稲垣栄洋のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
流し読みでざっくり読んだ。時間がある時にちゃんと読み直したい。
トウモロコシは地球のあらゆるものに使われているのに、元になった植物がわかっていない。宇宙からもたらされたというトンデモ話を紹介してるのが面白かった。マヤ文明、宇宙人との交信のオカルトがつきものだし。
農村で鬼灯茶を飲む習慣は、7月の忙しい時に臨月にならないように堕すため、とか。
しめ殺しの木、ガジュマルは植物の上で発芽して下に根を伸ばしていくスタイル。
セイタカアワダチソウは、原産国のアメリカではもっと小さく可愛らしく、州の花になったりしてる。日本ではセイタカアワダチソウの毒に拮抗できる植物がいなかったから増えた。しかき今はセイタカアワダチソウ同士で相打ちになったので昔ほどの数はいない。
ススキは海外で侵略外来種。
ホテイアオイは100万ドルの害草?と言われている。数を、倍倍で増やしてあっという間に茂るから。しかしホテイアオイは、リンや窒素を含んだ工業用水を養分にして増えるのであって、綺麗な水のなかではそんなに増えない。環境汚染がホテイアオイを化け物にする。
「ハテナ」という微生物がいる。植物と動物、どちらにも分類できないから、ハテナと名付けられた。
穀物の中に、実っても実を地面に落とさない性質を持つ突然変異が現れた。この形質が現れるように人類が改良を加えたのが今の穀物。これにより人類は農耕社会へ変化し、食べ物のために働き続けなければならなくなった。
野菜や果物は、自然界ではありえない奇形に人間が育てて改良してできている。しかし、植物の生存戦略は、いかに多く茂り、いかに多くの範囲にタネを撒くか。
人間に改良された種は、人間がこれらをサポートしてくれるのでwin-winの関係性にあるといえるかも?
植物に感情はあるのか。人間は、人間に近い情報処理を行う生命体しか生命と認識できない。しかし人間が認識できないだけで、植物は高度な情報処理を行なっている。
植物は、一つの個体の寿命を長くするより、一年草として、一年で生命サイクルを終える形に進化していった。世代交代のサイクルを早めることで、多様な進化の形をとり、生き残る可能性が高い様々な形質に分化していく生存戦略。
雑草が強いのは、抜かれては生えるプロセスの中で生命のサイクルを回し、抜かれるたびに進化しているから。 -
Posted by ブクログ
生命の歴史、特に進化についてしっかりと解説されている入門書です。
簡潔明瞭で大変わかりやすく、気持ち良く勉強できました。
追い込まれた弱者こそが進化しなくてはならない、それは貧乏くじですが革命にもなり得るのですね。
しかし、同じ大きさだったり同じ物を食べたり、同じニッチでの争いで負けることは絶滅を意味するようです。
弱者であったために人類は進化し、ニッチが重なったために他のホモ属が絶滅したのかもしれません。
サメのように進化を必要としない完成された生物、単細胞生物のように変化に伴いすぐに進化する生物、人類のように技術で補正する生物、多様化の素晴らしさと面白さに気付かされた一冊。 -
Posted by ブクログ
VUCA時代、予測不能な激しい変化が起こる場所で生き延びてきた雑草の戦略が役に立たないはずがない!
変化が少ない場所では木が強い
変化が大きい場所で強く生きてきたのが雑草
●雑草の戦略要素
・Competitive 競合型戦略
・Ruderal 乱発適応型
・Stress tolerance ストレス耐性型
●例えば、踏まれるスペシャリスト、オオバコ
・柔らかくしなやかで踏まれても折れない
・種子にネバネバ成分があり、靴の裏に着いて分布を広げる
・逆に踏まれないと成功しない状態、逆境を機会に変えたいい例
●例えば草刈りに耐えるススキやエノコログサ
・狩られないよう低い位置に穂を作り種子を実らす
・ゴルフ場では、ラフ、フェアウェイ、グリーンでは、違う高さに成長する種に進化している。
●例えば抜かれるスペシャリスト、カタバミ
・シードバンクを持っており、抜かれる等の刺激で種を蒔く
・シーズの語源はこれ。光を浴びたら種を広げる
●日本人にとっての雑草
・日本人は雑草をいい意味で使ってきた。
雑草魂
五大紋の一つ、カタバミ紋は戦国武将が好んで使ってた
天災の多い日本は変化を乗り越えることが強い
小よく大を制する
夏草や兵(つわもの)どもが夢の跡、松尾芭蕉
・西洋では悪い草=雑草=weed
いい草はハーブ
・日本こそが雑草に戦略を学ぶことのできる国
●変えることと変えないこと
・雑草は変化に対して変えていくが変えないこと=コアコンピタンスを持っている
・それは、種子を残すということ
●変化を生き抜く条件
①弱さを見つめ、強みに集中する
②シンプルにすることで新たな価値を生み出す
③できるだけ戦わない。変化によって生み出される新しい環境を整える
④戦う場所を絞り込む。オプションは絞込まない。
⑤安易な価値付けをせず、多様であることに価値を置く -
Posted by ブクログ
同じ著者の『世界史を大きく動かした植物』がとても面白かったので手に取ってみたところ、予想に違わず揺さぶられっぱなしの本でした。
曰く「雑草はとても弱い」。
曰く「雑草は踏まれたら倒れたまま立ち上がらない」。
