渡邉義浩のレビュー一覧
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キングダムファンにはたまらない一冊。
秦がなぜ中国統一できたのか、その素地となる部分の法家思想などなるほどと納得。
そして秦をはじめとして、基本的には常に中央集権体制をとってきた中国という特異性、そして最後のほうにあった現代のデジタル社会についての記述など、非常に興味深かった。信賞必罰の思想が根深く分化として刻まれているからこそ、スコアリング社会が成立しているという指摘は面白い。もちろん中国の現在のデジタル化、データドリブンな社会はそれだけで成り立ったものではないと思うが、秦からはじまる歴史的背景も確かに一要因にあったと思うと、歴史を振り返ることの意義や楽しさを感じられた。 -
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邪馬台国については、日本古代史学者や考古学者の間で議論が喧しいが、本書は、中国の三国時代の研究を専門とする中国史学者が、それらの議論を踏まえつつ、従来の議論とは違った視点で「魏志倭人伝」や邪馬台国について論じている。すなわち、「魏志倭人伝」が含まれる『三国志』という史料の性格に着目し、『三国志』を著した陳寿の偏向、曹魏の内政と外交、陳寿に代表される史家の世界観などに起因する倭人伝の歪みを取り除き、邪馬台国の真実に迫ろうとしている。
中国史の立場から、邪馬台国に関する議論に一石を投じる書である。西晋の司馬氏の祖である司馬懿の顕彰を意図するという『三国志』の史料的性格、また、その「倭人伝」への影響 -
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三国志・・・
吉川英治の小説、三国志・・・
横山光輝のマンガ、三国志・・・
李學仁&王欣太のマンガ、蒼天航路・・・
北方謙三の小説、三国志・・・
三国志は読んだなぁ・・・
歴史小説や歴史マンガで避けて通れないのが三国志であります・・・
中国の話だけど、メジャー中のメジャー・・・
蒼天已死、黄天当立の黄巾の乱から、曹魏・蜀漢・孫呉の三国が鼎立し、その三国が(西)晋に天下統一されるまでの約100年の物語・・・
登場人物マジ多数マジ多彩・・・
その多すぎる登場人物が、各人野望や理想を胸に、武や智や義をぶつけ合い火花を散らすわけです・・・
人の世の浮き沈みってものを多士済々で豪快に彩って魅せて教えてく -
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一般に荒唐無稽な通俗小説とされる「三国志演義」。本書ではまず、漢王朝の思想的根幹をなし、その後も代々の中華王朝で称揚されてきた倫理哲学である「儒教」を理想化するツールとして「演技」が成立したことを紹介。さらに、その元となったとされる「正史」も含めた諸書の中で魏呉蜀その他の勢力のがどのような扱いを受けているかを検討し、そもそも「正史」 ですら執筆者の特定の王権への偏向を内包したものであることを明らかにする。「儒教」的・「漢」的なものを保存し後世に伝達する者を称え、そうでない者を貶めるという、「正史」という字面とは裏腹の偏向性が、これらの諸テクストを彩っているというのが面白い。
「漢とローマは、 -
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名士論。後漢三国時代を名士論で解き明かす。晋代には彼らは貴族となる。地元の有力豪族にして、儒学を収めた名士は、特に高名な名士から評価をもらい、その名士グループに所属する。彼らは時に敵対陣営に所属しながらも連絡を取り合い、また主君に推薦するなどして影響力を行使した。また有力な名士はその一族がついてくるので、無視しえない力をもった。代表的な所で荀彧や周瑜など。彼らが戦いに与えた影響をみていく。個人的には三国鼎立を創り上げた魯粛、劉備政権を益州に確立させた法正、儒家の理想の聖漢一統の実現を目指した諸葛亮、理想と現実の狭間で苦しんだ荀彧などが面白かった。