは日持ちのしない牛乳の代わりに保存性の高いカレーパウダーを利用してシチューを作った。このシチューに航海食として欠かせなかったじゃがいもが入れられた。こうしてイギリス海軍の軍隊食となった。インドではカレーはスープ状だが、イギリス海軍では船の揺れに対応するためにカレーにとろみをつけるようになったと言われている。1902年に日英同盟が結ばれるとイギリス海軍を見習って日本軍もカレーが食べられはじめ、日露戦争が終わると家庭へ普及した。
肉じゃがはカレー粉を砂糖と醤油に変えたもの。
p113
リンゴは紫色のアントシアニンと橙色のカロチノイドの二つの色素を巧みに組み合わせて赤い色を出している。対してトマトはリコピンという真っ赤な色素を持つ。
p116
ケチャップは古代中国で作られていた「ケツイアプ」という魚醤だったと言われている。ケチャップは今でも調味料を指す言葉でマッシュルームケチャップもある。
トマトの生産量は1位中国、2位インド。
植物学的にはトマトは「植物の果実」でフルーツ。
一般欧米人的にはデザート的に食べないので野菜。
日本で「果物」は木になる実なので、トマトは野菜。
p127
工業が主産業であったアメリカ北部の人々はイギリスから輸入される工業製品に高い関税をかける保護貿易を行いたかった。しかしイギリスにワタを輸出している南部の人々は自由貿易を推進していく必要があった。
北部と南部は利害を対立させ、南北戦争が起こる。
イギリスの援助を阻止したかったリンカーン大統領は奴隷解放宣言を出しイギリスの支援を難しくさせた。南北戦争は北軍の勝利で終わりを告げる。
p131
アラル海を干上がらせたワタ畑
ワタは塩害に強くまた海に近い干拓地は海運に都合がよかった
p133
秦の始皇帝が不老不死の効果があると信じて飲んでいた、茶。
唐代には座禅の眠気覚ましとして煎茶が用いられ、宋代になると抹茶が飲まれるようになる。臨済宗の栄西はこの抹茶の技術を日本に広めた。
ところが、明の洪武帝が富裕層の飲み物であった茶を庶民に広めるために散茶を広めたため、中国では抹茶は廃れてしまった。
名誉革命後、イギリスの上流階級にチャが広がった。チャが広まる前はコーヒーが飲まれていたが、コーヒーハウスは男性の社交の場だったため、女性のためにティーガーデンが作られた。独立戦争 アヘン戦争
p144
現在チャは中国種とアッサム種の2種類。
緑茶はアミノ酸の旨味を楽しむ飲み物で、紅茶はカフェインの苦味を楽しむもの。
p171
味噌は軍事食。ダイズのみで作ると赤味噌、米麹を加えると白味噌。
p179
タマネギのオニオンはラテン語のユニオ、真珠に由来。
建造物の擬宝珠(ぎぼし)はタマネギではなくネギ坊主を模している。
p196
織田信長が愛した花は、トウモロコシの雌花、絹糸
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〈本から〉
イルカとクジラは、単に大きさが三メートルよりも小さい種類をイルカ、三メートルよりも大きのをクジラと呼んでいる。
生物種は、「他の個体群と交配しない生殖的隔離機構があること」で区別
植物は、別種とされていても、種間交雑して種子を作ることがある。
植物は、人間が思う枠を超えて、子孫を残そうとする。そこには、何のルールもない。植物の生き方は、人間が思っているよりも、ずっと自由なのである。
植物の体のつくりは基本パーツが集合したモジュール構造と呼ばれている。
一つの細胞から、すべての器官をつくり上げることができるという植物の細胞の特徴は「全能性」と呼ばれている。
緑藻類が緑色に見えるということは、緑色の光は吸収せずに反射しているということになる。つまり、緑以外の青色と赤色を吸収して光合成をしているのだ。光合成を行う上でもっとも効率が良いのは、青色と赤色の光である。そのため、光の当たる浅瀬に棲む緑藻類は青色と赤色の光を吸収しているのである。ちなみに、水は赤い色を吸収する。
被子植物の激激な変化
種子を作る種子植物には、「被子植物」と「裸子植物」とがある。裸子植物は「胚珠が剥き出しになっている」のに対して、被子植物は「胚珠が子房に包まれ、むき出しにっていない」
現代でも過ぎやヒノキなどの裸子植物が、大量の花粉を撒き散らして、花粉症の原因として問題になるのは、裸子植物が風媒花だからである。
植物は、木から草へと進化していった
私たちの体の細胞には、自ら死ぬためのプログラムが組み込まれている。体の細胞数を一定に保つために、一定の細胞分裂を行うと死滅するようになっているのである。このような細胞死はアポトーシス(プログラムされた死)と呼ばれる。「死」は地球上に生まれた生命が創り出した発明品である。
窒素は、植物の体を構成するタンパク質の原料であり、成長に不可欠
イネ科植物は、葉が固い。イネ科植物は、葉を食べにくくするために、ケイ素で葉を固くしているのである。ケイ素はガラスの原料にもなるような固い物質だ。
ウシだけではなく、ヤギやヒツジ、シカ、キリンなども反芻によって植物を消化する反芻動物である。
ウマは胃を一つしか持たないが、発達した盲腸の中で、微生物が植物の繊維分を分解するようになっている。
イネ科植物は、単子葉植物である。単子葉植物は、双子葉植物から進化を遂げた植物である。
植物は「食べられること」を利用して成功してきたのである。
植物の戦略は、Cタイプ(競争型)、Sタイプ(ストレス耐性型)、Rタイプ(撹乱適応型)の三つ
生物の世界では、ナンバー1しか生きられないというのが鉄則
「ガウゼの法則」
「棲み分け」
全ての生物がナンバー1
生物のニッチ戦略