先入観を覆される気持ちよさにあふれた良書です。
先入観を覆される例をいくつか。
雑草の種をまいて育てようと思ってもまず成功しないんだとか。なぜなら雑草はどんな環境でも誰かが生き延びるという生存戦略をとっているので、決まった時期や決まった温度や決まった日照時間などのトリガーに反応しないから。(撹乱性)
セイタカアワダチソウは故郷のアメリカ北中部では「ふるさとを思い出せさる可憐な黄色い花」なんだとか。日本で3-4mにまで大きくなったのは生育環境を同じくするススキが生えていた土壌が豊かだったからで、その後に繁殖しすぎて近年は衰えてしまっており、逆にアメリカにススキが帰化植物として侵入しセイタカアワダチソウを脅かしているそうな。へぇ〜。
「雑草はとても弱い」理由とは、①個体としてはとても弱いので②あらゆる機会をとらえてあらゆる手段を駆使して生き残りを図っているから③種として強いというもの。
本編では②の具体的な生き残り戦略を豊富な事例を挙げて解説してくれるので、「どうしてこんなところに生えているのか」「どうしていつでも生えているのか」「どうして刈っても刈っても生えてくるのか」という日頃の疑問がなるほど〜と納得できる。
本書が面白いと思えるかどうかは、著者が面白がっている雑草の定義を聞いてもらえればわかる。雑草の一般的な定義は「邪魔な草」「望んでいないのに生えてくる草」だと思うが、本書はアメリカの哲学者ラルフ・W・エマーソンの「雑草とは、いまだその価値を見出されていない植物である」を紹介して「雑草かどうかを決めるのは私たちの心なのである」という。ここでフフフと笑えた方は本書向きです。
さらに、私の考える本書の白眉は「あとがき」。著者の来歴が書かれており、ご本人は師に恵まれたと謙遜しているがご本人もなかなかの人物。同じ筑摩プリマー新書の『先生はえらい』で内田樹は「教え子は先生が教えていないことを学んでしまう、弟子が『師は私の知らないことを知っている』と思い込むことによって」と言っていて、ちょうどそれを体現しているかのよう。
さらに、スティーブ・ジョブズの「connecting dots」と同じことを違う表現で「私の人生は道草ばかりだったが無駄な経験は一つもなかった」とも書いている。
表紙(装丁)がクラフト・エヴィング商會で、雑草がテーマの本だけにカラフルなMMやMMMやMが散りばめられているのもご愛敬。wwやwwwやwだとちょっとニュアンスが違っちゃったから、さすがいいセンスしてます。 -
Posted by ブクログ
稲垣さんは植物学者なので、初めのイネはそもそもどんな植物なのか、というところが専門的で詳細に書いてあり、ある意味ここが一番難しい(と言っても読めばわかる)が、後半はイネと日本史、イネと日本人という内容がざっくりと書かれており、大変わかりやすい。
なぜふつうの白米よりもち米が白いのか、餅はごはんよりすぐお腹いっぱいになるのに、お腹が空くのも早いのはなぜか(まあ、消化がいいんでしょ、程度に考えていた)というような、素朴な疑問も全て解けた。
日本の田舎の風景とヨーロッパの田舎の風景を比較すると、ヨーロッパは広々として家も点在してるのに、日本はちまちまと寄り集まっていてかっこ悪いような気がしていたが、これもコメの作物としての優秀さを表しているそうだ。麦は連作障害が起こるため、牧畜を挟まないといけない上、コメと比較すると収量が低いので(15世紀で、撒いた種の3~5倍、コメは20~30倍。現在では麦は20倍、コメは110から140倍)面積を広くせざるを得ない。
稲は少ない面積でたくさんの人を養うことができる。だから日本の農家は寄り集まっている、というわけ。
ではなぜコメは連作障害が起きないのか、という理由も書いてある。
狩猟採集生活から稲作への転換で、貯えることのできる「富」としてのコメをたくさん持つことが権力となったことや、日本ではほぼ通貨として使われた訳など、コメがどれほど日本の歴史に大きく関わっているかがよく分かった。
この本を読んで初めて知ったことも多かったが、読み終わって、いや、これは日本人として、知っておかなければならない基礎知識だよな、と思った。こんなことも知らないで今まで生きてきたとは情けない、という気持ちになった。
とても読みやすく面白いので、日本に住んで、コメを主食として生きている人は読むべき本。 -
Posted by ブクログ
動物と異なり動かない植物にも適者適存、過酷な生存競争がある。植物同士の戦い、対環境、対病原菌、対昆虫、対動物、対人間について分かりやすい記述で語る。
植物の生存競争に関する本。特に花と花粉に関する進化が有名だろう。花粉を運ぶ役割を昆虫に持たせる共存関係。時に蜜だけを長い口吻で奪う蝶のようなフリーライダーも存在するが。同じように種を鳥に食べさせ遠くまで運ばせる戦略やネズミやリスの習性を利用したドングリ。あまりドングリが豊富であるとネズミ、リスが増えて全て食べられてしまうため、あえて数年おきにのみ豊作となる戦略を取ったという。
対人間。苦味のあるピーマン、辛みのトウガラシ。動物に食べられないための戦略が、まさか人間が調理に活用するとは植物の誤算だろう。ただし農作物も考えようによっては品種改良の結果、人間が育ててくれるのだから成功した戦略なのがしれない。
奥の深い植物の進化の世界を堪能しました。