稲垣栄洋のレビュー一覧

  • はずれ者が進化をつくる ──生き物をめぐる個性の秘密

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    前に読んで好きだった新書と同じ筆者だった。タイトルが惹かれるんだなあ。稲垣さんの言葉の紡ぎ方がわたしは好きだなあ。

    個性は大切
    といいつつも、
    ときにはその子らしさを許せないことがある。
    わたしも個性とはなんなのか言葉にできない。

    『ふつう』
    何も考えずに発してしまうこの言葉。
    自分の発する言葉を意識していきたいと思った。

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    2025年07月31日
  • 「雑草」という戦略 予測不能な時代をどう生き抜くか

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    西洋のキリスト教世界観では、世界は神が創り上げたもので秩序が存在するはずとされ、区別し、比較し、理解することで科学が発展してきた。対して日本はあいまいで白黒はっきりさせないステレオタイプが根強い。真偽はさておき、この性質の違いを自然環境の違いで説明できるなら非常に面白い。欧州は冷涼で乾燥していて自然(植物や動物)を区別しやすかった。それに対して高温多湿の日本では数々の雑草含め多様で複雑な生態系のため、単純に分類するのは難しい。英語では悪い草(雑草も麻薬も)をウィードといい、良い草はハーブと呼ぶ。雑草という言葉には悪い語彙は含まれていないし、むしろ雑草魂といった言葉や、雑草を家紋にする武将もいた

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    2025年07月18日
  • 植物たちのフシギすぎる進化 ──木が草になったって本当?

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    “何も、大きく複雑になることばかりが進化ではありません。より小さく、より単純になるという進化もあります。”(p.20)

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    2025年06月19日
  • 怖くて眠れなくなる植物学

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    コメや麦の非脱粒性(籾が地面に落ちない性質)が農業をもたらした。ビッグ4=牛、馬、豚、羊が“人に馴れる”性質を持ったことに匹敵するエポックメイク。
    トウモロコシの起源も謎。cornで【穀物】をも意味するように、食糧のセンターを担っている。ヒトは植物を通して《大自然》と接触(摂食)するが化石燃料(元は広義の植物)と同じく、その起源・来歴は追究しようとしなかった…。ジャガイモ、トマトといい、《新世界植物》は人類への一大恩恵。
     穀物栽培のお陰で万単位の大軍を養い一戦で百・千単位の戦死が出るイベントも実行可能になった。草木成仏とて、農業は人類文明の根幹にある。共依存関係?

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    2025年06月03日
  • 植物たちの不埒なたくらみ

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    「こうなるぞ!」と思って進化してるわけではないのに、どの植物も理にかなった進化を遂げていることに感動する。

    人間の歴史に深く関わっていたり、草食動物の植物を消化するため体内構造や、花粉や種子を運んでもらう生き物の選別など、とにかく知らないことだらけだった。

    読んでいて、途中少しだれてしまったりもしたが、普段口にしているものや園芸用の花についてなど、とにかく身近な植物についてのお話だったので最後まで楽しく読むことができた。

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    2025年05月28日
  • 子どもと一緒に覚えたい 道草の名前

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    植物学者の著者が優しく解説する、雑草の入門書です。
    名前だけでなく生態や歴史の内容も盛り込まれているため、年齢を問わず役立つこと請け合いです。
    穏やかな雰囲気が漂う筆致で、読んでいるこちらの気持ちも穏やかになってきます。
    簡潔明瞭な解説に加えて、素敵な絵と写真が理解を助けます。

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    2025年05月16日
  • イネという不思議な植物

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    イネの生態と歴史
    水田は雑草防止のために水を張ってるってきっと割と常識なんだろうな〜
    そんな事も知らなかった
    炊飯器欲しい

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    2025年05月13日
  • ナマケモノは、なぜ怠けるのか? ──生き物の個性と進化のふしぎ

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     ナマケモノには、ミユビナマケモノ科とフタユビナマケモノ科があります。連休ともなり、日頃よりもイツツユビナマケモノ科の度合いが増しているわたしには、本書のタイトルは魅力的でした。はい、ナマケの正当化を求めていました。

