渡邉義浩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレインパクトがマックスな暴喰漫画だな、これ。
正直なとこ、私的に、良い食漫画の条件である、「読んでいてお腹が空いて来る」を満たしている訳じゃない。
ただ、面白い、と素直に思った以上、感想を書くのが、漫画読みとしての筋だし、作者への感謝表現だろう。
食系に限らず、どんなジャンルの漫画にも言える事だが、やはり、主役に存在感があると、一味違うな、と感じさせてくれるもんだ。
浅学の身なので、適当な事は言えないにしろ、これまで、『三国志』を筆頭にした中国文学を主軸に据えた漫画は相当に多いだろうが、さすがに、董卓を主役に持ってきた作品は、これがお初じゃあるまいか。
中国史に疎い私ですら、董卓は悪名高いので、知っているくらいだ。世界には、歴史に名を刻んだ極悪人が多いので、ナンバーワンは難しいにしろ、それでも、董卓はベスト30くらいには余裕で入れるだけの悪行を積み重ねている。その死に様が実に惨めでもあるから、董卓は中国史でも、特に大悪人と評価しても良いくらいだ。
そんな董卓のやってきた悪業を、そのまま、漫画にしたら、全く面白くも何ともない訳だが、これは、やはり、一味違っていた。
董卓が主役なので、読むのに躊躇いを感じてしまうかもしれないが、実際、読んでみると、「コイツも大変だったんだな」と思ってしまうはずだ。
人間、今も昔もたまったストレス発散方法は、大して変わらない。そう、認めたくない現実から目を逸らすために、目の前の飯を勢い任せに喰らい尽くすしかないのだ。
確かに、董卓は万人が貶す悪党ではあるにしろ、彼は彼で、なおかつ、彼には彼の、辛い悩みがあったんだろう。だからと言って、彼のやらかしが許される訳ではないにしろ、ここまで太る羽目になる日常には同情しちまうな・・・董卓本人にも問題はあるにしろ、周りの奴も、結構、ヤバいな。
この台詞を引用に選んだのは、大変だなぁ、としみじみ、口から出てしまったものなので。
歴史家の目で見ると、どうなのか、そこは解らんが、少なくとも、董卓は「王」としての資質はあった、と思う、私は。
ただ、王として生きるには向いていない心の形だったのかもしれない。
王としての人生、それは、ストレスの連続である事は言うまでもないだろう。
ストレスを緩和させるために暴食する、それ自体は、人の性である以上、悪くは無いにしろ、王ないしは国のトップに立つ者としては、問題がある。
暴食に逃げるしかない状況であったのも大きいだろうが、もし、董卓がそんな生活に嫌気が差して、食生活の改善を行い、生き方も一新していたら、中国史は大きく変わっていたかもな。
「あまぁ・・・(・・・もう、どうでもいいわ)」(by董卓) -
Posted by ブクログ
「三国志」と「三国志演義」の違いについて分かりやすく書かれており、凄く勉強になった。また、曹操の文学奨励は儒教価値観に対抗する新たな価値観形成のため、孫子の注釈を行ったのは自分が不在の戦場でも部下と戦術を共有するため、天下三分の計は諸葛孔明ではなく魯粛の発案であった事等々、目から鱗。劉備が臨終の際に孔明に劉禅を託すと同時に暗愚であれば簒奪しても良いと言ったのは孔明に対する牽制というのも、豊臣秀吉が臨終の際に豊臣家の守護を徳川家康に託した後に滅亡させられた事を考えると納得できる考察である。また、九品中正法等の制度についても中身を理解できた。渡邉義浩さんの本は(専門書は当然難しいんだろうが)分かりやすく面白い。
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Posted by ブクログ
魏武(曹操)の注釈した『孫子』で岩波文庫版も同様であるが本書は三国志研究で有名な方の解説により『孫子』と三国志の関わりが分かるという一冊で二度美味しい本となっている。
曹操というと赤壁の戦いで敗れた事により天下統一に失敗した奸雄というイメージになるが命懸けの戦争の合間にこんな注釈まで入れて己の戦争に活かしていたとなると話は変わる。本書ではそんな美点だけでなく数々の失敗も含めて解説してあるので客観的に見ても役立つ内容と思われる。
それにしても自分が居なくても武将達に本を渡していたという事をアッサリと読み飛ばしがちだが1800年位前にマニュアル本という概念を編み出しているのが尋常では無い。普通なら他の勢力に流出するリスクを考えて門外不出にしそうなものであるが恐れずに断行したところにこの人物の凄さがある。創作の人物は割り引いて考える必要が勿論あるが本書を読むと曹操が最低に見積もっても当代一流であった事は否定できないだろう。 -
Posted by ブクログ
本書では横山『三国志』の名場面が挿絵として挿入され、漫画の世界に浸りながら三国志の歴史を学ぶこと事になります。漫画だけでなく写真や図版も豊富に掲載されているので現地の様子がイメージしやすいです。
また、横山『三国志』と他の『三国志』の違いも語られるのでここも非常に興味深いです。横山光輝先生の意図やその素晴らしい演出ぶりがよくわかるのでこれは面白いです。やはりあの漫画はとてつもない傑作だったのだと改めてうならされることになります。あぁ、また読みたくなってきてしまいました。
中国史は国や都市、人物名が大量に出てくるので混乱してしまいがちですが、やはりそこに漫画というビジュアル要素が加わってくると違ってきます。覚えやすさが段違いです。
そうした意味でも歴史を楽しく学べる横山『三国志』はやはり秀逸だなと改めて感じた一冊となりました。読み応え抜群のおすすめ参考書です。