たくさんの生物のニッチで埋め尽くされて「生物の多様性」と呼ばれる世界が作られている
ニッチは小さい方が良い
たくさんの生物がニッチを分け合うことができる
弱者は変化を好む
複雑な環境にチャンスは宿る
「収斂進化」
植物学の分野では、雑草は強い植物であるとはされていない。
雑草をなくす方法
実は、一つだけ雑草をなくす方法があると言われている。それは、あろうことか「雑草をとらないいこと」
雑草は、草刈りや草取りなど逆境によって繁殖する。草取りをやめてしまえば、雑草だけではなく、さまざまな植物が生えてくる。そうなると、競争に弱い雑草は、立つ瀬がない。
雑草は踏まれたら立ち上がらない -
生物に学ぶ ガラパゴス・イノベーション
- カート
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試し読み
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ネタバレとても面白かった。
学生の頃、こうゆう本と出会っていたら世界史の見方ももっと面白くなったかもしれない。
人間が植物を利用しているようで、植物に利用されているのかもしれない。
読書メモ
・熱帯に香辛料が多いのは、病原菌や害虫の多い熱帯で、植物が身を守るために蓄えていた辛味成分こそ香辛料だから。
インドのお茶は抗菌作用のカフェインが多い。
・原産地ではなく輸入経路で唐から日本へ輸入されることが多く、トウガラシやトウモロコシなどの名前が付いた。カボチャがカンボジアを語源としているのと一緒。
・辛味は味覚にないから、痛覚で感じ取っている。
・肉を食べる韓国では肉の保存の香辛料としてトウガラシが受け入れら、仏教国の日本では逆に肉を食べないので受け入れられなかった。
・牛はジャガイモを食べないが、豚は餌としてジャガイモを食べる。こうしてベーコンやハム、ソーセージが食卓を彩ったのがドイツ。
・ナス科は有毒植物が多い。
・抹茶は中国から伝えられたが、中国では廃れたため、日本独自の文化となった。
・アメリカでもかつては紅茶を飲んでいたが、イギリスの植民地となり茶の規制が開始。アメリカの人々は紅茶の代わりにコーヒーを飲み始めた。紅茶の味に似せ浅く焙煎したのがアメリカンコーヒー。
・戦後アメリカの農業政策により、アメリカの重要輸出品目のダイズは日本では生産が縮小された。自給率が低い要因のひとつ。
・私たちが食べている玉ねぎは葉っぱの部分。
・明治時代、コレラが流行した際、玉ねぎが効くという噂が広がり、玉ねぎが受け入れられていった。
・世界最初のバブルはチューリップバブル。
・トウモロコシはガムや栄養ドリンクなど、さまざまな食品に入っている。
・園芸で盛んだった江戸の染井村が吉野のブランド力にあやかって作った桜がソメイヨシノ。
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散歩が楽しくなる 花の手帳
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試し読み
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植物に対するイメージがくるりと一回転する本だ。木や花を見ると癒しを感じる!? 植物自身にとっては、とんでもない話で、植物は常に戦いの日々を送っているのだ。彼らは、とにかく自分のことしか考えていない。結果的に、共生になったり、人間の癒しになったりするが、そんなつもりは全くない。
①植物vs植物ーとにかく他の植物に先んじようと必死
②植物vs環境ー雑草は実は弱いので、競争相手のいない厳しい環境の所へ逃れたのだ。
③植物vs病原菌ーこの章が白眉。常に病原菌との戦いをしているとは知らなかった。抗菌物質や活性酸素で防ごうとしたり、侵入された細胞が自死したりする。ポリフェノールやアントシアニンは自分が出した活性酸素を除去するためのものなのだ。
④植物vs昆虫ー毒を自分で生産して昆虫から守ろうとするが、昆虫はその防壁を潜り抜けようとする。その鼬ごっこなのである。そのせいで、特定の植物を好む昆虫が出てくるのだ。植物がわざわざ作った毒を体内に取り込んで利用するとんでもない昆虫もいる。
⑤植物vs動物ー被子植物が進化してアルカロイドという毒成分を持ったことにより、恐竜が滅んだとも言われている。哺乳類は味覚を発達させることで対抗しようとする。
⑥植物vs人間ー植物は毒で対抗しようとするが、人間はこれを利用したり、苦みを美味しいと感じたりする。しかし、人間のおかげで栽培が広がったりした。
あとがきで、著者は、人間はせっせと植物出現前の地球環境に戻そうとしていると言っているが、酸素のない、オゾン層もない地球だからね。皮肉がきつい。 -
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家紋のもとは、平安時代の牛車にあるらしい。自分の牛車を見分けるために、それぞれ紋をつけたのを、武士がまねしたという。戦国武将たちの家紋は植物が多く、それも雑草のカタバミやオモダカ、タンポポなどが結構あるらしくて驚く。そもそも徳川家のフタバアオイも山にある目立たない雑草だそうだ。どうも武将たちは、雑草のしぶとい強さを愛したらしいのだ。この他、江戸とススキ、ヨシ、エゴマ、ソバ、サツマイモなどとの深い関係や、江戸のリサイクル循環社会の様子、園芸大国だった江戸時代の日本、三河武士や家康、信長などと植物との深い関係をいろいろ述べていて、非常に興味深い本である。