     わたしの期待を大幅に上回り、本書は、いろいろな動物(のみならず植物までも)の存在の正当性を説いてくれていました。つまり、人間から変な生き物だとか、つまらない生き物だとか思われていても、それぞれの生き物には生存戦略があり、それが個性や進化となってあらわれているというのです。

     著者である農学博士の稲垣栄洋(いながき ひでひろ)先生は、この中高校生向きのちくまプリマ―新書におい

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    2025年05月05日
  • 雑草はなぜそこに生えているのか ──弱さからの戦略

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    雑草ほど変化に適応している植物は無い。発芽のタイミングや受粉の方法、中には毒素を出すものまで。多様性がいかに種の存続に必要不可欠なのか示している。
    そしてそれは人間にも言える。「人間はそれぞれ守るべき原則をひとつかふたつ持っていればよい。それ以外は妥協してしまえ。」作中にある格言の引用だ。雑草のように「種の存続」という「変えてはならないもの」と「 発芽のタイミングや受粉方法」という「変えても良いもの」の区別は人にも置き換え可能なのだ。私にとって「譲れないもの」「妥協しても良いもの、他者に譲って良いもの」とは何だろうか。その答えはまだ出ない。

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    2025年04月30日
  • 植物に死はあるのか 生命の不思議をめぐる一週間

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    先日、予定のない休日にふらりと訪れた「本」がメインの商業施設で、なぜだか妙に気になってしまったので連れて帰ってきた。

    とある植物学者の、謎のメールを巡る1週間が彼の日常と共にゆる〜く、かる〜く綴られている。
    章立てがそのまま月曜日から日曜日の1週間になっていたので、せっかくだからわたしも曜日を合わせて1章ずつ1週間かけて読んでみた。

    ちなみに、つい先日読んだ朝井リョウさんの「生殖記」の影響と、最近新しく聴き始めたPodcastの番組がキッカケで、
    「生物ってなんだろう?」という問いが自分の中でめっちゃ熱い。

    Podcastの方は確か、AIの話題から、今SNS上にある個人のアカウントの投稿

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    2025年04月20日
  • ナマケモノは、なぜ怠けるのか? ──生き物の個性と進化のふしぎ

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    表題にあるナマケモノだけでなく、「みっともない」「にぶい」「ぱっとしない」「こまった」ものとして一般的には考えられている生き物を取り上げて、それぞれの特徴や生存戦略を簡潔にまとめている。
    学生向けのためか言葉遣いはとても易しいのだが、書かれている内容は意外に細かい。例えば、ナマケモノはエネルギー消費が最小限に抑えられているためウシの1/1000のエサ量でよく、無理に体温を維持することもない。10000年ほど前に存在したメガテリウムという巨大なナマケモノの仲間は活発に行動し、体を維持するために多くのエサを摂取していたがやがて滅んでしまった。故に、現在のナマケモノの姿が最適解なのだ、という具合に。

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    2025年04月10日
  • 古池に飛びこんだのはなにガエル?

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    ネタバレ

    ふと目に着いた『古池に飛びこんだのはなにガエル?』という書名。
    こういう、誰も気づかないようなところに疑問を感ずることができる人を、尊敬しています。

    さて、件のカエルはなにガエルだったのかというと、ツチガエルであるというのが定説のようです。
    普段は陸にいるが、危険を察知すると水に飛びこむ習性をもったツチガエルとは、俗にイボガエルと呼ばれているカエルのこと。
    芭蕉の時代、歌に詠むカエルといえば鳴き声のきれいなカジカガエルが一般的だったのだそうですが、そういう定番の美しさではなく、見たまま聞こえたままを詠んだ中に詫び錆を感じさせたのが芭蕉のすごさ、と言われれば確かにそう。

    同じく「山路来て何や

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    2025年03月27日
  • 遺伝子はなぜ不公平なのか?

