渡邉義浩のレビュー一覧
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ネタバレ「本書が扱うものは、『論語』の形成過程と、朱熹の『論語集注』が成立までの解釈史である」と「はじめに」で書かれているように、本書の前半3章は「論語」が現在の内容に固まるまでの推移について、後半3章は内容が固定された「論語」の解釈論の変化について著述されている。
他の(宗教的)古典でも同様だが、古典的書物に書かれた内容全てが名目上の著者が書いた/発言した内容であるとは限らない。「論語」の場合は、司馬遷の居た紀元前1世紀ごろには、魯論と斉論そして古論(註:前2つより古いわけではない)に大別されていたらしい。「論語」が現在の内容に固まるのは、前漢末の成帝に対して講義した張禹の論(張候論)に基づくらし -
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ネタバレ名士層の確率の説明
孝廉、僻召、徴召といった制度の説明
曹魏:曹操は漢王朝簒奪のために儒教の相対化を図り、新たな価値観として文学を重視。曹丕は名士層を代表する荀彧の後を継ぐ陳羣とのせめぎ合いの中で、九品官人法により儒教的価値観を制度内に抱え込むことになる。
蜀漢:劉備集団ははじめ義兄弟的な個人的情義に基づき名士を軽視していたが、荊州名士閥に属する諸葛亮を登用することで名士層の支持を取り付ける。ただし、その後も関羽張飛の重用は変わらず。益州入り後、蜀漢政権は荊州層がトップに立ちながら地元益州層との融和を図り政権を運営。調整力に欠ける姜維の指導で政権は分裂していく。
孫呉:孫堅ははじめ情義軍事集団 -
購入済み
三國志の物語の裏にあったもの
三國志の物語の後ろにあった宗教、思想を解説してくれている。
信じる思想の違いをしることで、なぜあの武将と武将は権力争いをしたのか。どうして晋が中華統一することになったのか、三國志の物語を深く知ることができる。
また、たいてい諸葛孔明が死ぬ辺りまでの物語がメインになってくるが、その後にも多くの名将がいることを気付かせてくれる。
ますます三國志が好きになった。
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三国志は好きなので後漢末期の知識は多少あるが、それ以前の知識は余り無く興味を惹かれたので購入。
漠然と疑問に思っていた法家的な秦から儒教国家である漢への繋がる謎が丁寧に説かれていて常に感心しながら読み進められた。
やはりドラスティックに変わった訳では無く、前後400年の中で思考錯誤や政治的思惑が混ざり合い儒教自体が形を変えて国家体制と呼応していく様は面白い。簒奪者王莽が意外にも後漢の基礎づけに資していたことも驚き。
これまで意識していなかった四書五経や正史の歴史的位置づけもとっかかりが出来、今後中国の古典を学ぶ際にも役立ちそうで読んで正解でした。 -
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吉川英治の三国志、横山光輝の漫画、KOEIの三国志ゲーム、2008年に公開されたレッドクリフはいずれも「虚構」に満ちた「三国志演技」をベースにしている。
本書は、「演技」を入り口に「正史」の記述を検討して「史実」へと言及している。
「正史」といえども、魏を滅ぼして建国された西晋の史官によって作成されているため、西晋の正統を示すために書かれている。
「正史」とは、「正しい歴史」を記録したものではなく、史書を編集した国家にとって「正統な歴史」を描いたものである。
全体を通して印象に残ったのは、人材登用
唯才主義を掲げた曹操、名士への礼遇で有名な劉備、そして曹操・劉備にひけをとらず名士の抜 -
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表紙絵、諏訪原さんだし、軍師ばかりだし、
好きな人にはたまらない、最高なんですけど。
タイトル通り、軍師34人について、一人3、4Pくらいで紹介してる本。
すでに知ってる有名エピソードはもちろん、正史と演義両面から書かれてます。
語りは、ほのぼのした先生が、坦々とお話してくれてるかんじ。
つまりは、解りやすいってことです。
三国志の知識が沢山ある人には物足りンかもしれないけど、完結にまとめるとこうさ みたいな復習ってことで。(もちろん多少著者の主観はあるけど、それもアリだなーって思うくらいなんで平気かと)
一冊まるごと軍師って早々無いと思うし(私は他に知らなかった)。
荀氏とか、潁川の辺り