渡邉義浩のレビュー一覧
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三国志に登場する軍師34人について、演義と正史のエピソードを交えて紹介する本です。
軍師についての総論の後、国別に一人一人紹介していくわけですが、一番面白いのは実は総論でした。
一般的には、軍師というのは、文官のイメージが強いと思います。しかし、中国では平時には文官、戦時には武官どちらともなれる存在であることを主張します。
そして、何より、軍師になるような人物は、名士と呼ばれる中国内の有名人ネットワークを駆使しており、そのネットワークには派閥があったと語っています。そして、三国時代とは、名士の派閥間、および名士と主君の主導権争いの歴史であったことが示されます。
派閥間の競争は、 -
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昔から広く読まれ,今も小説(吉川英治),漫画(横山光輝),ゲーム(?)で大人気の三国志。曹操,関羽,諸葛亮の三人を中心に,『演義』と正史(含裴注)がどう描くか見比べながら読む。
まず三国志のテキストがどう変遷していくのかを確認。西晋の陳寿が著した『三国志』に,劉宋の裴松之が注をつけた。そしてこの正史や口伝をもとに,明の羅貫中が虚構を取り混ぜた『三国志演義』としてまとめて,これが普及した。『演義』も様々にテキストが変わっていく。羅貫中の作は散逸してしまっていて,たくさんの異本が残っている。20世紀の日本では,明の李卓吾本が,吉川英治の小説を通して受容されたが,中国では,李卓吾本から派生した清 -
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てっきり「最強の武将10選」的な羅列ものかと思ってたけど、名士層という切り口から系統立てて後漢時代を切り取った一冊。これまでの三国志もので抜けてた視点が補完されて、今までなんとなくスルーしてたことでその意味と流れを知ることもあったりして、なかなか興味深い内容だった。なにげに最近読んだ三国志ものの中では一番。
例えば
・陳羣が荀?に推挙されたこと。
・陳羣が曹操の後継者争いでは曹丕についたこと
・陳羣が九品中正制度を制定したこと
などは陳羣のプロフィールとして知ってても、それがどういう流れでつながるのかはピンと来てなかった。
官位が売買されるようになった後漢時代に、学問(≒ -
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中国の歴史、三国志の図解本。もちろんだが、三国志に興味がある方なら読んでも面白い。が、三国志ファンには物足りなさもあり、且つ、三国志初心者には読みにくい。武将の名前や地名は漢字で読みづらく、初登場こそルビがふられているが、再登場の時は『何て読むんだっけ?』という状況になりがち。物語だけでなく、図を含む土地の説明、官職の説明、正史、演義の説明も記載されているので、何度も読み返したり、一旦戻って確認することで理解することができる。日本史、世界史もそうだが、興味のある人しか入って行きづらいため、そもそも敷居が高い。その中ではかなり読みやすい方。
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「三国志」を好む日本人は沢山いる。
だが、それは間違っていると本書は言う。
多くの日本人が好むのは「三国志演義」なのだ。
「三国志」と「三国志演義」とは何が違うのか?
「三国志」は3世紀、晋の時代に作られた正史だ。
(正史は、正しい歴史ではない。正統な歴史)
「三国志演義」は14世紀に書かれた小説。
ただ、本書によれば、事実7割、フィクション3割だと言う。
だから、「三国志演義」は、司馬遼太郎の作品のようなものだ、と考えるのが正しい理解だろう。
だが、司馬遼太郎作品のように登場人物が生き生きとしていて魅力的だ。
どの英雄を好むか、と「100分de名著」のテレビ番組で問うていた。
回答は、三 -
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ネタバレキングダムを絡めた発想は良かったと思うが、タイトルの「キングダムで解く」ほど内容がリンクしているとは感じられなかった。
そもそも、著者の熱意が伝わってこない感じを受けた。
秦の行った体制の変革は特異な物で、その後の2000年以上(著者によれば現代でも)にわたって中国を支配したものであり、秦による統一がなければ、中国は南北で分かれていた可能性すらあることをもっと強く(熱く)語っても良いのではないかと思った。
記載されている内容は高校世界史の枠を出ない内容で、知識として真新しい物は一切無いと言ってよく、また、支配制度に関しても、「後続の漢王朝により継承され、洗練・周知されたことが大きい」という当 -
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中国は国土が広大かつご存知の通り人口14億を抱える巨大な国だ。清の乾隆帝の時代がその最も広い版図になり1470万㎢にも達する。日本ではインスタントラーメンのコマーシャルで中国4000年の歴史というのが定着してしまったが、夏王朝の時代さらに、それ以前に在ったと言われる、三皇五帝(さんこうごてい)時代(古代中国の神話伝説時代で8人の帝王がいたと言われる神話時代)を足すと中国には4600年の歴史 =凡そ5000年前の話になる。だから実際には5000年の歴史を持つと言われる所以だ。その後、西周や春秋戦国の時代、秦、漢などの様々な国が誕生し、世界史を勉強した人なら中国の王朝の流れを漢字で追いかけると同じ