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    人が生き残ってきたのは弱いから。弱いからこそ利他的に生きることで生き残ってきた。
    得意、不得意があるのは集団でみれば、その個性が必要だから。これは職場という組織でも類推される。

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    2025年03月13日
  • 面白すぎて時間を忘れる雑草のふしぎ

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    雑草なんていう大雑把な呼び方が申し訳なくなるほど、植物の強さや順応性に感心してしまった。
    環境に合わせて進化してきた植物。周りの様子が見えてる?何か聞こえてる?と思ってしまう。
    そうじゃないなら、なんでこんなにも巧みに姿を変えていけるのだろう。不思議だわ。
    たくさんの植物が紹介されている締めくくりに、◯◯に学ぶという一言があって、それが的を射ていてよかった。
    お気に入りは、オオバコに学ぶ「どんなときでもプラスに変えられない逆境はない」。
    暖かくなってきたし、じっくり草花を観察したくなってきた。

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    2025年03月09日
  • 世界史を大きく動かした植物

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    ネタバレ

    面白かった。 個人的に好きなのはトウモロコシの章、マヤ文明の人類がトウモロコシから作られたって話から、現代の人間の体の半分はトウモロコシを摂取して出来ているという話に繋げるの上手い。 あとは、トマトやジャガイモと言った異形の作物がヨーロッパで受け入れられる過程も印象に残る。 世界史なのにラストがサクラなのは違和感有ったけど、日本人の作者だし、ほぼ後書きみたいなもんだよね。

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    2025年03月07日
  • はずれ者が進化をつくる ──生き物をめぐる個性の秘密

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    個性、ふつう、区別、多様性
    らしさ、勝つ、強さ、大切なもの、生きる

    自己肯定感や自己効力感など
    非認知力が大切だといわれる時代に
    大人ももう少し大きくなった娘にも
    一読の価値ありな一冊でした

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    2025年02月24日
  • 生き物が大人になるまで~「成長」をめぐる生物学

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    ハサミムシ…尾の先についた大きなハサミ
    ハサミムシの母親は子育て中は石の下で子供を覆い被さるようにして1ヶ月~2ヶ月間以上、卵を守る。その間、飲み食いはしない。そして卵から子供が孵化したら生まれたばかりの子供達に自らの命を投げ出す。そして子供は散り散りに旅立つ。

    哺乳類の子供はおでこが広い…全体的に顔のパーツが下に寄ってして、顔が『可愛く見える』、それは大人にかわいいと感じてもらって守ってもらえるようにするため。

    生物の成長→何かを獲得することばかりではない
         →失うものもある
    若い頃はグングン上に成長するがいずれ稲のように頭を垂らして人間は謙虚になる。
    「成長」と「成熟」
    人間が

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    2025年02月07日
  • 敗者の生命史38億年

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    ふと自分が生きてる世界の成り立ちを知りたいと思って手に取りました。

    現代社会を生きてると好奇心、積極性などが重視されて良いとされてるけど、生き物の歴史で言えば臆病で慎重であるほど生存できるんだと知ってそれも悪くないなと考えさせられた本でした。

    もっと適当に肩の力を抜いて生きようと思えました。

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    2025年01月07日
  • 生き物が大人になるまで~「成長」をめぐる生物学

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    優しい語り口で、心に刺さる。2章にでてくる、「思い出に残らない体験にも意味がある」の文章がすごく良かった。植物や動物が摂取した栄養で体を作るのと同じように、たとえ覚えていなくても、1つ1つの体験が「自分」を創っていくんだなと思った。

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    2025年01月03日
  • オスとメスはどちらが得か?

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    ネタバレ

    面白かった。植物から魚、虫、哺乳類まで様々な性別と生殖行動について紹介されている。

    ウグイスもカエルもオスしか鳴かない。イチョウの木に銀杏がなるのはメスの木だけ。知らなかったことが色々知れて良かった。ハーレムや弱者のオスの戦略もすごく面白い。
    極端に大きいか小さいかで勝つことができる話は興味深い。

    この本ではメスのためにオスは存在するという話だった。たしかに生物が繁殖するために生きているなら繁殖能力があるメス中心に回るのが普通なのかもしれない。

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    2025年01月02日